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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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127/211

里の秋。大きな栗の木や椎の木の下で。

誤字報告ありがとうございます

 リード様のお話は続く。

「アキ姫さま。今お国の方は大変なことになってるんだ。

キミがここに居る事でアアシュラ様は大変安心してらっしゃる。」

「母は!姉は無事なのですか?」


――ふむ。お兄様やお父上のことはご心配なさらないんだな。


「ああ。お二人は無事だ。お母上はね、ディック君が守っているよ。まもなくブルーウォーターに逃れて来られるはずだ。」


「……おお!!」

口を覆って安心のあまり、感嘆符を出されるアキ姫さま。


「それでね、アアシュラ様が来られたら、ふふふ。

キミとアアシュラ様へのお見舞いに母上が来られるんだよ。」


ぱああああっ。


今日1番の良いお顔で満面の笑みを見せられるリード様。

本当にははうえー!がお好きなんですね。


「では、それを楽しみに。また会おう。アキ姫さま。

……今日はヴィーがいなくてゴメンね?」


パチン。


何故私の方を見てウインクなさるのかな。

ええ、ヴィヴィアンナ様がいらっしゃらなくて残念ですけどねえ。


アキ姫さまはシンシンさんと退出された。


それから五分くらいたったかな。

「やあ、来たようだ。」

「ウン、犬ッコロ臭いナア。」


カーテンの後ろにネモさんが消えて、次の瞬間白い犬を連れて来た。

「あああっ、ペスぅー!!」

ジークさんの愛犬ペスじゃないか。


「どこ行ってたんだよ、心配してたんだぞ!」

「キュウウン。」


「龍太郎君、少し神気をおさえてくれないかな。いぬワンちゃんが怯えているから。」

ネモさん、相変わらず独特な呼び方だな。


ヘビは、スネちゃま。

猫は、ねこにゃんちゃん。

犬は、いぬワンちゃんか。


「ワカッタ。」


しゅん!と首を振る龍太郎君。確かに何ルクスか暗くなった様な気がするぞ。


「ワフウ!」

ダッシュしてジーク様に抱きつくペスちゃん。

「うわっ。」

ジーク様を押し倒して顔をペロペロ舐めている。

良かったなあ。

「ヨーシヨシヨシ。ペスぅ。ネモ様の所にいたのか。ここ一年見かけなくって。心配してたんだよ!

張り紙も貼ったし、休みごとに探していたんだ…」


「ぐすん。良かったワ。」

えっ、アンちゃん泣いてるの?



