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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
二章   龍篇
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隠し球

投稿遅れました、申し訳ない。

 空を覆い尽くす程の体躯を持つ龍。

 それが突然空に現れたものだから、地上は大パニックだ。

 不味い。

 不味すぎる。


 地上では大量のフラッシュが煌めいており、顔までは写っていなくても僕の姿は撮られている筈だ。

 明日には空飛ぶ人型UMAとしてテレビに出演が決まっているだろう。


 まあ、決まったことは仕方がない。

 先ずは残りの札を貼って龍と僕の姿を消す。


「さて、こっちが本番だ」


 地上の人々に見つかったことも、鉄心のことも忘れて、龍だけに集中する。


 とりあえず、羽団扇から雷を飛ばしてみる。


 鳴り響く轟音と共に、目を瞑りたくなるような閃光。

 直撃した鱗の表面は若干焦げてはいるが、内側に衝撃が届いている様子はない。


 羽団扇じゃダメ。


「なら、次はデカイのだ」


 一つ大きく息を吸い、唱える。


「雷鳴轟くは我が名の下。巨石を砕くは風。大海を裂くは火。天貫くは我が雷と知れ! 攻術詠唱術式、天撃!」


 先程を遥かに超える威力。

 天より降る青の閃光は、龍が降臨しているようにも見える。

 しかし、実際は唯の攻撃だ。

 数秒間閃光が龍を焼いた後、爆発。

 龍は咆哮で大気を震わせながら、大きな口を開けて、その中に小さな玉が一つ現れる。


 小さなといってもそれは龍と比較してで、実際は大人一人分ぐらいはある。


 玉は距離の離れた僕からでも分かるような高密度の妖力の塊で、例えばアレを炎にして術を使えば、僕の怪現である炎帝と同じぐらいの高温が生み出されるだろう。


 地上に放たれでもしたら大惨事どころじゃ済まない。


 僕は跳んだ。

 大きく開いた龍の口の真上へと。


「彼方、若輩王の貫禄が、四つの礎となり世を砕く。蠅の君臨は世を潰し、龍の鱗を環とする」


 妖力を貯めて、本日二つ目の隠し球を披露する。


「攻術詠唱術式、天譴!」


 瞬間、僕の妖力で構成されて行く四本の柱。


 炎柱よりも硬く、重い。

 僕の身長二つ分の長さのあるその柱を、全て玉に向かい飛ばす。


 自分の妖力の塊である玉に、僕の妖力で構成された柱が混ざり、操作出来なくなった妖力。


 操作する者を失った妖力がどうなるのか、行き場を失った妖力がどうなるのか。


 さっきまでの動きを繰り返し、正しい流れを失う。

 そしてその結果、誤った流れを続けて、術は術の形を成さずに暴発する。

 大爆発だ。


 龍の口内で爆発が起きた龍は、先程以上にダメージを受けてはいるが、死にはしていない。

 寧ろ、さっきより怒って迫力が増した。


 一撃が炎帝並みで、生命力も底なし。


 僕は戦闘狂なんかではないが、この戦いは唆る。



龍が不憫でならん

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