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宮勤めの王子殺し

いと高き天空都市バルスドーラ、王宮は十六夜の間にて語られる罪状。


「ぴええええぇぇ?!」

身長約2mの尻に敷かれて、

「なに?!書記官のおっさん、ただの天空都市最強の父親っていう苦労人モブじゃなかったの!?おのれオリィちゃんぬかったわ!こんなところに元凶がぬくぬくしていようとは!!」

オリィ・ザッテの舌のまわりはそれでも絶好調である。

「モブ言うなモブと。誰もが自分の人生の主人公なら、私にとってはオリィ君がモブだよ?」

先ほど王子殺しの下手人として突如自白した、書記官ジェノ・ダークはしれっと返した。

「オリィちゃんモブじゃないだろ。あんたの馬鹿息子の生涯のライバルだろ」

それはモブなのかそうでないのか微妙な線ではあるが、かようなライバルを尻に敷いて息子氏は妙に冷静に

「……王子って、これ?」

そう、ジェノが殺したという王子ロワ・アグマータテアは目の前に居るわけで。

「これ言うなこれとか!不敬罪でぶん殴るぞ!」

ずいぶん口の悪い王子様である。

「おおぶん殴れ!殴ってこいつをあたしたちからぶち落とせ!」

ようやく少女2人を押しつぶしていた大男は身をずらした。

「ボク怪我人だよ?固定魔法重ねがけしてもらわないと無理ィ……」

骨折を止めてもらっていたウィリィはさすがに泣いた。

反射的にノスコンが魔法を使おうとしたのを、オリィは厳しく止めた。

「魔力があればなんでもできるって思考回路は卒業しろよ??医学知識無しの治療魔法ほど怖いもんないんだよ!」

「ああ、うん」

ノスコンがしおしおとなるまでを、父親が不思議な笑みで見守り、それを見ているバルスドーラ王は口をぽかんと開けていた。


「では、ジェノ・ダーク、改めて申し開きをいたします」

ジェノは一同の視線の前に堅苦しく一礼した。

「15年前の王太子一家崩御事件の折、王宮データベースの保守を行っていたのが私です」

ノスコンは少年期の記憶を掘り起こす。たしかにその日父親は職場から帰ってこなかった。

「実行犯は今なお捕まっておりません。故に様々な風説が生まれました。たとえば王太子一家を消した真犯人は弟君であった現バルスドーラ王あなたであるとか」

「そうだ」

思わず口をついたのはオリィだ。

「『バルスドーラ七不思議』系のやつですっごくよく読む説」

「ま こ と か?!」

王は悲鳴をあげた

「なぜわたしが兄を殺さねばならぬのだ?!理由など何もないではないか!」

「王位を狙う権力闘争」

見てきたようにオリィが言う。だって見てきたように書いてあるのだそういう本には。

「王位とか、昔ならともかく現代は革命王の直系子孫というだけで、権力などたいしたことないぞ??」

現代のバルスドーラを治めるのは、四魔法王の神官として選挙で選出された4名だ。

「違うの?????」

ついさっきまでその説を信じ込んで王を殺そうとしていたロワが非常に居心地悪そうだ。

「有名なガセネタです。王宮データベースに犯人の名前はまだ入力されていません。現王のアリバイも完璧に証明できます。まあ、そ れ ら を 入 力 し た の が 私 なのですが」

「黒幕ーーーーーーッ!!!」

ジェノの自白に一同が頭を抱える。


「魔法王に誓って、犯人は現王ではありえません。そして現在もまだ捕まっておりません。ただ、私は……人命救助のため一件だけ真実を隠蔽いたしました」

ジェノは王子へ微笑んだ。

「お父上にそっくりです。よくぞ生きて帰ってくださった」

その目のうちのあたたかさに、王子ロワは胸を打たれた。

「……おれ」

ジェノは頷いた。

「王太子一家崩御事件で、あなただけが命を拾いました」


<続>

設定集に「登場人物(1)」(ノスコン、オリィ、リインナ、ゼム、ウィリィ)UPしました

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