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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
二章   龍篇
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顕現

 二つの鉄塊にご丁寧に一つずつ、雷が落ちる。

 偶然かと思ったが、上空の妖力が先程より強くなっていることに気づいた。


「おお、龍よ! もうじき目覚めのときであるか!」


 鉄心は両手を広げて叫ぶ。

 やめて欲しい、下の人たちに気づかれたら大変だ。


 一刻も早く黙らせるにはどうしたものか。

 秘策をここで使うのは少し抵抗があるが、仕方ないのかもしれないな。


 そんなことを考えていると、頭上に平べったく伸ばした鉄。

 そこから突如鉄の玉が雨のように降り注ぐ。

 当然、水でなく鉄で出来ているわけだから威力は雨とは比べ物にならない。

 どちらかというと、銃撃だ。


 風で弾くには威力が高い。

 あまり使いたくはないが仕方ない。

 炎だな。


 僕はさっきまで風で防御していたように、羽団扇から炎を出して壁にする。

 火吹きの左腕で使う獄壁ほどではないが、ある程度の攻撃は防げる。


 炎を出して直ぐに次は風を出す。

 風で加速しながら僕は鉄心の方へと駆ける。


「終わりだ」


 そう、一言だけ言って、鉄心が僕の間合いに入った瞬間羽団扇を一閃。


「ああ、終わりだ。慢心した、貴様が」


 僕の一撃は、鉄心の腹に当たったが、貫けてはいない。

 腹を覆う鉄の膜を、貫けてはいないのだ。


「己龍家が独自に開発した特殊合金である! やはり、貴様の一撃では貫けぬのが道理であるぞ!」


 羽団扇を鉄で完全に捕まえた鉄心は余程気分がいいのか高らかに語る。


「いや、終わりだよ。慢心したお前がな」


 そう言って、僕は羽団扇に雷を流す。


 腹を覆う鉄を通り、雷は鉄心に命中した。

 鉄心は全身に流れた雷で内臓が焼けたか、大きく口を開けて気絶した。


 これは覚えたての隠し球。

 端蔵や天永貴景と戦ったときに嫌になる程見た雷で、なんとなく羽団扇から雷を出す感覚を掴んでいたんだ。


 ずっと隠して、龍が現れなんてしたら大変だし、龍の姿が明日の昼頃テレビで報道される光景など見たくない。  


 その為にもまずはこの鉄心の処理が先だ。

 左腕で、心臓を貫く。

 右腕は鉄心の腹に固定された羽団扇を掴んでいるので使えない。

 まあ、この鉄も今となってはただの鉄。

 鉄心を殺したから動きもしない。


 一先ず、死んだことで生き物ではなく唯の肉塊となった鉄心を世界箱に収納して、最後の札を貼るビルを目指そう。


 と、思った矢先だ。


「これは、不味いな」


 上空の妖力がさっき迄とは比べ物にならない強さだ。

 地上が騒ついている。

 完全に気づかれた。


 龍の、完全顕現に。

強そうな術使うのに、使い方次第ではボスキャラにもなれるのに、あっさりお亡くなりに

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