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4-25.【Side:ルナ】暴走系信者は未来に期待を寄せる

 なんとか、地下牢ろうから出してもらえたけど、姉御ってば、おっかねえ顔もすんだなあ。


 あたいが失敗したのを助けてくれた時は、二回とも、もう、しょうがないな、このガキは、ってぇ感じの顔だったんだけどよ。


 それがさ、聞いて驚いたよ。姉御ってば、実は貴族のお嬢様だったって。


 最初は、言ってる意味がわからなかった。だって、貴族ってのは、あたいら貧乏人の生き血を吸い上げて、飲んで、食ってる連中だ。


 あたい、ハッキリ聞いたぜ。あの臭そうなイヤらしい目をしたデブが言ってた言葉を。汗を流して働くなんて、卑しい下民のやることだ。気高い貴族は、そんなことはしないのだ、ってよ。


 思い返せば、あれが、盗賊稼業の始まりだったっけな。


 でも、随分とムチャなことをやってきたよ。


 まあ、体力や反射神経はあったから、何かあっても、腕力でぶちのめしたり、脚力で逃げおおせたりはできたけどさ。


 経験も積んだところで、貴族共の鼻を明かさないといけねえ! ってとこは、相棒のサラと投合したんだ。


 やっぱり、貴族ともなれば、けっこうヤバい連中を多く抱えていることが多くて。


 そんで、最初に忍び込んだ屋敷で、あっさりワナにかかっちまって。何だよ、宝箱が網の中に入ってると思ったら、上からばさっと何か降ってきて。やっべ、網のワナか、と思ったら、これが、網じゃなくて、糸。


 糸って細いし、繕い物なんかをする時に使うやつは、ちょいとひねれば簡単に切れるけど、ああいうワナに使う糸は、やたら頑丈にできてんだよな。鋭い刃物がないと、まず切れやしねえ。しかもたちが悪いことに、動けば動くほど、体にむっちりと食い込んできやがる。初めのうちは気持ち悪いぐらいだったけど、だんだん痛くなってくるんだ。そのうち、めりこんだところから血が出てくるし。胸元は苦しくなるし。


 どうして、あたいがこんなことに、死にたくない、って思ったよ。


 そんときに助けてくれたのが、姉御だった。


 あたいたちと違って、動きやすくて目立たない格好で、体の動きにむだがなくて、やることなすことキマってるんだ。


 すげえ人がいるなと思って、ワナを解いてくれた後で、弟子にしてください、って頭を下げたんだけど。


――あたしのまねなんかしちゃいけない。足を洗うなら今のうちさ。目的のために、罪もない人を殺す覚悟はあるかい、知らない男に自分の体を開く覚悟はあるかい。ないなら、このあたりが潮時ということだよ。


 それだけ言って、すっと姿を消して。


 あたいもサラも、その場で立ちすくんで、ぼーっとしちまったよ。


 それからひと月ほどたって、今度はワナじゃねえけど、探しに手間取ってどうしようもなくなっちまって、また姉御に助けてもらって。


――こんなことを繰り返してたら、いくつ命があっても足りないよ。悪いこといわないから、さっさとやめなさい。


 いや、姉御の頼みでも、それだけは聞けねえ。


 サラと二人で必死に頼み込んだら、弟子なんて無理だけど、こうすればうまくいくよ、ってのを、すっげえわかりやすく教えてくれた。


 それからは、割と侵入しやすいところにどんどん入って、かなりのカネを分捕れるようになってきた。


 けどまあ、油断大敵ってやつだろうねえ、とっ捕まっちまったわけだけど、ここで姉御に会えたのは、本当にうれしかった。


 それで、姉御の正体?を知って、ポカンとしたんだけど。


 うん、一つ賢くなった。貴族って連中にも、いいやつと悪い奴がいるらしい。全部が全部、人でなしの冷血野郎じゃねえってこった。


 なんでも、あたいたちを牢に入れてた貴族サマは、姉御の友達らしくて、悪い奴じゃないみたいだ。それでも、お高く止まったお嬢様って感じだし、仲良くしたくはないけどな。


 それより、何だかむかつくのが、あの、レオノーラとかいう娘だ。


 姉御の姉貴、ええいややっこしいな、まあ、そういう奴らしいんだけど。何だか、小難しいことばっか言って、人を煙に巻きやがって。


 言いたいことがあるんなら、チャキチャキ言えってんだ。


 姉御なんか、一言二言で、ビシッと決めてたぞ。


 それによ、姉御に働かせて、アイツは何もしてないってよ。おおかた、パーチーなんかに行って、オーッホッホッホ、とかやってやんだ。


 まあ、姉御に免じて、痛い目には合わせねえけどよ。特に敵というわけじゃないみたいだしな。


 でも、姉御をいじめたりしたら、黙っちゃいねえぞ。だいたい、体を見りゃ、ろくに動けやしねえってのは、素人にもわからあ。けっ。


 まあ、姉御についていきゃあ、きっと楽しいし、いいことあらあな。なんか、悪い奴をぶっつぶすようなこと言ってたしよ。楽しみだぜ。

盲信舎弟その一は暴走機関車タイプ。もともとおつむが今一つである上に、冷静さがゼロ、考えようとする意欲ゼロ、そのくせ動物的勘もゼロ。要は脳筋でさえない体力バカです。

主人公とは、ありとあらゆる点で噛み合わないため、本来なら好悪の念も起きるはずがないのですが、敬愛する姉貴サマがベタベタしているのに嫉妬している模様。イザベラは主人公を百合対象と見ているわけではないのですけどね。

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