表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

プロローグ

 この世界では各国々が食べ物の名前で名乗っていた。 例えば、日本は日の丸と呼ばれており、 アメリカはサンドウィッチと呼ばれている。


 この日の丸では遊郭が廃止されずキャバクラやレンタルスペースなどの役割を担っているため未だに残っている。 しかし、 現代の遊郭内では性病対策のため、 売春行為を行ってはいけないという暗黙のルールが存在した。


 この遊郭が原因で一般社団法人「カラボックル」というフェミニスト集団が自身の主義主張のため公共施設や遊郭に脅迫を行いそのうえ、 遊郭に放火テロや殺傷事件を引き起こした。


 これを皮切りに「狂悪主義人民解放軍」と言う名前からして危険で、 頭が悪そうな小学生が考えそうな名前のテロ組織が商業施設や学校を乗っ取り、 虐殺事件を次々に引き起こす。 この混乱の中ドラッグ人と呼ばれている違法ドラックを崇拝する不法移民が放火や刃物を振り回し暴動を起こした。


 いつの間にかこの国は世紀末と化していたが、 不幸中の幸いか他の国々でも内戦が起きているため、 国同士の戦争は一切起きていない。


 この物語の主人公、 荒川 風侍(ふうじ)は、 とある事件をきっかけにカラボックル等のテロ組織に狙われる身となる。


 彼の特徴は高身長の細マッチョの黒髪オールバックの優男、 服装は緑色の迷彩服を着服している。 経歴は大卒で自衛隊に所属していたが昔お世話になった喫茶店の店長が持病で亡くなり、 その店を引き継ぐことなり、 自衛隊を退職した。


 引き継いだ喫茶店を改装オープン。 元々有名なお店だったお陰で客足が戻って来た。 それどころか、 客足も増え売り上げは上々、 店はかなり繁盛した。


「間に合った! 」


 一人の客が急いで店に入って来た。 その客の特徴は、 小柄で胸の無い女性だが、 スタイルはよく、 黒色のスーツを着服し、 黒色のパンプスを履いている。 髪型はウェーブをかけたミディアムショートでアホ毛が生えていた。 髪色は薄紫、 色白の肌を持ち、 目の色は赤色、 八重歯が生えている。


「いらっしゃいませ! ご注文は? 」


 風侍はそう聞くと急いだ客はランチセットを注文した。 そのランチセットはコーヒーとハムサンドとキャベツと、 くし切りのトマトが入ったサラダで構成されている。 風のごとく料理を作り、 トレイに載せて客に提供した。 客は美味しそうに食べた。


「そんなに急いでどうしたのですか?」


「美味しそうな喫茶店だから焦って来たでありんす」


「そうでありんすか」


「おい真似するな」


 二人が会話している最中、 他の客が食事を終えてレジに並ぶ。 風侍はスパッと会計を終わらせて、 先ほどの客の元に戻った。


「君、 名前は?」


 平然な顔で名前を聞く風侍。 すると、 客は「影水 紫萄(しほ)」と答えた。 紫萄はこの近くの不動産屋で働いており、 そのうえ事故物件に住んでいる。


「事故物件ってお化け出るの?」


「ラップ音とか足音が聞こえるだけにゃ」


 紫萄は照れながらそう言うと、 風侍は背筋が凍った様な表現を浮かべていた。


「ホントに出るんだ! こわ~い」


「乙女か! お前は!」


「そういえば紫萄ちゃんって彼氏いるの? 」


 風侍は何のためらいもなく紫萄にそう聞くと、 紫萄は一瞬、 頬を赤らめギクッとするがコーヒーを一口飲み、 こう答えた。


「いませんよ……後、 僕…男の娘です……」


 紫萄は口に手を当て可愛らしく言うが、 風侍はキョトンとした顔で首を傾げる。


「ホントぉ? 君、 女の子でしょ?」


 風侍が優しい目でそう聞くも、 紫萄は横に首を振る。


(人には言えない諸事情があるんだなぁ~)


「そろそろ時間なのでまたでありんす」


「あの……今夜空いていますか? 」


「え……あっはい……」


「ご飯奢るので是非! 」


 風侍が頭を下げると、 紫萄は「OKでありんす! 」と答えた。 その返答を聞いてホッとため息をつく。


「名前を教えてほしいでありんす!」


「俺は荒川 風侍、 元自衛隊員です!」


 風侍は敬礼をする。


「よろしくお願いします! 風侍さん!」


 紫萄はお金を払い、 店から出る。


(マジか……あたしが女ってことバレた? いや、 そんなわけ無いか!)


