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僕の心は...

作者: 雨月 宙

 彼女はとても目力が強く、その瞳は真っ直ぐで美しく、僕の心を捉えた。


 冬の寒さで凍えて、体を縮こませてやり過ごしていたのに、もう春の暖かな風が緩やかに吹いている。時折、初夏のような日差しで、少し汗ばむ。

 彼女と出会った季節が、もうすぐやってくる、そういう季節。

 僕の心はあの時のまま、止まっている。


 白いドレスを纏った彼女の写真が、ひらり、ひらりと空から一枚落ちてきた。これは、花嫁衣装、何だろうかと僕の胸が締め付けられた。僕ではない、違う誰かの為の衣装を着たのだろうか。

 ばぁぁぁぁーーーと、強い風が吹き抜けて、近くの桜だろうか、桜吹雪と共に僕が手にした一枚の写真は、僕の手を離れて飛んでいった。


 僕だけが残った。


 僕の心は、まだ止まったままだ。


 それでも僕は、僕の目の前から消えは彼女を追いかけずにはいられない。心が止まっても、不思議と体は動くのだ。


 桜舞う、並木道、僕は写真を追って走り出した。


 真実は、写真の中にはない。ただの彼女へ辿りつくかもしれない、手掛かり、きっとそう。


 彼女は美しくて可愛らしい笑顔で、僕の心を奪った。それは重罪。


 だから、真実を求めて走り続ける。彼女に会うまで。


 彼女に会えば、僕の止まった時は動き出す。


 僕は彼女を必ず見つけ出して、僕の心を取り戻す。


 心を取り戻したら、あの時言えなかった言葉を彼女に伝えよう。


 「愛している」


 と。

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