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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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102/210

嵐の予感は、チキソーソーか。

 さて、王子様の誕生日パーティだ。

「えっ。私も行くの?呼ばれてたっけ。声かけられて無いと思うけど。」

エリーフラワー様ご一家とウチの子が行くのは良い。

アンちゃんが付き添うのも。

でも、私も?


当然のようにアンちゃんに出かける用意を促されて、慌てる。


だってもう、昨日梅ヶ枝餅出したしさあ。

今日、アキ姫さまが参加しないって言ってたから、昨日お出しして良かった、それで私の仕事は、終わったつもりだったのである。


アンちゃんが眉間にシワを寄せる。

「当たり前じゃないの。フロル王子様がランに会いたいってさ。それにカレーヌ様が飴を届けに来るのよ。

レイカちゃんが説明とフォローをしなきゃどうするの。

それに王妃様はレイカちゃんが来るのを当然と思ってるワよ。」

「そうかなあ。」

「ま、呼ばれてなかったけど来ちゃった♡と言っても王妃様は何も言わないワ。」


もう。人ごとだと思って。ああ、面倒である。

ヴィヴィアンナ様にお会いできるのは嬉しいけど。


えー、何持って行こう。仕方ないなあ。白玉を丸めて

茹でて、それに餡子を纏わせるか。

頑張って用意をする私。うん、串なしの餡子団子みたいになったぞ。これはこれで美味しい。


エリーフラワー様が覗きこむ。

「美味しそうですわね。王妃様も喜ばれますわよ。

それに龍太郎君も来るらしいですわ。

メリイさんは昨日も出かけたし、本日はご遠慮なさるとか。」

妊婦さんだからねえ。


「そしてねえ、もうそこでカレーヌ様にスッパリとバッサリと説明が行われるのですわね。何、他の人から悪意をもって聞かされるといけませんからね。」

「エリーフラワー様。すみません。」

アンちゃんが、頭を下げる。

「良いのですけど。損な役回りですわあ。」


え?何を?


「エリーフラワー様にお願いしたんだ。」

「私がね、何も知らない顔して爆弾を落としますの。

レプトンさんはどうしてこのパーティに来てませんの?ってね。」

「…ああ、そうなんですか。」



そして、王子様のパーティ会場である。

リード様ご夫妻。王妃様。可愛らしい王子様達に迎えられる。龍太郎君も来た。


そこにカレーヌ様が来て千歳飴をうやうやしく進呈する。

「五歳のお誕生日おめでとうございます。

レイカから聞いたアメなんですが。」

「まあ!千歳飴じゃないの!まあまあ!この袋も素敵!

あら?こちらは少し違うの?」

「イチゴ味とミルク味。こちらは着色のみですわ。レイカにアドバイスをもらいましたの。」

「ええ、ミル○ーぽくしたんですよ。あとバラなのは

ピーターさんや周りの人に。縁起物ですもの。」


「嬉しいわ、レイカさん、カレーヌ様。配りますね。」

ふんわりと笑うヴィヴィアンナ様。


「王妃様。餡子付きの白玉団子です。一晩寝かせた餡子がいい味出してますよ。」

「ま!これはいいわね。」

「ホントだ。ちょっと赤○餅やお○餅ミタイジャン!」

「あの○福餅の毎日違うカードを集めるのが、楽しいのよ。」

「赤○餅のカードと、お茶漬けの浮世絵カード。わりと、どこの家も取って置いてましたね。」

「あとは崎陽○の、醤油の入れ物トカナ!」


そこでエリーフラワー様が澄ました顔で発言する。


「リード様。どうして今日ここにレプトンさんがいませんの?

リード様の1番の側近ですわよね?龍太郎君も来てるのに?」


「ええっと、才女殿。それはね……」


はい、実はこのやりとりは打ち合わせ済みである。

カレーヌ様に聞かせるだけのやり取りをご覧ください。


「少しねえ、謹慎してるんだよ。辞めるって言って聞かなくて。」

「あら。」

キョトンとした顔を作るエリーフラワー様。


「えっ?」

カレーヌ様の眉が上がる。


「……リードがお膳立てした縁談を蹴ったの。」

王妃様が眉尻を下げる。


「ええええええっ!???」

カレーヌ様の顔色は真っ白だ!