 紫萄は一瞬そう考えた後、 会社に戻った。 午後6時に紫萄は風侍の店の前に現れた。


「紫萄く~んお待たせ!」


 風侍が楽しそうに店から出て来た。


「え! わっちょ!」


 紫萄は頬を赤らめ、 恥ずかしそうに眼を逸らす。


(え……あたしが女って事バレてない? )


 紫萄は一瞬そう考えたが、 出会った時からバレている、 なんなら無理がある。そのため、 あえてこの場所を選んだ。


「え~と今日はどこに……」


「案内するからついてきて」


 風侍は紫萄を遊郭へと連れて行った。 すると、 紫萄は唖然としていた。


「なっ何でここに連れて来たんでありんすか!」


「だって紫萄君、 男の子なんでしょ!」


 風侍は腕を組み、 威張るような態度をとった。


(クソぉ~こうなるんだったら女だと公表しとけばよかったでありんす)


 紫萄は俯きながら爪を噛む。


「とりあえず、 この店行こう!」


 風侍は紫萄の手を引っ張りお店へと入って行った。 店に入ると20代前半のキャバ嬢が出迎えて来た。 そのキャバ嬢の特徴は、 高身長で胸は普通、 スタイル抜群で黒色のキャバドレスを着服し、 ハイヒールを履いている。 髪型はロングヘアーにパーマをかけており、 髪色は栗色、 紫萄と同じく八重歯が生えている。名前は銃島(つつしま)美蝠(みもり)という。


「風侍君! 久しぶり!」


「久しぶり美蝠ちゃん、 次の就職先見つかった?」


 風侍がそう言うと、 紫萄は首を傾げる。


「見つかったよ~明日初出勤!」


 美蝠は笑顔で飛び跳ねた。


「それは良かったね! あっそうだ部屋一つ貸してくれる? 」


 風侍がそう言うと、 美蝠は部屋へと案内した。 その部屋は、 綺麗な和室だった。部屋の真ん中に座卓が置いてあり、 二人は対面で座った。 因みに、 この世界の遊郭の個室はレンタルスペースの役割を担っているが、 スマホや盗聴器などの電子機器を使えなくする金属が使われているため、 レンタルスペースとして扱われている。


「ここなら隠し事無しで話せるよ」


「え? 何をですか?」


「だって紫萄ちゃん隠し事してるんでしょ?」


 風侍は可愛らしい目をしながら首を傾げる。


「なんでわかるの?」


 紫萄はしらばっくれる。


「だって、 その見た目で“男“って無理だと思う」


「人を見た目で判断しないでください」


「じゃあ本当に男なのか教えて」


 風侍はとてもワクワクしていた。 まるで、 女子が恋バナを聞くかのように。


「本当は女でにゃりんす……」


 紫萄は恥じらい、 風侍から目を逸らすと頬を赤らめた。


(可愛い)


 風侍はそう思いながら、 顔を逸らす。 それを見た紫萄は頬を膨らませ、 睨みつける。


「なに?」


「何でもない」


「聞きたいことはそれだけですか? あたしは早くここから出たいでありんす! こういう場所は苦手で……」


「君……北海道で殺された女の子?」


 風侍は真剣な表情でそう聞くと、 紫萄は静まる。


「なんの事でしょう?」


 紫萄はキョトンとした表情で上を見つめた。


「あっ……人違いか……紫萄ちゃんこういった派手な場所苦手?」


「陰キャのあたしにはこういった場所は苦手なの! だから早く出してください! 」


「じゃあ、 行きつけの居酒屋行く?」


「ウォッカ飲めるんだったらいいでにゃりんす」


「よし、 じゃあ行こう」


 風侍がそう言った瞬間、 紫萄は嬉しそうに飛び跳ねた。 それから風侍は、 部屋代1000円を払い、 とある居酒屋へと向かった。 その居酒屋は岬と言い、 鶏料理と酒がメインでかなりの人気を誇っている。 二人はテーブル席に座る。位置は紫萄が奥で、 風侍が手前に座る。 注文はお店専用のタブレット端末で行う。


