さよなら恋心よ、いつかまた会いましょう。
誤字報告ありがとうございます
さて、アンちゃんをじっと見る。そして聞いてみる。
「あの、レプトンさんは?」
「うーん、今日ね、辞表を提出したよ。」
えっ、やはりか。
「…何ですって?私との縁談が破談になったからですか?」
アキ姫さまが叫ぶ。
驚いてかたまる、母とラーラさん。
母は、アキ姫さまと縁談があったの?と驚き、
ラーラさんは、ええ?破談?と驚いている。
「キミのせいじゃないよ、アキ姫。」
リード様はビールを煽る。
「その通りよ。ごめんなさいね。」
王妃様が軽く頭を下げられる。
「どういうこと?」
母に部屋の隅に連れて行かれる。隣にラーラさんもいる。
「アアシュラ様が平和なこの国にアキ姫さまを嫁がせたいと思われたの。それでレプトンさんに白羽の矢が立ったんだけど。
ホラ、レプトンさんはずっとカレーヌ様が好きだったでしょ。」
「それで昨日、プロポーズしてOKをもらったのね。
なるほど、すぐに龍太郎君を呼んで味方するように根回ししたのか。」
母は頭がまわる。その通りです。
そこに龍太郎君が飛んできて母の肩に止まる。
「オイラはさ、メリイの味方ダモン。アキ姫サンには気の毒ダケドサ。メリイと仲が良いレプトンサンの味方ダヨ。」
「そうよねえ。あー、私を呼んだのはアンディさんの仕業ね。私も詳しい事知らなかったからカレーヌ様の縁を喜んでたものね。」
「オレがオッカサンが大好きナノヲ知ってるカラネ。メリイの次に好きダモン。」
「アラ、そうなの。可愛いわねえ。そーら、ほっぺをグリグリしてあげる。ほら、おでこはどう?自分じゃ手が届かないでしょ!」
猫の毛繕いじゃないんだから。
「ううん、キクウ!サイコーダヨ、オッカサン!」
そんなにか。そんなに、母が好きかい。龍太郎君。
すげえな。
もう、あんたのオッカサンじゃ無い、と言う気も失せました。
「ネモサンやリードサンは少し違うノサ。アノ人達は土地神に愛されてる。つい協力シチャウヨネ。」
龍太郎君の目が黄金色にきらめいてリード様を見る。
「昨日ネ、レプトンサンの報告を聞いてミッドランド夫妻は倒れ込んだネ。メリイはマア、オイラが逐一報告してタカラ大丈夫だったけど。」
龍太郎君とメリイさんは意識が繋がっているのである。
龍太郎君は口に出さずにメリイさんに伝えられるのだ。
「とりあえず、料理を出すわ。」
出来上がったポテトフライを追加で出す。
「美味しいですわ!悲しいくらい美味しいですわ!塩味が効いてますわ!」
泣きながらビールを飲み、ポテトを召しあがるアキ姫さま。
「うん、もっと食べたまえよ。アアシュラ様のお願いだ。他にも有望な青年達を用意するから。」
「うううっ。」
リード様の言葉に涙ぐんでいらっしゃる。
「私、わりとレプトンさんが好きでしたの。」
「うん。彼は優しいからね。ガツガツしてないし。」
「ええ、じっとりと嫌な視線で見たりしないし、怖くなかったんです。」
あー、豊かなバストをやらしい目で見られてたのか。
深窓の姫だ。嫌だったでしょうねえ、それは。
「こんな事になって。私とヴィーでアアシュラ様には謝罪するよ。」
弾かれるように立ちあがるアキ姫さま。
「それはいけません!妊婦のヴィヴィアンナ様にご負担をかけるなんてっ!あのかたはちっとも悪かありませんわ!私への謝罪も不要ですっ。」
そこで息を整えてられて付け加えられた。
「母だってそんなのは望んでいませんわよ!」
ああ、お二人ともヴィヴィアンナ様がお好きなんですね、素敵です。ウンウンと頷く私。
「さあ、梅ヶ枝餅をどうぞ。追加で焼いてきた熱いものを。」
冷めたのは引いて子供達のオヤツにしよう。
「美味しそう!いただきます!美味しい!
