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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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123/212

ここまで来れた。サクセス?彼女は昨日の髪を持つ。

誤字報告ありがとうございます

 ミルドル達はモルドール領へ旅だった。

ハイド君が付き添うそうだ。

「ま、食品加工だ。知恵を貸してやってくれや。あと危なくないように見てくれよ。火傷とかさ、刃物とか。」

ミルドルをそれなりに可愛がってるアンちゃんの依頼に、

「カニをペットフードに?興味ありますが。」

ちょっと二の足を踏むハイド君。


「メリイは妊婦ですし。」

「イイじゃん。三日グライ。俺がツイテルヨ。安定

期だしさ。お土産頼ムヨ。」

「龍ちゃん。」


龍のひと声で決まったのである。


 そして今日はサードさんがサリーさんを連れて龍太郎君に会いに来る日だ。

「レイカちゃんも来てよ。」

アンちゃんが上着を選びながら言う。

「なんでえ。」

「面識あるでしょ。本物かどうかね?確認。」

「そんな。偽物が来るかもって?」

「念の為だよ。本物ならすぐレイカちゃんに、以前のお礼を言うはずさ。フン、俺が脅しつけたとき庇ってあげたでしょ。」

「あー、そうだっけ。」

「助けられた方は割と覚えてるもんだよ。」


「出かけるならさ、早めに言ってよ。私も着替えなきゃ。」


もう上着を来て鏡を見ているアンちゃんに、文句を言う。


「大丈夫。ワタシもまだ準備にかかるから。コレから武器を上着に仕込むから。フフ。お出かけの前のお庭番の嗜みよ。」

ナイフをすっ、すっと袖口に仕込むアンちゃん。

もうう。そんな仕込み見たくなかったわ。

「レイカちゃんが身支度する時間くらいあるワよ。」


どれだけ仕込むんだ。あら、ナイフを研ぎ出した。

「コレ、イマイチよねー。光が鈍いわ。血糊の拭き方が甘かったかしら。」


うえええ。何の血潮?

カエルだーって、アメンボだーって、手のひらに流れる血潮?じゃなくてえ!


 とにかく身だしなみを整えてネモさんのホテルに向かった。

入り口のドアのところではセピア君が待ち構えていた。

「お待ちしておりました、どうぞ。」

「まだ誰も来ていないな?」

「ええ。アンディ様が潜む時間は充分にございますよ。」

うへえ。忍びの仕事の裏側って見たくないなあ。 

あれ?一瞬で二人消えたぞ。

おーい?どこ行った?


「レイカさんはこちらへ。」

「ネモさん。」

ニコニコして現れたのはこのホテルと、この国の支配者ネモさんだ。

彼がいるから私を置いて行ったのか。

ひと声かけなよ、まったく。


「ダイシ商会のお嬢さんとサードさんが龍太郎君にご挨拶に来るんでしょ。同席しますよ。」

うん、ストッパーのネモさんがいれば安心だね。

「お嬢さんが龍太郎君を怒らせたりしないとは思いますが。ま、念の為です。」


ホテルの部屋にいると、龍太郎君がメリイさんを乗せて中庭に降りたった。

「メリイの護衛だから離レナイヨ。」

それでメリイさんを連れて来たのか。大丈夫か。

おや、メリイさんが青い光に包まれている。

どの神獣の加護かわからないが、それなら平気かな。


「すごいですねえ。メリイさんへの加護。キューちゃんと龍太郎くんとで何重にもかかってますよ。

例え彼女が空中に投げ出されても、しばらく浮いているでしょうねえ。」

ネモさんが目を細めて見ている。

凄いなあ。


「レイカさん!ネモ様、こんにちは。」

「コニャニャチワ、ナノダー。」

あっハイ。バカ○ンのパパっすか。


もうね、龍太郎君が多少ケッタイな事をいっても誰も気にしない。ツッコマない。

みんなでホテルの部屋に行く。

こないだアアシュラ様が来た所だ。

もちろん、思わせ振りにカーテンがある訳でさ。


「コノカーテンの後ろに隠レテレバイイノ?

……アッ。」

龍太郎君がカーテンを元気良く開けるとそこにはセピア君がいた。

「もおお。入ってまーす。」

トイレじゃ無いンだから。


「ゴメンネエ。ノックすれば良カッタネ。」


「龍太郎君は最初からこちらに。メリイさんの肩にとまっていてよ。」

ネモさんがメリイさんにゆっくりとした椅子を勧める。


「ネエ、レイカサン。オッカサン元気?

