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ごっど・ぶれす・ゆー  作者: 雪愛。
6/6

れっつでぃーあいわーい!

 


 私が糸を吐く(出すだけど)を覚えてから1週間の間に解った事は指から出る糸は絹のような細いものから()()()サイズの太い物まで様々な太さの物が出せる事。そしてその糸は粘着性のものややわらかなもの、ワイヤーというか鋼?っぽい硬い性質の物が出る事も判明した。何か複雑な手順を用いる訳でもなく、初日こそ糸を出し過ぎて疲れてしまったけれど今では体力を使う訳でもない。溜息を1つ吐くくらいの労力で糸が出るようになった。人間業……とは言えないけれどこれも『まものつかいの才』とかいうヤツなのだろうな、とおもう。

 で、先日私が出した糸はというと……翌日には何かの繭のような形になっていた。前日までふわふわとしていたのにカッチカチに硬くなって手で掴んで引きちぎる。なんて事は出来なくなっていた。白い糸の塊なんて繭みたいなものだけれど「何かがそこにいる」と第六感というか虫の知らせと言うか野生の勘が告げている。ひたすら踊っていたすあまが関係しているのか解らないけれど相変わらずすあまはご機嫌で食事以外は大きな繭の前で踊っていた。モ●ラでも出てくるのかな。怪獣モノでも虫でも私は蝶々や蛾が好きなんだよね。蝶の羽は綺麗だし、蛾の触角はもふもふとしていて可愛いし。種類によっては大きなお目目のお顔を正面でみると小動物のようにも見えてうっとりしちゃうのだけれど、虫が大嫌いな友達には「本当に理解出来ないから」と言われた記憶を思い出して懐かしさに笑みがこぼれた。きっとすあまを見たら声にならない叫びを上げるかもしれない。でも可愛いものは好きだから段々可愛いって言ってくれるかも?なんて空想して……現実に戻る。

 戻らざるをえないというか、なんというか、安心できる場所が欲しい気持ちが強くなってくる。土地はあるけれど広い土地の中には沢山の木やら草やらがわさわさとして、今とりあえずとして生活しているのは開けた25メートルプールくらいの土地。そこにプレシーを停めて、さほど離れていない位置に大きな繭があり、ロングソファと物干し台もある。生活には困らない最低限が此処にはあるけれど……それはずっと1人で生きて行く場合。だ。プレシーの中は1人と2匹が生活していくので充分だし、この「まものつかいの才」が大きな魔物を使役できちゃうのだとしたらこのプレシーの中で一緒に生活するのは正直難しいだろうな……なんて思ったりもする。

 なので。


「でぃー!あい!わーーーい!」

 [わあいっ]

 両手を突き上げて叫ぶ。体でYの字を表現した。すあまも同じように前脚を突きあげる。キキは「何やってんの……?」という目で見つめてきたけれど気にしない。DIYだDIY。どぅーいっとゆあせるふ!だ。じゃすと!どぅーいっと!って叫んでる外国人の動画を見た事がある。なんだっけ、いつやるの?今でしょ!みたいなそんな感じのニュアンスだとおもう。英語解んないからしらんけど。心の応援団として脳裏に再生しておく。

 本日の予定を2人(2匹かもしんないけど会話が出来るから以後2人ってことにしよ)?に聞いてみるとすあまは大きな繭の前で今日も踊るらしく、キキは近くを探索してくるらしい。私の使い魔になった事の利点は喚べばすぐに現れる事と危険なものに遭遇した時は自分の意思で戻ってこれる事。あとはキキが狩って帰って来た獲物で美味しいご飯が食べられる事かな。使い魔は主に似るという事なのか「1人の時間」を大切にする私の使い魔達は往々にしておひとりライフを満喫していた。さみしくなったらそのタイミングで「ママ」とか「ますた」とか言いながらすり寄ってくるからそういうとこ可愛いよねって思ったりしちゃう。