私は甘いものでお酒が飲めるんですのよ!」
梅ヶ枝餅とビールを交互に楽しむアキ姫さま。
ブランデーでチョコをつまむようなものかいな。
「ああ、懐かしい。太宰府の参道で焼いてるのを見ていたわ。」
王妃様も感極まってらっしゃる。
「沢山お店がありますからね。」
「食べ比べもしたの。イートインで抹茶セットで食べたりとか。お持ち帰りもしたし。」
「お好きなんですね。私もデパートの九州物産展で並んで買ったことありますよ。前に並んでた人が、エッ梅ヶ枝餅なのに梅入ってないの?って言ってました。」
「そういう意味じゃないのにね。
あとヨモギ入りタイプもなかった?先着何名かが買えるの。アシスタントさんに開店前に並んで貰ったことがあったような。」
「草餅タイプ?柴又の草団子ミタイなの?寅さんに出てクル。」
「龍太郎、寅さん好きだもんね。一緒に映画見たね。」
メリイさんも懐かしそうだ。
「でもアレは上にあんこをまぶすわよね。」
「そうですね王妃様。来年ヨモギが手に入ったら作ってみましょうか。」
「ワアイ。やった!」
そこにラーラさんがそっとアンちゃんに耳打ちする。
「お餅も良いですが、結局レプトンさんはクビなのですか?アンディ義父さん。」
「アー、うん。どうかな。揉めてるよ。それで帰ってくるのが遅れたって言うか。」
「ラーラさん。保留にしてるんだよ。」
リード様が伸びをなさる。聞こえたのか。
「私は引き留めてるんだけどねえ。私はホラ、以前のことがあったから、」
そこでラーラさんをチラリと見るリード様。
リード様は以前、レプトンさんとラーラさんとの仲を拗らせた責任を感じてらっしゃるのだ。
「レプトン君の縁談には熱心だったんだ。それでつい突っ走ってしまったと反省しているんだよ。」
なるほどなあ。
「あそうだ、アキ姫。こちらはラーラさん。紹介しておくね。ネモさんのはとこになるのさ。
(一応そういう設定です。皆様覚えておいででしょうか。)
黒い狼の奥方でアンディの所に夫婦で養子に入ってるんだ。今はジェット子爵夫人かな?」
「まああ、そうでしたの。シンゴ・ジェット様には良く警備してもらってましたの。」
「こちらこそ、宜しくお願いしますわ。今はね、レイカ義母さんのお手伝いをしてますの。」
「シンゴ君が激愛して外に出さないのさ。ね?」
リード様がパチンとウインクをなさる。
側からみればそうなるのか。
「とにかくね、辞めます。というレプトン君と押し問答をしていてね。ずっと。
そしたら、ホラ、龍太郎君がお食事会をして母上も来ると言うじゃないか。
で、その件は後日といってこっちに来たんだよ。
……ま、ほとぼりが冷めたら元通りに仕えてもらうさ。」
「良かった。」
安心するアキ姫さまだ。良いお人である。
「嫁がなくともここで暮らしていけますでしょう?」
「それはもちろん。」
リード様も王妃様も頷く。
「しばらくは生徒たちの指導に専念しますわ。ドンやリッキーを立派な歌手にしなくては。」
「偉いわ。」
本当に頭が下がるよ。
「国では異母妹に命を狙われてましたの。」
「……アアシュラ様から薄々聞いてましてよ。」
王妃様の顔が強張る。
「それでペットが死んだのカイ?ヒデエな!」
「妹は第一側妃の子で儚い美少女タイプなんですけどね。裏の顔はお察しです。彼女がやった証拠は掴めなくって。
ただ、私の所に来てニヤリと。死ねばよかったのに、と。」
酷いな。
「彼女がそんなことやってない、そんな事言ってない、と言えば終わりなんです。父が溺愛してますから。
それで母が私を逃してくれたのですけど。」
「ウン、そんな女はココには入れネエよ。」
「何で命を狙われたのか心当たりはあるのですか?」
恐る恐る聞いてみた。
「私には幼馴染で仲良しの男の子がいて、婚約話が持ち上がったのですけども、その子のことを妹が好きだったのですわ。」
アキ姫さまはため息をついた。
「その人は今思えば、レプトンさんに感じが良く似ていました。
ハチミツの様な色の金髪も。それに誰にでも優しくて、仕事も熱心で。
もちろん、いやらしい目で見てきたり、私が王女だからってへりくだったり、持ち上げたりもせず、自然体で接してくれていたんです。
ほんとに好きでした。」
「その彼はどうなったのですか?」
ラーラさんが掠れた声で聞いた。
「妹の求愛を跳ね除けて、追放されたと聞いています。
一説によると、砂漠に放置された、海に突き落とされたとも。」
「酷い話じゃな。」
王妃様の眉間にシワが出来ている。
「フーン、オイラがその妹を焼イテやろうか?」
「龍太郎君。そうして欲しいけど国際的にまずいかな。」
リード様が止めた。
「ね、さあ、今日は飲んでくれたまえ。
また、すぐに良い出会いがあるよ。キミならね。
もう恋なんてしないなんて、言わないでくれたまえよ。
ブルーウォーターの若き独身男性諸君が悲しむからね。」
麗しの王子様はウインクをして、この場の雰囲気を変えた。
「ハイ、こちらはイカのバター焼きですよ。」
料理を追加で出す。
「ウワア、美味しソウ。」
そうして和やかに食事会は続くのだった。
タイトルネタはポルノグラフティの「サウダージ」からですね。
「梅ヶ枝餅に梅が入ってないの?」
実際に、九州物産展で梅ヶ枝餅を買うのに並んでいた時に聞いた言葉です。
限定の草餅バージョンや、古代米?を使ったバージョンをゲットするたまに開店前から何回ならんだことか。
追記
「ロージイの話。ずっとあなたが好きでした〜のスピンオフ。」
投稿しました。カテゴリはヒューマンドラマです。
それに伴い、
「ずっとあなたが好きでした〜」もヒューマンドラマのカテゴリに戻しました。




