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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
二章   龍篇
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少女

百話まであと五話!

「知ってるって……じゃあどうして」


 僕は尋ねる。

 するとシェリーは満面の笑みを顔に貼り付けて、言う。


「探して欲しいのはね、端蔵の死体なの!」


 無邪気にそう発言したシェリーは、満面の笑みのまま、こちらに視線を向け続ける。

 同じように狂っているであろう僕が言うのはおかしいかも知れないが、でも思ってしまう。


 この貼り付けただけであろう笑顔が、そんな顔から向けられる視線が、どうしようもなく気持ち悪い。


 正直吐き気がする。

 どんな過去があれば彼女ほどの年齢でこんな顔をできるのか、今の僕には分からない。


「どうしたの、嫌そうな顔して? ピーマン食べちゃった?」


 間を開け過ぎたようで、シェリーは不満そうな顔で言う。

 この表情も、貼り付けただけの表情だ。


「いや、食べてないよ。それより、端蔵の死体なんて見つけて、どうするんだい?」


 僕が尋ねると、シェリーは再度笑みを貼り付けて、言う。


「あのね、燃やしてあげるんだよ! 死体は燃やすって聞いたから、ぼーって燃やすの! 昔助けてもらったし、強い火で燃やすんだ!」


 やはり、狂気に満ちている。

 しかし、この発言からは狂気と同時に、僅かに優しさを感じた。


 昔助けられたと言っているし、感謝や優しさ故の発言なのだろう。


「分かった、見つけたら伝えるよ」


「え〜一緒に探し行ってくれないの?」


「危険だよ。いくら戦えるといえ、まだ君は子供だ」


 瞬間、部屋に設置してあったダイニングキッチンから、包丁が一本飛び出して、僕の眼前で刃をこちらに向けた状態で止まる。


「これでもダメ?」


 そう、無邪気にシェリーは言う。

 恐らくこれはシェリーの妖術で、念力のようなものだろう。


 僕はその包丁の柄を握り、言う。


「強くても、ダメだ。危険かも知れない場所に君のような女の子を連れて行くわけにはいかない」


 なんどか人を殺したからこそ分かる。

 あそこは命の取り扱いをする場なのだと。

 言葉ではなく、心で分かっているのだ。

 シェリーが既に人を殺していたとしても、それは僕がシェリーを危険かも知れない場所に行かせる理由にはなり得ない。


「死体は僕が探してやるから、君は待ってるんだ。その場所は僕が用意するから、分かったね?」


 僕さ言った。

 シェリーは不満そうな顔をした後に、なにか閃いた表情をしてから、頷く。


「分かった、じゃあよろしくね!」


 こうして、僕のやるべきことが増えたのだった。

この幼女、狂ってるッ!

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