 今日は2人を見習って私もおひとりライフをはじめるとしようか。

 とりあえず家の作りかたも解らなかったから、無茶苦茶硬い糸を出して、生い茂る木の枝をちゅいーんと切り落とした。(高い枝も伸縮自在の糸でセルフリフト出来ちゃうから順調に進んだ)家には柱が必要だけどどんな柱を建てたら良いか解らなかったから、生えてる木をそのまま柱として使う事にしたんだよね。切り落とした枝は邪魔にならない所にまとめてぽいっとしておく。結構量があるからね。

 次に速乾で耐久性がある乾いたら丈夫な壁になるような糸出ろ~~と念じながら両手から糸を吐いて柱として使う木と木の間を繋いでいく。横で繋いで、縦で壁を作って……とを繰り返し、家の外壁を作り終えたらあとは木の根から50cm上辺りに糸を吐き、床を作っていく。こちらも速乾性の糸で。さっきと違うのは通気性の良い物にしたくらいかな。生きた木を使うからなるべく苦しくない方法でって思ったんだよね。床を作り終えたら大まかに部屋を作っていく。この場合もまた乱雑に生えた木を利用するのだけれど中にはどうしても邪魔になってしまうものもある。そんな時は……

「てっててーん♪時魔法を応用した魔法陣~!

 説明しよう!この魔法陣を木にはりつければ時間が逆行し木の実となってしまうのだ!何となくこんなのが出来たらいいなって思ったら出来ちゃった魔法だけど怖くなったから植物のみ使用可って事で慌てて「木木直可」って魔法陣に描き足したよ!安心だね!」

 私の一人遊びの声が静かな森に響く。安心だね!の声がこだまする他はぎゃあぎゃあと鳥のような声が微かに聞こえるのみだった。さ、寂しくなんてないんだからね……!!あーぁ、キキ吸いたい。嫌がるキキのお腹の毛をもふもふしたい。

 そんなやさぐれ気味になる気持ちを撫でつけて、部屋作りの際に邪魔になる木に魔法陣を貼り付けいく。どんぐりに似た木の実になった木をポケットに詰め。木に魔法陣を貼ったりどんぐりを詰めたりする作業をひたすら繰り返す。異世界に吹っ飛ばされてどうしようかと思ったけれど案外何とかなるような気がしてきた。力仕事という力仕事が無いのもありがたいし、大工道具という大工道具も使っていない。自分で言うのもアレだけど、150センチにも満たない背丈の女の子(若返っちゃったから女の子って自称しても許されるよね?)がサクサクと家を造り上げて行く様は爽快だ。幼い頃から小さいからと力が弱いからと足手まとい扱いされてきたけれど。私でもやれば出来るんだぞ?!と自身がにょきにょきと湧き出てくる。鼻息だって荒くしちゃう。ふんふんっ。

 大まかだけれど1階の部屋を作り終えて、木と木の間に丈夫な糸を吐き、階段を作っていく。普通の民家を作るのも良いけれどどうせなら自由に好きなように作りたかったから1階は入り口から入ってすぐの所は広いホールにしてみた。その隣は個人部屋。端につくったから、今後増築諸々も出来るようにしてみた。

 今作っている家……のようなもので自営業的な事をして地域に根付くような生活が出来たら……なんてね、思っちゃうよね。人付き合いは苦手だけど接客業は得意なタイプなもんでさ。人との出会いは一期一会だと思えば楽しんで貰えたら私も嬉しい!ってなっちゃうタイプなのよね。仕事としてならいくらでも愛想よくしちゃうよ!みたいな。そんな感じ。こんな事出来たらいいなーって感じで魔法陣を作っているから「オリジナル魔法陣有ります」みたいなうたい文句で商売でも出来ないかな?どうかな?って思ってるけどそれ1つだと商売としては厳しいかもしれないから色々と考えてみよう。近くの町の第一村人的な人にもまだ出会ってないから本当にどんな世界なのかっていうのが解ってないんだよね。

