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殺人者の正体

いと高き天空都市。異教の魔術師の都バルスドーラの中央である王宮の塔。



王宮の外壁沿いに設置された幾本ものガラスのエレベーターが上下する。そのひとつに王宮書記官ダークは、今回の事件の当事者である若者達を連れて乗り込んだ。

「これ、ガラスの回廊と同じ材質よね」

透明なエレベーター外壁は地のエレメントにて精製された珪素結晶でおよそ間違いない。空調には風のエレメントが巧妙に使われているだろう。しかしエレベーター本体は、反重力発生装置である飛鋼であり魔法ではない。

「7階までは王宮データベースが占める。その上階が居住区。革命王時代からの王城だ。暗殺事件も未遂になって『おふたり』は十六夜の間でお待ちかねだ。オリィ君、順番があるからフードをかぶっていてくれるかな?」

「へい」

オリィは布たっぷりの祭の晴れ着に再び身を隠した。

(おふたり)

というのはバルスドーラ王と、暗殺者ダン・ヴェードロのことだろう。2人の顔を間近で見たノスコンはそれ以外思いつかなかった。


かくして

「バルスドーラ王、お待たせいたしました。書記官ジェノ・ダークが申し開きをいたします」

予想通りの2人の座する前に、一行は深々と礼をした。

(ウィリィちゃん!王様だ!革命王のガチ子孫!ヤバい!歴史モノは半ナマだってわかってたけど、革命王x演説公のBL二次創作書いたオリィちゃんスライディング土下座すべき?!)

興奮を抑えきれずオリィがウィリィをしばく。

(静かにしようよぉ!)

ウィリィも負けずにしばき返し、ダークはとりあえず2人の前に無駄に図体のデカいノスコンを移動させて陰にした。

「あっ!お前、さっきの天変地異級の大馬鹿!?」

謁見のテラスと階段を叩き潰す大惨事の元凶は何と言われても仕方ないだろう。

「はいこの大馬鹿、我が愚息にてございます。先刻は誠に失礼いたしました」

書記官ダークは暗殺者へ深々と頭を下げ、呼んだ。


「ロワ・アグマータテア王太子殿下。よくぞ王宮へお戻り下さいました」


「はぁーーーーーー?!!?!????」

若者達の絶叫が響いて、バルスドーラ王は鷹揚に笑んだ。

「何?!何が起こったの??!いや今回の事件の真相とか言ってたけど??!どうするとそういうことになるの??!」

ヴェードロ・ショックに端を発する大不況。「ヴェードロの連中」と呼ばれる強盗団の発生。

ダン・ヴェードロという偽名を使ったこの湖上農園の少年はその流れにあると思われていた。その正体はなんとバルスドーラ王太子殿下。

「王太子一家崩御事件!」

オリィが同時期の重要キーワードを叫ぶ。

「でもあれは王太子とお妃と王子が全員殺されたんだよ」

「そう、全員が崩御された。それは確実な記録だ。なにしろ」

ダークは若者達に語る。


「王子を殺したのは、この私だからね」


「ぴぇえええええ!!??!???」

口の端に笑みを乗せながらの父親の告白に、盛大に腰をぬかしたノスコンが少女2人を巻き込んで転ばせた。


<続>

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