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みっかめ。用語解説-2

※続きです。

【国家法人説】

国家を法的主体としての法人とみなす説。すなわち、統治権たる主権は、君主ではなく国家に属し、君主はその機関として権限を行使する。歴史的には、国民主権論に対抗する形で出発しており、国家主権説および君主主権説と相性がよい。一方で、国家法人説自体は君主主権を必ずしも前提としているわけではなく、むしろ君主の専制を排し国家の下位概に置くことから、立憲君主制を促進する方面にも働く。本文ではおおむね後者の意味で用いられている。


【共同幻想論】

詩人および評論家である、吉本隆明の著作。国家を幻想の共同体と捉え、幻想形態が発展した結果としての国家の成立を綴ったもの。社会契約説やその延長が国家成立をアプリオリに語るという独善に陥らせない効果は大きいが、その一方、一般的な対近代化論ではなく、著作者自身が天皇制に対して抱えていた問いから拡大しており、そこを見逃すと理解困難になる可能性大。特に、作中で複数登場する概念の不明確さが、全体の理解しにくさに一役買っている面もある。文庫化されており、入手は容易。


【想像の共同体】

原題は"Imagined Communities: Reflections on the Origin and Spread of Nationalism"、ベネディクト・アンダーソンによる著作。ナショナリズムの基盤には、国家ないしそれに準ずる大きな集合体に対して醸成された構成員としての一体感があるが、この一体感がどのように形成されたかについての論。ナショナリズムの起源とその成立、特に統治と文化における言語の展開に焦点を当てて発表されたもので、ナショナリズムおよびその近代性を語る上で必読書の一つ、というか、これを読まずにもっともらしく語っても、あんまり説得力が出ないと思う。


【立憲王政】

一般的な表現は「立憲君主制」(君主の称号は王に限らないため)。君主が憲法に従って統治権を行使する政治形態。統治の実権が事実上議会へほぼ全面的に移行しているイギリス型と、統治の実権が事実上君主にほぼそのまま留保されているプロイセン型がある。現在の君主制国家の大半は前者の形態を取る。英連邦各国を除き、西ヨーロッパに類例が多い。


【T.ホッブズ】

十六世紀イングランドの経験論哲学者。社会契約説に基づく政治哲学理論を提唱した人物で、近代国家理論を打ち立てた先駆けといえる。人間の自然状態を“万人の万人に対する闘争”と規定し、ここからの安全を求めて、人々は社会契約を結ぶために国家(国家理性)を作ったと結論づけ、王権神授説を明確に否定。絶対主義を理論的に合理化しているという説明がなされるのが一般的。一方、唯物論的世界観を提示し、神学的伝統から国家観を解放しようとした歴史的意義も認められるべきだろう。主著『リヴァイアサン』。


【J.ロック】

十七世紀イングランドの経験論哲学者。ホッブスの社会契約説を批判的に継承しつつ、名誉革命期における近代ブルジョア国家を合理化する理論を提示した。国家が国民に対して許容できない統治を行った場合、国民が国家に対して抵抗権を行使し、それによって政府を変更できるとしたのが大きな特徴。また、労働価値説を最初に唱えた人物としても知られる。主著『市民政府二論』。


【J.J.ルソー】

十八世紀フランス啓蒙思想期の哲学者。自然状態を平等で争いのないものとし、人間の技術進歩が私有財産制を生み、これが不平等や道徳的退廃につながっていると指摘。ホッブズやロックとは異なり、全人民の本源的な契約によって、国家の唯一最高の意志である一般意志が生まれるというアプローチを取る。この一般意志の行使こそが主権であり、その担い手は全人民に帰する(=人民主権)。この理論は近代民主主義の基本となり、フランス革命などブルジョア革命の展開に大きな影響を与えた。政治権力のみならず、より広く社会秩序そのものを相対化する視点を提供しており、抵抗権を超えた人民解放論ともいうべき思想といえる。私生活では妙なエピソード多数あり、リアルにいたら絶対に近付きたくないタイプのお方だった模様。主著『社会契約論』『人間不平等起源論』。


【社会契約説】

近代自然法思想を基にした社会理論。社会契約論ともいう(ルソーの著作と同じ、ただし実際には著作名は異なる)。国家主権の理論的基礎を、個別の人民が自発的になした契約に求める立場。自然状態、すなわち文明=国家成立以前の段階を想定し、そこから契約によって国家が成立するという理論的仮説を基に説明する。