 毎日の流れとしては出歩いて、スライムを杖で急所突きして倒したりとか、襲ってくるツノシャモを杖で打ち返して倒せるようになったとか。糸で罠を作ってツノシャモを捕獲出来るようになったとか。ツノシャモを上手にさばけるようになったとか。そんな感じの日々を過ごしている中で今回の家作りだからね。モトカミマートがあるからツノシャモだけ食べなくても良いわけで。でもそんな血なまぐさい毎日が3日や4日続くと人間気晴らしも欲しくなるわけで。だから気晴らしとしてお家建てちゃえばいんじゃね?っておもっちゃったわけで。富良野は寒いわけで。何よりいきなり森の中に家が建ってるってなったら近くに住んでいる人は気付くのでは?と思っちゃったわけで。それで様子を見にきたりとかもしちゃうと思ったわけで。そうなったらお行儀よく自己紹介をして、この世界の事を聞く。そしてそれからの事を考える。これだな、これでいこう。と思ったわけで。

 そんな足りない頭でわけでわけでと今後のプランを練り練りしている間に階段が出来上がった。丈夫で頑丈な階段にするぞぉぉ……という意思の元作った階段は幅が普通の民家の階段の2倍位ある広い作りにしてみた。というのも階段を作っているうちに「近くに民家が無いのなら宿屋っぽいお部屋を作ってしまっても良いのでは??」と思いついてしまったから。そうと決まったら作っちゃうよね。宿屋っぽいお部屋。水周りの配管諸々については「使用後の水は大気に溶けてしまう魔法」の魔法陣を各部屋の浴槽や水回りを扱う部屋の壁の内側に練り込んでおいた。魔法陣というのは実に便利なものだなと思う。お金が湧いてくる魔法なんて使ったら一生遊んで暮らせるのかもしれない。いや、魔法だからきつねのお金みたいに葉っぱとかになっちゃうかもしれないから怖くて使えないけど。私の場合は何になるんだろう?糸かな。

 頑張れば4人泊まれそうな広さの部屋を2階に6つ作り、屋根代わりに糸で作った防水の天井で部屋を丸く覆った頃、窓として開けた穴から綺麗な夕焼けが見えた。

 なんだろうな、この感覚。小学生の夏休みで力いっぱい夜遅くまで遊んだ時みたいな気持ちよさ。沢山汗をかいた日とか。プールの塩素の匂いや「また明日ね」って約束したのに、ひぐらしがカナカナと鳴くと友達と別れるのが辛くて淋しくなっちゃうこののすたるじっくなかんじ。外に遊びにいった子供を出迎えて、ぎゅって抱きしめた時の塩素と汗が混じったような蒸した匂い。「お腹すいた!ごはん何?」って笑顔で目が合う時の愛おしさが押し寄せてくる。それだけじゃない。親になると子供にとっては当たり前の事も全て愛おしく思えてくるから仕方がないんだ。

 話をしていると喋れるようになったね。という嬉しさと共に日々大きくなるお腹に話しかけてきた日々を思い出すし、歩く姿を見れば元気にお腹を蹴っていた日々を思い出す。文句を言われたり、喧嘩になった時は自分の意見をはっきり言えるようになった事が嬉しくなって、1人で眠れるようになった時は中々寝なかった夜泣きの日々を思い出す。反抗期が見えてきた時はお赤飯を炊こうって思っていたけれどお赤飯嫌いだから嫌がるかなぁ……白いご飯も炊いてあげることも出来ないけれど。

 畜生、どうして私なんだ。そう言いかけて言葉を飲み込んだ。それを言ってしまえば何処かで別の誰かが私のようになっていたかもしれない。誰かの子や親や友人や恋人かもしれない。異世界転生したり異世界転移した人はどうやって元の世界と決別したのかな。戻れないなら仕方がないって思ったのかな。転生した人はそっちの家族がいるから割り切れるのかもしれないけれど、転移した人はどうなんだろう?忘れる事が出来ない私はどうすればいいんだろう。誰か教えてよ。もっと色んな姿を見ていたかった。もっと色んな景色を一緒に見たかった。あの子は私に似た所も多いけれど旦那に似てしっかりしているから大丈夫。って思うのに、思わないといけないのに。