「あたしの大好きなウォッカがある!」


 紫萄は目を光らせ猫の様に喜びながら注文する。


「よかったね~」


 風侍は嬉しそうな表情で紫萄を見つめた。 風侍はしれっと、 大好物の赤ワインと鳥のせせりを注文する。


「そういえば紫萄ちゃんはワイン飲んだ事ある? 」


「もちろん! あたしは酒豪でありんす! 」


「じゃあ飲み比べしよう」


 風侍がそう言うと、 紫萄はグッドサインを見せる。 それから数分後、 風侍は酔っ払ってしまうが、 紫萄は余裕な表情で風侍を煽る。


「あれれ? 風侍君もうダウン? 弱いでありんすね~」


 紫萄は風侍の耳に息を吹きかける。 すると、 風侍は眠ってしまった。


「いや弱すぎでしょ……」


 風侍は酔い過ぎて立てなかったため、 紫萄が肩を担いで代金を払い自分の家に連れて帰った。 家に帰ると、 寝室の床に寝かせた。


「はぁ……こいつどうしよう」


 紫萄は押し入れから毛布を取り出し、 そっとかける。


「あーあ、 明日も速いし寝るか!」


 紫萄は急いで寝る仕度をして床に就いた。 翌日、 風侍は紫萄より少し早めに目覚め紫萄の歯ブラシで歯を磨いた。 とても眠そうな表情で歯を磨いている。


「あー会社めんどく……」


 最悪な事に紫萄が目覚め、 風侍と遭遇してしまった。 しかし、 何事もなかったかのように歯を磨き終え、 口を濯ぎ終えた。


「あら紫萄ちゃんおはよう……」


「何しとんじゃゴラァ!!」


 紫萄は風侍の鳩尾を殴る。 派手に飛ばされた。


「おい変態! スパーするぞ! ゴラァ!!」


「ちょっと紫萄ちゃんやめて! 暴力反対!」


「何が暴力反対じゃゴラァ!!」


 その後、 数発殴られたが、 傷口や腫れがすぐに引いた。


「ランチ、 ただで作るのでお許しください!」


 土下座をして許しを請う。 すると、 紫萄は悪そうな笑顔を浮かべた。


「一ヶ月、 あたしの食事を無料で提供しろ」


「わかりました! そうさせてもらいます!」


 風侍は土下座をしながら、 要件を承諾する。 それから、 風侍は紫萄の為にご飯と味噌汁を作ってあげた。 紫萄はインスタントの物しか食べてなかったため、 とても嬉しそうだった。


「お昼行くね~」


「はーい」


 二人は一緒に家を出て職場に向かった。 それから数時間後、 紫萄は昼休憩に入り店を訪れた。 お客は誰一人いなかった。


「あらいらっしゃい」


「あれお客さんは?」


 紫萄は首を傾げた。


「あー今日、 臨時休業にした」


「そうなんだ……じゃあとっとと昼飯作れ! 」


「作るから席に座りなさい!」


 風侍がそう言うと、 紫萄は不満そうな表情でカウンター席に座る。


「で、 何食べたい? 」


「昨日の」


「は~い! すぐ作るから待っててね~」


 風侍は調理に取り掛かった。 紫萄はきょろきょろと周囲を見渡すと、 カウンター席の手前に置かれた写真立てを見つけた。 その写真には風侍を含め四人の自衛隊員が写っていた。


「これ誰でありんすか?」


「俺の弟たち……今は何しているかわからないけどね……」


「へぇ~」


「三人とも都会の方に行っちゃったから会う事がないんだよね~それに……」


 風侍が振り向くと窓の奥から三人の警官が機関銃を構えていた。 それに気づいた風侍は背後に回り、 抱きしめる様に運びカウンター席の裏側に隠した。


「ちょっとなんでありんすか!」


 紫萄は動揺していたが風侍は落ち着いていた。


「伏せろ!」


 風侍がそう叫んだと同時に伏せた。 警官が発砲。 鉛玉が店の壁を蜂の巣にする。


「あいつら! 人の店にパンパン撃ちやがって!」


「どうするの?」


「俺が何とかする!」


 風侍はそう言うと、 裏側から跳びだし警察の方に向かう。 その際、 手足に被弾したが傷口がほんの数秒で塞がった。


「お前まさか……」


 一人の警官が固まってしまった。 まるで蛇に睨まれた蛙の様に。 いつの間にか風侍の右手に太刀が握られていた。 その太刀は、刃は黒く、 柄は灰褐色、 鍔は金色で桜の形をしている。 鞘も黒いが青と黄色の桜が刻まれていた。


「『死桜:血閃(けっせん)』……」


 風侍は太刀を抜刀、 警官の胴体を斜めに斬り落とした。


「お前……霊能者か?」


 一人の警官が震えながらそう呟いた。 この世界の霊能者と呼ばれる霊と契約して強力な武器や四大元素の力を得た人間がいる。 全ての霊は契約した瞬間、 動物霊へと姿を変える。 だが、 稀に()()を持った人間がおり、 その人たちは霊と契約しなくても霊能力を扱える。 使用できる四大元素は火、水、土、風となっており霊によって元素が変わる。


「そうだよ今の時代珍しくないだろ」


 風侍は刀を死体に近づける。 すると、死体から血液が一滴残らず絞り出され、 ピザカッターの様な形状となった。


「血液を操る能力……まさかお前は荒川 風侍!」


「『死桜:血達磨』!」


 次の刹那、 風侍が血液を解き放ち、 警官の胴体を横に斬り落とす。 それと同時に血液は、 こぼれた水の様に広がって行った。


「お前ら……サツじゃないな……どっかの半グレだろ?」


 風侍が問うと、 警官は「そうだよ! 俺たちは否ン苦魔宇素(ピンクマウス)の人間だ!」と答えた。


「あーやっぱ半グレだったか」


 風侍の太刀が一瞬で消え風侍の右腕が変貌する。 すると、 風侍の右腕はナイルモニターと呼ばれるオオトカゲの様な腕へと変貌を遂げた。 次の瞬間、 右腕で警官(半グレ)の心臓を抉り出す。


「クソが……だが……これで終わったと思うなよ……荒川……風侍……」


 警官(半グレ)はそう言うと、 息を引き取った。


「ちょっと風侍くん! 大丈夫?」


 紫萄が出てきて風侍の姿を見て、 唖然としていた。 何故なら、 大量の返り血を浴び錆びた金属の様な臭いを放っているからだ。


「紫萄ちゃん疲れた! ハグして!」


 風侍が満面の笑みを浮かべながら紫萄に近寄ると全力で逃げ出した。


「こっちくんにゃ!!」


 この事件がきっかけで、 とある組織が動き出す。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