ハイドがオッカサンの領地に行ッテ、キャットフード作ルンダッテ?」

「そうなの。協力してもらってるの。」

「龍の字。ハイドが居なくて寂しいのか?」


あれ、アンちゃん。いたの?どこから来たんだい?


「ウウン、そんな事モ……有るカナア。ヤッパリ食

生活モサ、ハイドが居ると充実スルシサ。」

メリイさんが顔を顰める。

「もう、龍太郎ったら。」

「ハハハ!お詫びにね、お土産にさ、モルドール領内のクルミを山ほど持たせるように言っとくよ。龍の字用にね。」

「ワアイ。クルミ好き。」


と、和気藹々と話していたら。


「失礼します。お客様がおつきになりました。」

ホテルのスタッフの方がノックをしてドアから顔を出した。

「どうぞ、お通しして。」

ネモさんの声にまわりを見るとアンちゃんがいない。

あら、どこへ行ったのだろう。


「失礼します。サリー様とサード様をお連れしました。」

ドアを開けて顔を出したのはジークさんじゃないか。

あらあ、こちらに来たのね。

その腕にはキラリとブレスが光っている。

金属に赤い石が埋め込まれている。

うん、ベースは銀かな。

あの煌めきはウチのルビーだ。ほら。角度によって淡く青く光る。キューちゃんの加護付きだ。


じっと見ていたら、

「レイカさん、お久しぶりです。」

ジークさんの方から挨拶してきたわ。ほほほ。

「ええ、本当に。」

「えっ!?レイカ様!…まあっ、お久しぶりでございますっ。以前はご夫君からの粛正から救ってくださって!おかげ様で命拾いしました!貴女は命の恩人ですわ!」


……そのご夫君はこの部屋にいるけどねえ。

「ふっ。」

ほら、ネモさんが笑ってる。

おや、リーリエさんも。護衛で付いてきたのね。

そして下を向いて笑いを堪えてる。


さて、良くお嬢さんを見ると。

「あら?アキ姫さま…じゃないか。サリーさんね。」

以前見たときは、黒髪ストレートのショートだったよ。今は縦ロールに巻いてる。

色白のふくよかなボディ。長いまつ毛。柔らかい笑顔。

優しい雰囲気も良く似てるな。


「本当。アキ姫さまかと思いましたわ!」

「オイラも。」


「そうだろ?メリイに龍太郎君。最初は私も見間違えたんだ。」


サードさん、ドヤ顔である。

なるほどなあ。サードさんはこないだ、アキ姫さまをとても気に入っていた。

そこにこのド・ストライクのお嬢さんと会った訳だ。


「フウン。目の色がチガウネ。そして、この髪はカツラナンダロ?」

龍太郎君が目を細める。

「……ええ、バッサリ切らなくてはならない羽目に。気に入ってたんですの。この髪型。それで、」

そこでサリーさんは頭に手をやる。


バサリ。

カツラを取る。


「 ! 」

驚く一同。


「すぐカツラだと龍太郎様にはわかったのですね。

アキ姫さまに似てると毒姫に狙われると言われて。

でも未練がましく切った髪をカツラにしていたんですわ。ここには毒姫様来ないし。」


少し涙目になるサリーさんだ。

頭にはネットをかぶっていて、それも取るとショートヘアが現れた。ヘアを固定していたピンも外していく。


「ゴメン!オイラが悪カッタヨ!女の子にそんなハジをかかせてシマッテ!」

狼狽える龍太郎君。


「いいえ!何をおっしゃいますの。私は今日は龍太郎様にお礼を言いに参りましたの。

母が病気の時、貴方様のウロコに助けられて。

それでサード様に連れてきていただいたのです。」


そして深々とお辞儀をする。

「その節は誠にありがとうございました。

母は助かりませんでしたが、おだやかな最期を迎えられたのは、貴方様のおかげでございます。」


そしてにっこりと微笑むのだった。


「やっとお会い出来ました。光栄でございますわ。」


ダウンタウンブギウギバンドかな。サクセス。

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― 新着の感想 ―
宇崎竜童さんのソロかと思ってました。 カッコいいCMでした。 当時は二大化粧品メーカーのCMソングが楽しみだった・・・ アンディ、自由自在。 龍ちゃん、いい子だね・・・
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