 キキがまだ外に遊びに行ってて良かった。すあまが此処に居なくて良かった。大丈夫、大丈夫。ここで泣ききってしまえばまたいつも通りの私になれる。



 ……いや、泣いてないし。目が痛いだけだし。


 おひとりライフも良いけれど今は1人じゃない方が無意識に泣かないって意地が張れるから異世界転移した時は1人で居ないのが一番なのかもしれないね。

 乾くとガラスのようになる速乾性の糸で窓代わりの穴を塞ぐとやわらかい糸で布を作った。織るんじゃなくて糸同士がくっついて布みたいになったものだけど。その布をカーテンのようにして窓を覆った。明かりが無くて薄暗い家の中に鋼糸と硝子糸でランタンのような物を作り、中に「暗くなれば明りが灯る」魔法陣を入れる。手を2回叩くか、指パッチンを1回するのがスイッチとなる誰でも使える魔法にしてみた。光るまりものような玉がランタンの中をふわふわと漂い、蛍光灯程の明るさで明るく室内を照らす。白熱灯のような白い光が強いから温かみのある色に陣を書き換えてその日は作業を終えてプレシーに戻る事にした。



[ママ、ご飯の時間忘れてないよね?]

 第一声はご飯を求めるキキの声だった。悪態をついているものの体は足元に寄り添い、尻尾を絡めてくる。

「ごめんごめん、ちょっと力作を作っててさぁ」

 [ますた。なにをつくったの?]

[ママが集中して何かに取り組むと碌な事がないんだけれど]

「んふふ~明日になったらキキとすあまにも手伝ってもらおうかなぁ」

 作業台の上に乗ったすあまと足元のキキが口々に言うのをあしらいながらもご飯の支度が整った。キキはカリカリとにゃおにゅーる、すあまはブロッコリーのにゃおにゅーるがけ、私も今日は食欲が無いからブロッコリーを茹でただけにした。女子力や主婦力は今の私に求めちゃいけない。ブロッコリーは茹でたら食べられるし、茎の部分だって硬い所をピーラーで剥いてしまえば食べやすい大きさに切って、シチューやスープの具にだって出来るんだから。茎の部分は茹で汁でツノシャモのお肉と一緒にスープにしちゃおうかな。

[ますた、ますた、きっておいしぃねぇぇ]

 もしゃりもしゃりとにゃおにゅーるのかかったブロッコリーにかじり付きながらすあまは目をキラキラさせた。どうやらブロッコリーを木だと思っているみたい。

「美味しいねぇ。これね、ブロッコリーって言うんだよ。お野菜っていう食べる為に作っている植物でね、私も小さい頃ブロッコリーは森で伐った木をぎゅって小さくして、葉っぱの汁で染めたものだって思ってたんだ」

[おやさい?]

「そう、お野菜。畑っていうふかふかの土に種や苗を埋めて、毎日お水をあげてそだてるんだよ」

[……毎年夏が近づくとパパやママやにぃにが畑に行って耕したりしてたよね]

「キキにハーネスを付けて庭で一緒にバーベキューしたり、ビニールプール出したりもしたねぇ」

[ママは水の入ったジョウロを持ったまま派手に転んだのよね]

「それはキキのリード(散歩紐)に躓いたんですよ~だ」

 夕焼けを見た時と同じ思い出す。だったけれど、共通の思い出を語る時は不思議と涙は出てこなかった。

 [はたけってなに?みんなでつくるのぉ?]

 [そうなのよ!パパっていう大きな人間のオスとにぃにっていう人間の子供とママで道具を使って土を掘り起こすの!]

 [ぶっころりいっぱいできるのぉ?]

 [ぶろっこりだけじゃないのよ!緑色のながーいのもできるし、根っこが赤いのだってできるし、紫のもできるのよ!]

[すあまもしたぁい]

[畑はすあまが200匹集まるよりも大きいのよ?]

[そんなにぃぃ?!]

 6本の脚を上げすあまは反り返った。

[だから、もしママが畑を作るっていうのなら私も手伝ってあげてもいいんだからね?]