「ジーク君。ペスはね、ここで私の仕事を手伝っていてくれたんだ。

で、去年嫁さんを見つけてね。子宝に恵まれて。」

「それで帰って来なかったのか!薄情者め!」

ワシワシと耳がひっくり返る勢いでペスちゃんを撫で回すジークさん。


「うん、一家で学園の番犬&愛玩犬としてね、可愛がられてるんだ。

……もちろん不審者を見つけたら、私に報告してくれてるんだよ。」

ネモさんの目が光る。


「そうかあ。偉いなあ。」

「くーーーん。」


「ジーク。子犬は六匹産まれてね。みんな白いんだ。

そのうちの一匹を引き取ったのがフリーゼだよ。

さ、ペスと一緒に会いに行きたまえ。」

「リード様。」


麗しの王子様の一言にジークさんは深々と頭を下げた。

そして、いぬワンちゃんに連れられて退出した。


さて。私も帰ろう。


「アンちゃん、そろそろ。」

「ゴメンねえ。レイカちゃん。マナカ国のことでまだリード様やネモさんとお話があるのよ。先に帰っていてネ。」

アンちゃんが手を合わせる。

「あら、そう。」


「ネエネエ!送ろうか?メリイと二人乗り、ドウ?」

「ウフフ。タンデムと洒落込んで飛ばしましょう。

気分は国道134号線のツーリングですわ!」


……うへえ。ご冗談を。それなんの湘○爆走族。


「ありがとう。でもね、妊婦のメリイさんにしがみつくのも怖いのよ。その逆もね。」

「アー、ソーカー。」

「また今度ね?」



「うん、ありがとうね。龍の字。護衛はさ、ハンゾーに頼むから。」

アンちゃんが指を鳴らすとハンゾー君が現れた。

何人潜んでるんだ。

「じゃあ、頼んだぞ。」

「はっ。アネさん。馬車用意してますんで。」

そして帰宅した。


今日も濃い1日だったなあ。


自宅に戻って娘達を愛でる。ああー、疲れが取れていく。

何で幼児っていい匂いがするんだろう。

髪の毛がサラッサラで。頬がピンクで。

可愛いったらありゃしない。


うーん!はあっ。

猫吸いならぬ、娘吸いだ。しあわせ。


母が声をかけて来た。

「レイカ、明日にはミルドル達が帰って来るって。カニ入り猫缶の試作品を持ってね。

さっきサンドから連絡があったの。」

嬉しそうだな。

「ふうん。何事もなく?」

「そう。あの女の子とも少しは打ち解けた?みたいよ。サンドの話だとね。

ウチがわりと貧乏だったことがわかったからじゃない?

ミルドルが手際良く、栗や木の実を集めたりしてるのを見てね。」

「あら、そう。」

「椎の実やドングリも集めていたらしくって。」

「ああ、椎の実も美味しいものね。生でも食べられるし。」

「ドングリは加工品にして売るんだよって言ったら

驚いてたらしいの。」

ははは。食べたら苦いから。


「茹でて民芸品にしたりするのよね。」

「そうしないと虫が沸くからね。」


ご存知かな?ほとんどのドングリには、虫がいるのだ!

引き出しに拾って来たドングリを入れて忘れていて、虫が出て来た経験をお持ちの昭和生まれは多いであろう。


「それで『お貴族様なのに苦労してるのね。』ってつぶやいていたらしいの。」


「なるほど。あ、そうだお母さん。話変わるけどね。龍太郎君に差し入れしたいんだけど。」

「あらあ。お母さんも会いたいわ。」

「何か作って持っていきましょうよ。」


「良いね。明日ミルドルがどっさりクルミや栗を持って帰って来るだろ?それ持っていったら?」

ランド兄さんがひょっこり顔を出した。


「ああ、そうね。」

「椎の実も煎って持っていきましょうよ。」

以前、太宰府に初詣した時、露店で椎の実を煎ったのを買って食べた事がある。

美味しかった。つい二袋買ったよ。


 次の日ミルドルが帰ってきた。

さっそく椎の実を煎って持っていった。

「はい、龍太郎ちゃん。お土産。」

「美味イ!美味イ!美味イ!」

どっかの柱の様なことを言ってかき込む龍太郎君だ。


「はい、栗に胡桃。」

こちらはハイド君に渡す。

栗ご飯を作ってくれたまえ。


「ありがとうございます。カニの缶詰もあちらで多量にいただきましたのに。」

頭を掻きながらハイド君が恐縮する。

(ハイド君にはナッツ系は渡されてないことは確認済みである。)


「ううん、子供達の世話ありがとう。」

「レイカさん、ネコ缶の試作品もできましたよ。別便でそちらに届くと思います、大量ですからね。」


そして椎の実を食べながら、

「懐かしい。昔良く食べましたよ。ウチにも植えてありましてね。

忍の非常食にもなってたんです、生でも食えましたから、


……家族が惨殺された前後の記憶はあまり無いんです。

まさかあのセピア君が生き残っているとは知りませんでした。」


ハイド君はため息をついた。


唱歌のタイトルから。


太宰府で食べた屋台の椎の実。

小さいときに食べた、生の椎の実の味。

思い出します。


※大阪・関西万博行ってきた。三泊四日で。

エッセイ投稿してます。読んでみて下さいね。

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― 新着の感想 ―
神社の参拝道の屋台では、よく売ってるんですよね、椎の実。 焼き栗を売っているところもありましたね。 ドングリの虫はまあ…誰しも通る道というか。 里の秋辺りの唱歌は、今はもうあまり知られてないのでしょう…
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