【ユンカー】

ドイツ・エルベ川以東の地に多く存在した、大土地を所有する貴族。領主制度としてはゲーツフェルシャフト(農場領主制、賦役農奴制とも)を取り、没落した自由農民を農奴化し、賦役労働による穀物生産を行った。十八世紀以降はプロイセンの上級官吏や軍人のポストを独占し、地方領主の地位を守りつつ王国の支配階級にも入る。この形勢は、身分特権がほぼなくなった十九世紀においても変わらず、逆に農地改革の結果、富裕市民や農民が土地を買い取り、新興ユンカーとなることもあった。十九世紀末頃から特権階級としての地位は低下していくものの、政財軍各分野での影響力は残り、第二次大戦後にソ連が占領するまで続いた。ドイツ統一後、ユンカーの子孫から旧領復帰訴訟が多く出されたものの、ソ連統治下の施策を追認する形で全て却下されている。


【シュラフタ】

ポーランド・リトアニア共和国で、世襲の法的参政権を持つ社会階級。基本的に領主地主として農業経営を行っており、この点はドイツのユンカーと共通点が多い。一方、シュラフタ相互間では身分の上下差がないこと、中央政府への距離感が大きかったこと、多民族で構成され相互の連帯感があまり生まれなかった(十九世紀に入ると事情が変わる)こと、国内で占める人口比が高かった(約一割がシュラフタとも)ことが異なる。特に有力なシュラフタはマグナートと呼ばれ、政府や聖職者の高位を独占した。十七世紀以降には反王国意識=地方意識が強くなり、国が特権を体現するための道具と見なされるようになったこともあって、これが主権国家ポーランドを滅亡へと導く原因になった。ただし、啓蒙思想の影響を受けた開明派シュラフタも少なからずおり、彼らの多くはロシアに対する抵抗運動に走った。


【有効需要】

現実に存在する財の支出を伴う需要のことで、消費需要、投資需要、政府支出、純輸出(輸出から輸入を減じた値)の総和から成る。J.M.ケインズは『雇用・利子および貨幣の一般理論』の中で、有効需要の大きさが、国家全体の経済力、すなわち国民所得や雇用量を決定するという、有効需要の原理を唱えた。大恐慌への反省から、従来の古典派経済学を痛烈に批判したもので、民間需要(投資や消費)が不足している場合、公共事業等で政府支出を拡大して総需要管理を行うべきというもの。ただし、現実の経済状況が、理想状態から程遠いどころか、生産分野でも労働分野でも自由な流動など存在せず、そもそも貨幣経済さえも怪しいありさまでは、そのままでは机上の空論ともいえる。


【E.ゲルナー】

イギリスの社会人類学者。知識の変化が社会変動にとって決定的だとする、合理主義を擁護する姿勢を取る。産業社会が進展した結果、ナショナリズムが近代に発生したとする、近代主義的アプローチを主張。主著『民族とナショナリズム』。


【法治主義】

公権力の行使は全て、法に基づいて行われなければならないという立場。あくまでも技術的手段としての法の適用を求めるもので、法の内容や法の正統性を求めるものではない。このため、法の権力に対する優位を明確に説く「法の支配」とは異なる。


【三権分立】

権力集中による弊害と急激な政治変動を抑止するため、権力を三つの機関に分散したうえ、相互に監視、抑制させる方法で、立法権、行政権、司法権の三権に分けられるのが一般的。近年、分散する機関を三つに限定する必要がないことから「権力分立」の語が使われることが多い。日本の場合、衆議院と参議院から成る二院制も立法機関内部における権力分立、内閣から独立した会計検査院の存在も行政機関内部における権力分立といえる。


【二院制】

議会を二つの議員で構成する制度で、両院制ともいう。第一院(下院)は国民の直接選挙で選出される議員、第二院(上院)は上流階級や有識者から選出される議員で組織されることが多いが、第二院の選出方法は国によって多様。下院優越の原則を取ることが多い。上院の存在理由をめぐる議論は、二院制を採用する各国で頻繁に行われている。


【象徴操作】

象徴を、ある特定の意味を帯びた形で位置付けること。これによって、人々の意見や行動等を制御しようとする試みで、言語、旗、歌、制服、デモなどの形態が見られる。いずれも、物理的強制力を伴わず、心理的同調行動を喚起させる目的で行われる。国家に限らず、会社や学校などでも、広汎に見られる。

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