ゆいこの推し活D(ゆいこのトライアングルレッスンD)
こんにちは〜。久々に投稿します!
良ければ読んで下さい〜。
「タクミ おはよー!ごめんね!待たせちゃった?」
今日はタクミと私の休みが合ったので、一緒にお出かけする約束をした。
社会人になった私たちは一人暮らしをしており、路線が逆方向なので、目的地の最寄り駅の改札で待ち合わせをしたのだが、嬉しい事に、私よりも先にタクミは到着しており、改札前の柱に寄りかかりながら私を待っていてくれたようだ。
「待ってねーよ。それよりもほら、行こうぜ?店予約してんだろ?」
「あ、そうそう!今向かったらちょうど良い時間になると思う!じゃあ行こっか!」
2人で見知らぬ道を地図アプリ片手に肩を並べて歩く。
目的地までは5分とかからなかった。
「あのぉ?すみません。2名で予約していたのですが…」
「いらっしゃいませ。ご予約頂きありがとうございます。こちら予約者様限定のヒロシ様席となります。」
「きゃぁ!?
この壁、この位置ってもしかして!?
ひー様があの番組で座られていた席ですよね!店員さん、ありがとうございます!!
ねぇ!ねぇ!タクミ!!
私こっちに座ってもいいかな?」
「おぅ…」
出会って5年の仲となる俺たち。
一般企業に就職した俺と違って、ヒロシは芸能界の道へ入り、今や毎日メディアで顔を見ない日はないと言うくらい超有名人となってしまった。
そして、ユイコは高校時代のヒロシとのギャップに萌えたのか、推し宣言をしている。
「店員さん!注文しても良いですか?
ひー様が注文なさっていた、この画像のメニューってどれでしょうか?
同じ物を2人分お願いします!!」
と、メニュー表とヒロシが投稿したSNSの画像を片手に頬を赤らめながら注文するユイコ。
つか、ひー様って何だよ…。以前はヒロシにだって「ヒロシ」呼びしてたじゃねぇか。
俺には「タクミ」呼びのままなくせに。
俺は若干心にモヤを感じつつ、ユイコと昔話をしながら、ヒロシが以前食べた物と同じメニューを口にする。
でも、料理の味は流石有名人が通う店と言うべきか、頬が蕩けるほど美味かった。
「ふぅ〜。お腹いっぱい♡
ひー様と同じ席にも座れたし、同じお料理も食べられたし、来て良かった〜!!
あ、そうだそうだ。今のうちに推し食報告しなきゃ!」
マスクを付け嬉しそうにSNSに投稿を終えたユイコは、割り勘しようと財布を出そうとする。それを俺は片手で引き止めた。
「いや。ユイコ。出さなくていいよ。
俺ももう社会人だしさ。今日は俺の奢り。
楽しめたみたいで良かったな。」
「うん!一緒に来てくれてありがとうね!」
「じゃあお会計してくるから、待ってて。」
クレジットカードの決済音が鳴るのを待っていると、以前ヒロシと会った時に鞄に付いていたストラップをレジ下の商品棚で目にした。
ユイコに隠れるように追加で購入し、値段タグを切ってもらってポケットに入れる。
「タクミ、ご馳走様!あ〜。幸せだったなぁ。明日から仕事なんて無理かもぉ。」
来た道を今度は日傘を差したユイコと共に1列になって歩く。
スカートの裾を揺らす後ろ姿に胸の奥がきゅ。とする。
きっぷ売り場まで近づき、俺はふとユイコを引き止めた。
「ユイコ。ちょっと待って。あのさ…これ。もし良ければ貰ってくれ。」
と言いながらポケットからストラップを取り出す。
ユイコはヒロシがこのストラップを鞄に付けている事は知らない。きっと知ったらOPP袋で密閉した後、部屋の鍵棚の中にある宝箱に入れて保管するのだろう。
「私に…?ありがとう。大切に使わせて貰うね。」
二人の時間はあっという間で、改札を潜ってしまう。
「あ、ねぇ!タクミ待って!!」
とユイコが近づいてくる。
勢いをそのままに俺の耳元まで近づくと
「あのね。私、ひー様も好きだけど、たっくんの事も大好きだよ♡
じゃあ、またねヾ(*ˊᗜˋ*)」
そう言って反対方向のホームの階段を駆け上がっていくユイコ。
俺はその姿を眺めながら動けずにいた。
「何だよそれ…反則だろ…///」
fin
ここまで読んで頂きありがとうございました!
推し活への妄想炸裂させながら作らせて頂きました。
もし宜しければいいねや感想も頂けますと幸いです。
これからも3人の人生に幸あれ。