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念願の異世界転生したら、勇者じゃなくて聖剣(幼女)でした  作者: きびだんご
1章 私、勇者に会う
6/11

1-0 運命の出会い?!

みなさんこんにちは。


よくわからないけど、よくわからない場所にいて、よくわからないうちに念願の勇者ではなく、果物ナイフのような聖剣になりました、人畜無害なアラフォー女子です。


あれからも何事もなくキラキラミルクを飲み、勇者来い来いの歌を歌っています。


雨の日も風の日も、晴れていようが夜だろうがおかまいなしです。

騒音?そんなもの関係ありません。

だって、人、いないし。

妖精ズは、にこにこして私の歌声聞いているし。歌声、といっても彼女たちに聞こえているのは、ご機嫌な赤ちゃんの意味をなさない言葉なんだろうけど。

だって、勇者に会いたいんだもん。というか、暇すぎるんだもん。


『ああ勇者、あなたはなぜ勇者なの~』

今日の歌は、ロミオとジュリエットバージョンです。

私的には、バラード調で気持ちよく歌っているつもりなんだけど、赤ん坊の体では、出てくる言葉は「ほえ~」「ぼえ~」なわけで・・・。


ぼえ~って何さ、ジャイ〇ンじゃないんだから・・・。


そんな毎日を過ごし、来い来いの歌にもバリエーションが増えてきました。

『勇者~、勇者~、ああ勇者~~』

「しゃー、しゃー、あーああーーー」

今日もふかふかベッドの上でクッションにもたれながら歌っていた私。

それは突然おとずれた。


「今、何か・・・?」

「!!!」

私の耳に、誰かの声が聞こえてびくっとする。

続いて、さく、さく、と軽やかな足音が聞こえる。

『え?!ついに勇者登場???』

妖精ズたちも、私の周りに集まってくる。

彼女たちは飛び回ることをやめて、私の周りに来ると、その場を動かずに羽ばたいていた。


「??」

草原の向こうから、人が一人、こちらに向かって歩いてくる。

『え?私の声、聞こえたの?』

「え??にゃの?」

どうやっても、思っていることをそのまま言葉にできないお口に少々苛立ちながら、それでも声を出してみる。


すると、その人は、声に気づいたように一度立ち止まると、きょろきょろと周りを見るような動作をし、さらにこちらに近づいてきた。


だんだんと姿かたちがはっきりわかるようになる。

『・・・って、え??子ども???』

「ううぇ??」

近づいてきても、それほど大きくならない姿に、あれ??と思ってみていると、またも漏れた私の声に、

「だれか、いるのですか?」

その子は、きょろきょろと周りを見渡しながら言い、さらに近づいてきた。


(わ、かわいい子!!)

さらさらの金の髪を肩より少し短いところで切りそろえ、白を基調として、ところどころに刺繍の入った神官というか僧侶というか、聖歌隊とかにいそうな服を着た・・・・少年??少女???

子どもらしい少し高めの声は、女の子とも男の子ともとれる、10歳くらいに見える子どもが一人、こちらに向かって歩いてきた。


私がじろじろ見ているのに、まだこちらには気づいていない。

だいぶ近くまで来ているというのに、そんなに私小さいか?とか、いやいや、この豪華ふかふかベッドがあれば目立つでしょうよ?!草原に豪華ベッド、おかしいでしょうよ?!とか思っているが、やはりその子は私と目が合うことはない。


「・・・?」

しかもあろうことか、その子は「気のせいか?」みたいな表情をして、来た方向へ回れ右して帰ろうとし始めた。


『え!?なんで?!』

「ぅをっ?!」


「・・・え??」

子どもが立ち止まり、またきょろきょろとする。

一瞬、私と目が合うが・・・・きれいに華麗にスルーされた。


『えー、これ、見えてないんじゃない??』

きょろきょろ、の「きょ」のあたりで、またその後のきょろきょろの時にも、目は合うんだけどスルー。

そのうち、子どもはベッドのすぐそばまでやってきた。


なのにスルー。


(えぇ・・・、声は聞こえてるっぽいのに、見えないとか、どうすんのこれ・・・)

「ぅいー・・・・」

すぐそばで聞こえたため息に、子どもは目に見えてびくってなって、ベッドの端にぶつかった。

「わ、痛っ・・・え??」

何かにぶつかったことに気づくも、そこには何もない。

きょろきょろきょろきょろ・・・・・。

慌てたように周りを見て、そして手を伸ばし・・・その手が私の頬に触れた。

「え??・・・・え???」

金の髪に黒い瞳のその子どもは、きれいな黒目を真ん丸に、そりゃもう見事に丸くして、私の頬に触れたまま見事にフリーズするのだった。

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