朝は王宮、ソロスタート
天空都市バルスドーラの王宮、中央データベース。
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【王太子アルテス・アグマータトアラ崩御事件】// について
《アルテス王子ロワ・アグマータテア崩御》
《両親と共に発見される》
// 混乱時の誤情報であったことを確認
【アルテス王子ロワ・アグマータテア王宮へ帰還】
【第3湖上農園にて秘密裏に保護されていたため】
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最後の入力を無事終えて書記官ジェノ・ダークはほおっと息をついた。
「15年前から覚悟はしてた。思い残すことはなにもない……そのうえ誰も死人が出なかったのだから最上の結果だろう」
「ダーク……」
同僚の視線に、現役中まるで見たことのない爽やかな笑顔で返した。
「これからは親孝行するさ。ゆっくり姪の勉強を見てやれるしね」
「帰宅しやがった!爽やかに!この状況で一番頼りになるはずの黒幕系モブ親父イヤアアアアアアア!!!!!」
オリィは頭を抱えてベッドの上でごろんごろんした。
今回の事件の元凶にして全てを知るベテラン書記官ジェノ・ダークは昨日のうちに王宮を去って、今朝は実家の薬草屋で目覚めているはずだ。
「そうね~」
呑気に王宮侍女のおねえさんが笑う。
「朝起きたら王子様のベッドとかね~非日常で悶絶しちゃうわよね~わかる~!」
フェイニ王子のお付きは男性だったが、女子なオリィに気をつかってわざわざ別区画に勤めていた女性をお付きに変えてくれたのだ。このほどの影武者チャレンジの話をすっかり知っている数少ない1人であり、彼女も「王子様の影武者(実は女の子)の侍女」という非日常に浮かれている感じがある。ぽやぽやお花が咲き出しそう。
この侍女にしても王様にしても育ちのいいおっとりして人のいい感じが溢れてる。
だがしかし。
そうなのだ。
(結局、15年前の王太子一家崩御事件の実行犯は見つかってないー!!)
ジェノは知っていたではないか、今回のロワ王子バルスドーラ王殺害未遂事件にて何者かが便乗して王族を害しようとしていたことを。
「モブ親父大事なこと言わないで真っ直ぐ帰宅したああああ!さすがノスコンの親父!詰めが甘い!!」
たっぷりした枕を頭にかぶってオリィはじたばたした。侍女さんはあらまああらまあとニッコニコのままだ。
足をおもいっきりじたばたしながら
(考えろ)
オリィは脳細胞に命令する。
(誰かが王族の命を狙っている。昨日湧いてきた連中は……)
うん、ノスコン・ダークが謁見の階段&一般市民ごとぶっ潰したね。
「ダーク父子ろくでもねえええええええ!!!!!!」
あの後の中央病院の混みよう混乱っぷりを思い出せば、警察が捕まえる暇なんてなかっただろう。
加え、ここは王宮王族居住区。
一番事情を知ってるはずのジェノ・ダークはおらず。
だいたいのことを腕っ節でなんとかしてしまうノスコン・ダークもいない。
ウィリィもゼム兄貴もリインナさんもいない。
王様にしろ侍女さんにしろ昨日会ったばかり。
(めっっっっっちゃソロやん……)
じたばたが電池切れのようにぱたんと止まった。
二人の王子。二人の王子。
夢なんてしっかり目が覚めたら忘れるものだけど、やたらリフレインしたそれだけが頭に残って気味が悪い。
確実なのは、王族の命……影武者の自分含む……を、今日も誰かが狙うだろうことだけだ。
(……さあて、初手どうするよ?)
オリィは脳裏の駒を慎重に吟味した。
<続>




