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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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あなたの燃えるような、手で抱きしめて。

 レプトンさんの発言を聞いて、胸が熱くなった私です。

何だろ、感動の涙が出てくるの。

映画でのハッピーエンドを見たときのね、

美獣と野獣とかさ、そう言うの。

「ああ!良かった!」って。

ああ、アレにも近い。「耳をすま○ば」を見たときの。

純粋に人を好きだと思う、10代のむず痒く甘酸っぱい恋。ちょっと目が会うだけで嬉しいような。

私の中の女子中学生がざわめいている。

(前世のね。)


「……あー、そうだよな。それが一番なんだよな。なんか自分が汚れちまった大人になった気がしたよ。」

アンちゃん、私もです。

「すごいな。レプトンさんだからこそですよ。他の人じゃ気恥ずかしくて聞いてられませんよ。」

「ううううっ、レイカあ。なんだろ。恥ずかしいような、嬉しいような。いたたまれないような。しあわせのような。」

真っ赤な顔して私に抱きつくカレーヌ様。

「自分が10代の小娘になったような気がするの。」


ええ、わかります。私もですよ。


「いやあ、わかった。カレーヌ様は私が見守ってきた大事な姫君だ。妹とも思ってきた御方。

キミ以上に彼女を思ってくれる人は居ないだろう。

さっきまで複雑な気持ちだったが、心のそこからキミをカレーヌ様の夫として認めるよ!」


アンちゃん、別にあんたの許可は要らんと思うばってんが。


「ありがとうございます、アンディ様!」

「おう!この胸に飛び込んでこい!」

「はい!」


熱く抱き合う二人。

何を見せられているんでしょう、私は。


「ああ、そうですね。レプトンさんはエドワード様やランドさんと同じくくりに入りますからね。

アンディ様も気にいるでしょうねえ。」

マーズさんも頷く。


「え、呼んだ?」

そこにひょっこりランド兄が顔を出した。

「アラ、ラン義兄さん!貴方も胸に飛び込んでいらっしゃい!」

だんだんアンちゃんがオネエ言葉になってる。

リラックスしてきてるのね。

「もおお、アンディさん。何をふざけてるの。やだよ。鯖折りにされるもん。

…ほらあ!レプトンさんの顔色がわるいよっ!」


「ぐええ。」

「アラ、やだ。ホントだワ。」

白目を剥いてるレプトンさんだ。アンちゃん、やはり彼に何か思う所があるんじゃ?


「ねえ、母さん。」

ランド兄が向き直る。

そうか、母もいた。

「良かったわああ。感動したわ!レプトンさん!痛みに耐えて良く頑張った!」


わあ。小泉さんみたいなこと言ってるぞ。


「感動をありがとうは良いけどさ、サンド兄にルビー持って来いって言ったでしょ。もうエリーフラワー宝飾店に着いたって。」

「え?もう?早くない?」

驚く私。


「母さんがキューちゃんに迎えに行くように頼んだんでしょ。」

「そうそう、高価なものだからね。」


またあ、雑に神獣様を扱うんだからっ!


「さア、レイカ。キューちゃんに何か甘いものを用意して!」

「ええええ。」

「あ、マーズさん。いらしてたんですか。」

奥からひょっこりサマンサちゃんが顔を出した。


「サマンサさん!」

いきなり抱きつくマーズさん。

「わあ。びっくり。」

驚いてセリフが棒読みになってるサマンサちゃんだ!


「し、失礼。つい、熱々のカップルに当てられまして!」

「ハイハイ。離れて。マーズさん。」

とりあえず固まるサマンサちゃんを引き離す私。


「キューちゃんへのお供えを作るの。手伝って。

今回はおにぎりで良いかしら。お菓子はこないだ沢山食べたでしょ。」


サマンサちゃんと母とラーラさんとショコラさんを動員して山盛りのおにぎりを作る。

「私も手伝うわ!」

カレーヌ様も参戦だ。

「私もやりますよ。」

おや、レプトンさん。えらい。

「カレーヌ様のお手伝いをすると決めてますから。」

はい!ご馳走様!

「あ、早く作ってエリーフラワー宝飾店に、行かなくては。私もにぎります。」

おお、マーズさんも。二人とも器用じゃないか。


チカラまかせにやって潰しちゃうと思ったよ。


あら?このキレイなのは?


「フフン。ワタシよ。」

「アンちゃん。」


この人は何でもある程度は出来るのだ。

ダンスはプロ級だし、もともと庭師だったから植物の世話もする。動物の世話もする。

「思い出したわ。小さい頃パンケーキを作ってくれなかった?」

カレーヌ様が呟く。

「あ、アラン様が毒を盛られて、毒味が死んだことがありましてね。ワタシがオヤツを作っていた頃ですね。

確か、カレーヌ様にもタイミングがあったときは一緒にお出ししましたっけね?」


何だか凄い思い出をサラリと語るアンちゃんだ。


「うん、あのフワフワのホットケーキにハチミツとバターがたっぷりで。美味しかったわー。」

「王太子様が食べるのですもの。最高の材料を使ったワ。」


美味しいよね、ハチミツとバター。甘じょっぱくて。


「まあ、といっても何回かですよ。他にレパートリーがなかったから、

『飽きた。』とアラン様に言われちゃって。

それに毒味役も復活しましたからネ。」


色々あったんだなあ。


そして大量のおにぎりを持って、エリーフラワー宝飾店に向かうのだが。

「あ、忘れてた。カレーヌ様、マーズさんに改築や増築を頼むのでは?」

「 ? 」

「ホント!ねえ、マーズさん。ウチの隣りに新居を建てたいの。あと工場も拡張したい。」

「ああ!そうだったんですか!チカラ自慢のUMA達を動員しましょう。兄の会社のツテで大工さん達にもね。もううちの改修工事は終わったのですから。」

「そう。もう家具も選び終わったし。」


「着々と準備が進んでるわね。いつ式を挙げるの?」

「ウェディングドレスが出来次第ですよ。なかなかモスマンとの交渉がうまく行かなくて。」


顔を見合わせる私たち。


「そうか、メリイさんのドレスのときもお母さんがキューちゃんに話をつけて、」

私の言葉に、

「ええ、そしてさすまたで糸を巻き取ったワね。」

アンちゃんも頷く。


「アラ、じゃあキューちゃんに頼めば?と言うか、まさに今、手に入れようとしてくれてる所かしら?

ちょっと多めに入手してくれれば、ね?」


「え?」

「マーズさん。私のウェディングドレス用にね、沢山お菓子をお供えしてレイカのお母さんが白狐様に頼んでくれたの。」

カレーヌ様が、はにかみながら微笑む。

「そうなんですか!」


「とにかくこれから会うから、聞いてみましょう。ね?」

多量のおにぎりを持って、エリーフラワー宝飾店に向かう私達だった。



愛の讃歌ですね。

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