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仮設風向計/詩集その3

つゆぞらへ/別離

作者: 浅黄悠

つゆぞらへ


ここはにじのなみのはざま

たいようはきんのゆうだち

うけいれられることもなく


すべてはじゆうで

みんなあいされていて

こたえはむかしからずっとそんざいしていると

ハロやあまつぶがきょうもうたっている

じぶんたちがいきているから

いきものたちがたたかわなくてはいけないことをしっていながら


つめたいあめとあたたかいかぜが

メープルのはをたたく

ねえきょうもあそぼうよ

こどもたちがてをつなぐ

だれかがゆびさしたにじのふもとへ

はねやすめをおえたハトのむれがとんでいく

とおいうみのイルカたちまでメッセージはとどく

こんやあたらしいほしぞらがうまれますからと

ほしたちのおしゃべりやあくびはうみべのすなにかわり

きんやしろのつぼみをやどらせるだろう


どうかいつまでもそうでいて

このおんがくがなりやまずにいてほしい

たとえなにひとつねがいがかなわなかったとしても

ぼくがほほえんでいられるように

ぼくがこのよからいなくなっても

あのこがみらいをゆめみていられるように

あのこがすべてをすてさっても

ぼくたちのしらないひとが

またぼくたちのしらないばしょへかけていけるように


こわされないで

かきけされないで

またあおう ね





別離


客引きの仕方を知らない人に声を掛けられた

地下鉄のエレベーター前

銀の手摺は失われた象徴

愛した人など初めからいなかったと気づいた

さて私はどこへ行けばいいのだろう

心を通わせることへの罪悪感がない代わりに

孤独にうつむく時責められている気がする

紺碧のダンスフロアの下で

皆手を取りあい踊っている


炎上した動画投稿者の話題と

陰鬱な3番線の湿度

マジックアワーの川面は読めない暗号

それは何も薬指の銀を見たからというだけではなく

君は愛を両手に生きる人だということが分かったので

からり晴れた夕暮れ迫る街を足早に去る姿を見送ると

私はいつも通り地下鉄への階段を下りた

救ってくれる相手を待っているのなら

そう言わなければいけなかったのに

私は自分を堕とし続けているの


行き交う人々もいつかは自分の足で消えていくと思うと

もう何もかもが幻影を見ている気がする

もはや何も言うまい

誰を受け入れることも無い私達は

ただ熱に浮かされて淀んだ夢を見ている

思えば遠くなった日差しの色を探している

何に受け入れられることもなく

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