 そんなすあまにキキは胸を張り、私に振り返る。

「2人が手伝ってくれるのなら本当にありがたいな。今作っているものが終わったら一緒に畑を作ってみようか」

[……で、結局ママは今日は何を作っていたの?]

[あしたてつだうのならいまおしえてよぉぉ]

 2匹がじりじりと私の顔に顔を寄せて迫ってくる。にゃおにゅーるの匂いが顔のまわりに漂う。ちょっと美味しそうな匂いがしちゃうんだよねこれ。

「お家を作っていたの」

[おうちぃ?]

[ママが?!]

 2人の声が耳を突く。耳元で叫ぶのやめてほしい。

「すあまの能力で私糸が出せるようになったでしょう?それでね、こんな糸が出せたらいいなぁって思ったらそんな糸が出せるようになったのよ」

[それは……ママ、人ってそもそも糸を吐けるの?]

「失礼ねぇ……ちなみにキキの急所突きも使えるんだから」

[すらいむつぶすやつぅ?]

「そうそうそれそれ。っていうかスライムって捕獲できないのかな?」

[使い魔にするってこと?なぁに?今度は強力な胃酸でも出したいの……?]

「いや……っていうか、この世界のスライムって魔物だけど意思が無いみたいだから使い魔にするのは無理かもって思ったりするんだよね」

[じゃあ何で捕獲するって考えるのよ?]

「スライムって何でも溶かすじゃない?生ゴミとかは後々畑を作るから堆肥に出来るけれど、にゃおにゅーるのゴミとかモトカミマートで買った諸々のゴミとか生活していくうえで出てくるゴミの処理をどうにか出来たらなって思ったの」

[ますた。すらいむはどんなすきまにもはいるよ]

 隙間から入るという事は出る事も可能と言う訳で。すあま曰くスライムは穴があれば落ちるけれど壁があればそこから昇るらしい。分裂したら増えて行くとも言っていたから、かたつむりというかナメクジというか。プラナリアともいうべきか。そんな生き物達のハイブリット的な生き物なのだろう。意思を持たないからどうやって動いているのかわからないけれど見つけたら倒して魔石をゲット。というやり方で問題ないかな。


 スライムを綺麗に倒せるようになってから手に入る魔石は1つ100Gだから例えは悪いけれどゴキちゃん一匹倒せば100G貰えるって考えれば害虫駆除というか害魔物退治?が出来るんじゃないかな。

 結界があるからスライムが入ってくる事はないけれど、気が向いたら潰しにいくのも良いかもしれない。レベリングにもなるし、1匹潰したらノートが20冊手に入るのも美味しいし。

 モトカミマートでお菓子を買うのもいいかもしれない。チョコが食べたいな、チョコ。


 とそんな事を思いながら私は1冊のノートに今日はこんな事をしました。的に日記をまとめるのであった。





 9日目。

 こんばんは日記さん。この世界に来て9日が経ちました。

 私もキキもすあまも元気に生活しています。キキは元気に毎日結界の外を駆け回り、ツノシャモを仕留めて帰ってくるまでに成長しました。

 私も順調に糸を吐く事が出来るようになり、今日は家を作りました。

 屋根や扉がまだだし、窓もまだ完成していないけれど、魔法陣で排水関係と明り関係は整えたのでお家の完成は目前と思われます。

 元の世界のように四季があるのか解らないから気持ちは少し焦っています。明日いきなり雪景色が広がっていたらどうしよう?なんてね。

 時計も無ければカレンダーも無いので季節が解らないのがちょっと不安で。家作りをはじめたのはこの世界の誰かが私を見つけてくれたら良いのにって言う不安を取り除きたいからかも。

 あーーーーーーダメダメ、後ろ向きになってきちゃったからそろそろ終わっておこう。

 今日、元の世界を思い出して泣いてしまったのね。でも、その後にキキと一緒にすあまに話をしたら楽になったの。これはちょっと悲観的だけど、元の世界を忘れたわけじゃないからっていう意思表示ね。

 ねぇ、日記さん。私がんばるね。おやすみなさい。










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