「そ、それで、レプトンさんは処分されるんですか?」

声が震えてる。


「ケジメだと言って辞表を持って来たんだよ。それで保留というか慰留しているんだ。」


「相手の家には私が頭を下げますわ。多分それで大丈夫ですし。」


「ヴィヴィアンナ様!そんな。」

カレーヌ様は半泣きだ。


「妊婦の貴女に御負担をかけるなんて、そんな訳には。」

へたり込むカレーヌ様。

とりあえず駆け寄って支える。

「れ、レイカ。もしかしてレプトンさんの縁談の相手はアキ姫さまだったの?」


すげえ。わかるんだ。この情報で。


「ええ、まあ。」

「そんな。」

カレーヌ様の顔色は悪い。

「そんな。知っていれ…」「カレーヌ様はちっとも悪くないのよ!」

知っていれば求婚を断っていた、というのを慌ててさえぎる。


バサバサバサ。


龍太郎君がカレーヌ様の前に立ちはだかる。


彼とは打ち合わせしてないから、なんだよ。


「ソウダヨ。モウ。いい加減にしろよ。カレーヌサンは何も知らなかったンジャねえか。こんなに震えて可哀想ダロ!」


「もちろんだよ、カレーヌ。キミは少しも悪くない。だって知らなかったんだ。

それは私が保証しよう。

これから誰かが何かを言ってきても突っぱねていいんだ。」


「リード様。」

カレーヌ様は涙声だ。

「……レプトンさんはうちの工房で一緒に頑張ってもらいますわ。

お城勤めで無くなっても、食べるのに困らないように、私はこれからも新製品の開発頑張りますわ……」


あっぱれである。その意気や良し。

そして可憐な美女が床に伏してさめざめと泣く姿はとても絵になるのであった。


「…レプトン君が、相手で良いんだね?カレーヌ。」

「ええ、もちろんですわ。やっと信頼できる、この先の苦楽を共にしていいと思えた人ですもの。

お叱りは共に受けますわ。ヴィヴィアンナ様と一緒に頭を下げますから……」


あら、目から温かいものが。

「あら、レイカさん泣いてるの?」

「エリーフラワー様だって。」

レプトンさんに聞かせてやりたいよ。


パチパチパチ。

拍手をしているのは王妃様だ。


「素敵な恋物語だわ!私感激したわよ!」



「母上!本当ですね。とりあえずオモテ向きレプトン君は謹慎、そして第一側近から第三側近に降格と言うカタチにしましょう。

そのうち、みんなの記憶が薄まった頃に復帰と言う事で。」


「ひとの噂も49日よね!」


75日です。王妃様。それじゃ法事です。


「アノネ、話を聞いたメリイは喜んでいたヨ。レプトンサンのカレーヌ様好きは有名ダカラ。

ネエ、カレーヌサンのとこにムコ入りスルンダロ?」

「龍太郎君、それでもウチは構わないわ。というか、願ったり叶ったりよ。

ウチの母も喜んでいるの。これ以上ない相手だって。」


「カレーヌ様。ミッドランド氏にいずれ爵位をレプトンさんに贈るように一筆書かせますわよ、だってあの方には実子はいないのですからね。

レプトンさんは従姉妹の子。血は繋がってますのよ!

お母上はともかく、お兄様やお父様はその方が安心するでしょ?」


「エリーフラワー様。そんな事まで。」

カレーヌ様の目からまた涙。


「それよりカレーヌ自身に爵位を与えた方がいいわよ。メアリアンだってメリイだって爵位をもらったでしょ。

カレーヌは、こんなにお菓子の開発をして、ブルーウォーターの財政を潤してるじゃないの。」


「その通りです!母上!すぐにネモ公に掛け合いましょう!」


私もそう思う。カレーヌ様の功績だってかなりのものだ。

このままでは爵位をレプトンさんが継がなかったら、カレーヌ様は平民になってしまうのである。

本人は気楽でいいわと言っていたけれど、なんのかんので爵位にうるさいジャスティン兄上とかが、色々言ってきそうなんである。


そう、カレーヌ様に爵位を授ける。ここまでが今日の打ち合わせなのである。


ふうっ。



「ねえ、龍太郎君。レプトンさんが家族の怒りを買ったと言うのはホントなの?」

「違うヨ。レイカサン。だけど、取りアエズ、追い出サレタ振りをして、ネモサンのホテルに泊まッテル。」


「ええっ!それならウチに来ればいいのに。心配じゃないの。もうっ。ちゃんと食べてるのかしら。」

カレーヌ様。もうレプトンさんは家族なのですね。


「龍太郎君。では、レプトンさんはホテルにこもってるの?」


「ウウン。エリーフラワーサン。

レプトンサンはね、サードサンに会いにグランディに今、イッテルンダヨ。」


うわあ、そうなんだ!


フットワーク軽いなあっ!


そして嵐の予感だよ!


嵐の歌詞がチキソーソーに、聞こえるとか聞こえないとか。


「A・RA・SH I」ですね。

TAKE IT SO SO という説。

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― 新着の感想 ―
世間的に必要とはいえ、なんかちょっとカレーヌさんが・・・ 試されているような(確認ともいう)あとから知らなかったからいいんだよって言われても。 個々の龍太郎君、かっこいいよ。
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