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4-26.【Side:サラ】沈着系信者は将来の不確定要素を心配する

 ものすごく思いがけないところで、ゼーラ姉様と、会えた。本当の名前は、イザベラというらしい。


 地下牢ろうで詰め寄られた時には、体中から冷や汗が吹き出して、震えが止まらなかった。気を失わずにいられただけでも、頑張ったとは思う。


 わたしたちのことをわかっていたはずなのに、知らないフリをされたのは悲しかったけれど、あの場に友達とかお姉さんが居たから、仕方なかったんだ。


 その姉様は、窮地に陥っていたわたしとルナを助けて、いえ、救ってくれた、恩人だ。


 隙の無い身のこなし、冷静な表情と判断、見ているだけでほれぼれする。あの時から、姉様はわたしの憧れで、英雄だった。


 そんな姉様から、その正体は貴族のお嬢様だと聞いた時には、衝撃を受けた。ほんのちょっとだけど、裏切られたのかな、なんて。


 だって、貴族というのは、日々生きている人々を搾り取って、それでいて、働きもせず、食べて、飲んで、踊っているだけの連中。わたしはそう思っていた、いや、思い込んでいた。


 だけど、それって、視野が狭いというか、貴族が全部全部、そういうわけじゃないみたい。いやまあ、貴族全体がどうかっていっても、貧乏人から税を吸い上げて生きているのは確かだし、それに見合う仕事をしているようにも思えない。


 ちょっとモヤモヤしたものはある。


 でも、姉様の家は、すごい貧乏らしい。パンは食べられてもスープは口にできないって。わたしやルナが育った孤児院もそうだったけど、あんな生活を送っているのかもしれない。


 それなら、盗賊のお仕事をするのも、うん、わかる。


 貴族の世界にいるから、貴族の世界の汚いところを知っているし、それを解消しようと、日々、頑張っているんだ。


 わたしやルナと違って、姉様は知恵も教養もある方だから、先々のことも見通しているんだ。


 その日その日、その場その場のチャチな盗みを重ねているわたしたちとは、やっぱり違うんだ。


――あたしの真似なんかしちゃいけない。足を洗うなら今のうちさ。目的のために、罪もない人を殺す覚悟はあるかい、男に体を開く覚悟はあるかい。ないなら、このあたりが潮時ということだよ。


 そっか。姉様と同じように仕事ができるようにするには、それだけの覚悟を持たないといけないんだ。


 でも、人としての道を踏み外してやり遂げる盗みというのが、人を救うというのが、なんだかすっきりこない。あれって多分、極端なことを言って、わたしたちを思いとどまらせようとしただけなんだと思う。


 そういう確信はある。


 罪もない人を殺すなんて、言い訳できるはずがない。最近、すごい殺人屋が暗躍していて、大金を積んでも理由や条件がそろわないと絶対に動かないらしいんだけど、顔も名前も知らない人を殺すなんて、やはり、人としておかしい。しかも、目的を達成するためなら、その護衛なんかもまとめて抹殺するっていう。そんなの、狂人だよ。


 まして、目的を果たすためだけに、男に体を委ねるなんて、あり得ない。若くて元気な娼婦がいるらしいけど、そいつとは雑談をするな、やたらと頭がいいから精だけじゃなくて情報も吸い取られるぞ、なんていうお金持ちの下品な会話を聞いて、そういうものかと思ったけど、そこまで最低の行動をしたくはない。


 いや、でも、もし姉様がそういう選択をすることがあったとしても。それでも、わたしは、姉様が大好きです。


 足手まといと言われるのは覚悟のうえ。せめて、手足になっていければいいな。


 姉様のお姉さんも、頭のいい人で、それでいて貴族様とは思えないさっぱりした性格で。


 男爵家って言ってたけど、すごくいい家なんだろうな。今度、家にお邪魔して、ご当主様にあいさつしたくなった。


 ふふ、わたしも、変われば変わるものだ。


 だけど、これから大がかりなことに取り組んでいこうとしている姉様には、前に見たときのようなすごみがなくて、何だかすっきりした顔に見えた。


 どうしてだろう、何だか、嫌な予感がする。


 いや、そんな弱気になっちゃいけない。今度こそ、姉様のためになるんだ。

盲信舎弟その二は冷静沈着タイプ。別に頭脳派ではないのですが、考えようという姿勢は持っていて、向上心もそれなりにあります。それがあさっての方向に行きがちなのが玉に瑕。

実際に会って話した人には、割と的確な評価ができますが、情報を収集して分析判断する能力はありません。このため、男爵家の当主に対して、会ってみたいだなんて、恐ろしいことを言ってます。やめてー、逃げてー。

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