添いたいと思う気持ちが、きっと今チカラになる。
誤字報告ありがとうございます!
ネモさん夫妻は公宮の謁見室で待っていた。
「本日はおめでとう御座います。このような慶事に立ち会えて幸せでございます。」
ネモさんの言葉にローリアさんも微笑む。
「おめでとう御座います。」
「書類を用意しておきましたよ。見届け人の片方の欄には私がサインを。」
「そしてもう片方は私がサインをするよ、レプトンくん。」
ばーん!
ドアを開けて輝く王子様が現れた。
「リード様!?」
「水くさいじゃないか、レプトン君。私に声をかけないなんて。気にしてるのかい?
やあ、カレーヌ。おめでとう。今度こそ幸せになるんだよ。」
バチン!とウインクをなさる麗しの王子様。
「ありがとうございます!リード様っ。」
手を胸の前で合わせて礼をするカレーヌ様。
「は、はいいいっ。」
おや、レプトンさんの顔が真っ赤になっている。彼の方に効いたようだ。
「うわ。」サンド兄も赤面した!
「麗しいわあ。」母も頬をそめる!
「本当に。」サマンサちゃんの目も見開く。
「ふふ。皆さんお揃いだね。」
リード様が流し目をウチの家族に送る。
揶揄うのはやめて下さいよう。
母がうっとりドッキリしてるじゃないですか。
ガタン。
あらら、サンド兄が座り込んだ。
一番リード様に免疫がないからね。
「はい、義兄さんはあちらで休んでましょうねえ。」
アンちゃんが奥の椅子に座らせてくれた。
リード様はサラサラとサインをなさった。
「ところでね、カレーヌ達にサインをして貰う前に、カレーヌに爵位を授けようと、思う。
ねえ、ネモ公。」
「ええ、リード様。子爵の位を用意しました。
慌ただしくて申し訳ない。こちらへ。」
ネモさんが壇上からカレーヌ様に詔書と勲章を授ける。
パチパチパチ。
拍手が巻き起こる。
「家名はお考えですか?」
「はい、ネモ様。こないだ叙勲の話を打診された時からいくつか考えていましたの。」
「ほう、どんなのですか?」
「スイートハートとか。スイートキャンディとか。」
えっ。
カレーヌ・スイートキャンディ?
ヒュー、なんてスイートな名前なんだ。
アーチーだかステアだかにそんなセリフがあった様な気がするけど。
と言うかマジっすか?
「えっと、屋号と勘違いされないかい?」
リード様も困惑している。
「やはり攻めすぎましたか。」
カレーヌ様、もう一度考えなよ。
「では、エンジェライトで。」
いいじゃない!天然石シリーズだね。
(エンジェライトは某ミステリ漫画で有名になった石である。整くんの。)
「うん、良いですね。カレーヌ・エンジェライト。
貴女にピッタリです。」
「ありがとうございます、ネモ様。」
「では、レプトン君。君もエンジェライト姓を名乗るで良いね?」
「はい、リード様。」
皆が見守る中、サインをする二人。
「はい、これで二人は夫婦だ。おめでとう!」
割れんばかりの拍手。
「良かったわああ。おめでとう。」
泣いている我が母。
「やっと収まるところに収まったわね!」
エリーフラワー様も涙ぐんでいる。
「うっ、うっ、めでたいでごわす。」
「ああ、サマンサさん。先を越されてしまいましたね。」
苦笑しながら拍手をするマーズさんだ。
「ええ、でも本当に良かった。」
サマンサちゃんは満面の笑みだ。
「後からウチのレストランでささやかながらお祝いをしますから。ご都合がつけば是非。」
「是非行きますよ!」
マーズさんだ。そしてサマンサちゃんをチラリと見る。
少しでも一緒に居る機会を逃さないのですね。
「拙者も。」
「おほほほ。カレーヌ様。私がお祝いしなくてどうするの?」
エリーフラワーご夫妻も来るようだ。
「ヴィーは行けないけど構わないかい?レイカさん。」
リード様。残念ですが、それは仕方ない。
と言うか貴方ご自身はいらっしゃるのですね。
太陽のような微笑みです。
「ええと、レプトンさん。これを。」
ネモさんが懐から白封筒を出す。
「これは?」
「お祝いですよ。ウチのホテルのスイートルームの宿泊券です。今夜からでも使えますよ。
新婚旅行がわりにと思って、七枚セットです。
もちろんバラして使うのも良し。」
うわあ!太っ腹である!
「ありがとうございます!」
レプトンさんが押しいただく様に受けとる。
「あら!最上級のスイートルームですのね!」
「ベットルームが二部屋ついてますから、ご家族で泊まれますよ。お母様や娘さんと。」
ニコニコしているネモさん。
「良いわね!今度ホテルの高級レストランでみんなでお食事した後に泊まりましょうよ。」
「そ、そうですね。」
微妙な表情になるレプトンさんだ。
そりゃあねえ。二人っきりにもなりたいわよねえ。
ほのぼのとした雰囲気の中で入籍は終了した。
これからレプトンさんはカレーヌ様と住む。
おめでとう。
「きっとメリイさんや龍の字も夜、レストランに来るだろう。大量に仕込みをしなきゃなあ。」
「うん。」
アンちゃんの言葉に母とサマンサちゃんも頷く。
そして早速帰宅して夜のパーティーに備えるのであった。
柴咲コウさんの「月のしずく」ですね。
映画も良かった




