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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
二章   龍篇
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名声の王

「先生がなんでここに」


「おんしと荒木寺の治療と柏崎家への面会の手伝い。その最適解が儂よ」


 確かに、先生ならば一人で全ての条件を達成できる。

 一人で全て熟すポテンシャルを持つ先生も凄いが、敵が柏崎家だと気づいて直ぐに先生を呼んだポールさんの判断力も流石だ。


「どれ、右腕を見せてみなさい」


 言って、先生は僕の右腕側へと回り込む。


「これは酷い。芯まで焼かれとるな」


 先生はミアさんに言って自分のキャリーバッグを持ってこさせ、中から一つ瓶に詰まった液体を取り出す。


「この薬は少々痛むが効く。耐えなさい」


 そう言って先生が僕の腕に薬を掛けた瞬間、酷い痛みが襲う。


 それと同時に、傷口からは赤い煙。


「これは、中々ッ」


龍傷(りゅうしょう )、龍の術は少々他とは違いな、残る」


「残る? 一体それは」


「通常、術で攻撃したとして、妖力が原因でその後傷が酷くなることはあり得ない。術の効果などは別としてだがの。しかし龍の妖力は他の人間や妖とは少し仕組みが違い、後にも傷が広がり続ける」


「それは、中々えげつない」


 煙が止むと、先生は僕の腕にキツく包帯を巻きつける。


「これで明日にはマシになっておる筈。攻撃を受けるのはともかく、羽団扇を振るう程度ならば可能じゃ」


「さて、治療も済んだところで明日の話をしよう」


 ポールさんが言った。


「まず、門番は屋比久さんの存在で黙るだろう。中に一族の末端の奴らがいたとしても、同じ方法で黙らせられる」


 中々先生の存在に頼り切った作戦だ。

 正面突破というやつだ。


「次に当主だが、最悪どんぱちやらかすことになるから、常警戒体制が必要だ。死角から護衛が飛び出す可能性があるから、目に見えない位置の妖力は常に探り続けた方がいい。少し骨が折れるかも知れないが、頼んだよ」


 ポールさんが言い終えた頃、僕の口から欠伸が漏れる。


「今日はボディーガード業のあとに己龍家と龍と謎の男との戦いだ。疲れただろうし話はこれで終わりにしよう。今日は昨日よりいい部屋を用意してあるから、ミアに案内してもらってくれ」


「すいません、話の途中に」


「いや、もう終わる予定だったし気にしないでくれ。僕も今日は疲れた。明日のために、今日は休むとしよう」


 言って、ポールさんは部屋から出る。

 それに続き先生も部屋から出て、残りは僕だけとなると、ミアさんが僕の右腕を気遣って羽団扇を持ってくれる。

 そのままミアさんに部屋まで案内してもらう。

 ポールさんはいい部屋を用意したと言っていたので、楽しみだ。


 それにしても、今日は疲れた。

百話まであと七話!

ここまで呼んでくださり、まだの方は感想やレビューもらえると嬉しいです!

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