甘ったるくて糖尿病になりそうだ
冬が駆け足で近づいてきたなと実感するきょうび山の中は季節の変わり目も知らせが早い早い。
そんな翌朝の事。
「えー遂に、我が家をリフォームしようと思いまーす!はい、拍手ーパチパチパチ~」
「…へ?本気?お父さんの事だから修行の一環だといって絶対このままかと思った」
「うん、それでもいいかなとは思ったんだけれどもお父さん思っちゃったんだいつまでもこんな素人建築小屋のままだと電気が使いにくい!」
この掘っ立て小屋は一応五右衛門風呂もどきとソーラーパネルで灯りも保てるがまだ豆電球でなんか味気ない。LED照明なので明るいが味気ない
「と、云うわけで最近プロに見積って貰ってな今日から午前中は大規模な改築工事が行われるからキュウセンは必要な荷物をまとめてから学校へ行きなさい。後で郵送で仮住まいへ送っておくから」
「え!急過ぎない?それに仮住まい先は何処?」
サプライズだといったらその嫌な顔は払拭されるだろうか
「取り敢えず下山する。そして人里のアパートで暫し暮らすことになるなあ…」
「つ、つまり気軽に街中で遊べるんだね!」
「そうだなだが気を付けろよ引っ越し先は民家がひしめき合う住宅街の借家ときた。今までは大声だしても好きに暴れても良かったがそうはいかなくなる。まあ、数ヶ月の辛抱さって聞いてる?」
騒音や近隣トラブルって奴は何処から何処まで許されるのかは本当に人それぞれだから気を付けねばと通学する前に娘と話していると云うのにその娘は上の空…
「数分歩いたらコンビニが…」
あーそうかこの歳の子って家の回りにコンビニやらそれなりに揃っている所に住んでいること多いものね。しかし、、
「甘い、甘ったるくて糖尿病になりそうだ!」
「ど、どうしたの?お父さん」
「キュウセンよ、仮住まい先の近場にコンビニ確かにあるよ、だがな…新作の豊富さと割り引きクーポンの輪廻から抜け出せず氣を抜けばあっという間に所持金おじゃんになるぞ」
コンビニは魔界、所持金を吸いとる恐ろしき魔物が渦めいておる。
「でもさあお父さんお小遣い少ないんだもん…」
「あ、ならバイトすれば良いじゃないか?仮住まい先はなんたってコンビニは至るところにあるし、確かスタバやドトールなんかもあったぞ。」
「バイト!いいの?」
何故に高校生にもなって親の許可がいるのだろうか?まあ闇バイトとか夜の仕事とか内緒でも宣言でもしていたら張り倒して構成させるがうちの娘がそんなのするわけないじゃないか。
「学校にちゃんと申請書提出と履歴書は紙に記入して証明写真も忘れるなよ。あとちゃんとしたバイト先を選ぶんだよ怪しい求人には乗らないように」
「うん!取り敢えず荷物を纏めてくる!」
いやあ若い頃に散財しなくて良かったあ…
こういうデカイ買い物時に役に立つと昔から色んな人にアドバイス貰っていたけれど助かったわあ。
~それからそれから~
「忘れ物ないか?あ、これ今日から住むアパートの住所と鍵な。鍵が空いてなかったら使ってくれ」
「解った!ねえこの鍵失くしそうで怖いんだけれど…」
「ん?あーならこの紐を通して首に掛けておきな」
鍵っ子世代は首か鞄ランドセルの中かチェーンポケットか派閥(?)があったなあ。
「どう?」
「うん、違和感ないな。その紐は頑丈だから滅多な事がない限り千切れんよ」
「ありがとうじゃあ、いってきま~す!」
「おうまた後でなあいってらっさい」
最近は普通の父娘って感じなんだけれどそれでいいのだろうか?…と、そろそろ作業員さんが来る時間帯だな。挨拶してから下山しますかね。