バディ結成
異教の都バルスドーラの大祭まで、あと1ヶ月半。
「『バルスドーラ王太子一家崩御事件』……」
突然浮上した重大事件。
「あたしが生まれる前の話だよね。ノスコンは知ってる?」
バルスドーラの白い怪物24歳は頷いた。
「15年くらい前か、オヤジが大騒ぎで、ずっと家に帰ってこなかった」
「あっ、ノスコンさんのお父さんは王宮書記官でしたね」
ウィリィが思い出した。ノスコンの従姉妹のリインナは書記官の資格取得のためにノスコンの実家で勉強しているのだ。
「王宮データベースとな……」
天空都市のあらゆるデータは、中心施設である王宮のデータベースにて管理されている。この仕事をするのが書記官、または王宮書記官と呼ばれる者達だ。天空都市の保全のために、石工達が魔術によらない体力仕事を担うのと対照的に、書記官達は特殊な知識とスキルを主に魔法によらずバルスドーラを支えている。
「ノスコンさんからお父さんに聞いたらいろいろ分かりますか?」
ウィリィの問いかけにノスコンは首を振った。
「書記官の仕事は専門知識だからな。リインナ通した方が話が通じるだろう」
「よし、手分けしよう」
オリィはぱんと手を叩いた。
「ウィリィはリインナさんに事情を話して、できればノスコンのおやっさんに話通してもらって。あたしはもうちょい裏通りからダンの行方を追ってみる」
「オリィちゃん!女の子が一人じゃ危ないぞ」
ゼムがあわてて制止した。都市最強を知恵だけでノックアウトしたオリィには、ガラの悪い連中に負けないだけの自信があったが
「ボディガードを連れて行きなさい」
ゼムがぐいと背を押したのは、その都市最強だった。
「は?????」
ノスコンは相変わらずの察しの悪さ。
「いいのゼム兄貴?こいつこっちでコキ使う予定じゃなかったの?」
「その件は2割諦めて8割目処が立ったから」
「2割諦めたか……」
オリィは生暖かいまなざしをノスコンに注いだ。
「まあそうだよね。バルスドーラ最強のブルドーザー相手じゃね。むしろ8割目処を立てた兄貴の手腕を見習って、あたしもコレを上手く使いこなせるようになりたいもの」
「重機かよ!」
コレ呼ばわりされた人間ブルドーザーはぷんすこしているが、即奇声からの器物破損に至ったひとむかし前からは、なかなか成長したといってもいいだろう。
「知恵のオリィと力のノスコンか」
長老マルクがよく知る若者たちを見て微笑んだ。
「これはなかなか良いコンビになりそうだな」
「任して!」
オリィは愛嬌たっぷりのウィンクで師匠に答えた。
「無敵のオリィちゃん、鬼に金棒よ。この装備ならバルスドーラ最強まちがいなしだわよ!」
「俺の人権?!」
今度は装備品扱いされて、ノスコンは大いに地団駄を踏んだ。
<続>




