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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
二章   龍篇
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鉄塊

 四枚目の札を張った頃、天候が更に悪くなる。

 時間がない、札を貼り終える前に龍が現れたりしたら、地上は大パニックになりかねない。


 ビルを超え五枚目の目標に辿り着く直前、覚えのある妖力を幾つか感じる。


 それと同時に、頭上に鉄で出来ているであろう花弁が一枚。

 僕は戦闘の達人ではないが、それでも幾つかの戦いで身についた勘が騒ぎ出す。

 その花弁を、着れと。

 僕はその勘に従った。

 空中で妖力を固めて足場を作って、体制を整えてから一閃。


「中々勘が冴えているようで、端蔵を倒したというのはどうやらデマではないようだ」


 ふと背後からそんな声が聞こえ、体を回転させて羽団扇を声の方へと振るう。


「反応も良し。敵かどうかの判断が些か早すぎる気もするが、判断は正解。良しとしよう」


 独り言か?

 僕が刃を向ける相手、先程感じた覚えのある妖力の主であろう男は一人でブツブツと言い続ける。

 纏っている神主のような衣装のせいか、全く関連性が無くとも独り子が念仏のように聞こえる。


「花弁を見つけてからの行動も良い。足場を作らね体制の安定は難しかろう。慢心のない証拠であるか」


「おい、さっきから独り言ばっかり言って、何者だ?」


 尋ねると、男は漸くこちらに視点を向ける。


「ああ、失敬失敬。小生としたことがつい没頭していた。何、問題はない。その分早く戦いを終えれば良い」


 瞬間、視界の端に鈍く光る物が。

 巨大な鉄塊だ。

 僕はそれを回避して、男に斬りかかる。


「何者だって、聞いてるんだよッ!」


 僕の一撃を防いだのは、またもや鉄塊。

 僕と男の間にある鉄塊は、男の手の動きと連動する様に宙を動き回る。


「申し遅れた。小生名は鉄心。己龍鉄心である」


 どうりで、覚えのあるわけだ。


「お前、端蔵と戦ってるときに援軍として己龍家が来たときに居たな?」


「ほう、分かっていたか。観察眼も良い良い。小生感心しておるぞ。貴様次第では小生の養子として己龍家に迎え入れても良い」


 そう言いながらも、男、改め鉄心は手の動き一つで鉄塊の形を変えながら僕に向かい操る。


「あのポールとかいう男を裏切って龍の復活を待つのだ。さすれば地上の人類を一万ほど贄として我ら膨大な力を得ようぞ」


「そうか、少しでも真面目に聞こうと思った僕が間違えてたよ」


 言って、空中で固めた妖力を蹴って跳ぶ。


「逃げ果せたところで、龍は復活して終わりでろう、よって無意味である!」


 そう叫び、男はこちらに勢いよく手を振るう。

 その手の動きと同じように、勢いよく鉄塊がこちらに飛来する。

 ご丁寧に、先端を尖らせてだ。

 上空で炎なんて使って地上の一般人に見つかりでもすれば面倒だ。

 ここは炎で溶かすのは諦めて、回避が賢い選択だろう。


 でも、何度も焼けるのは骨が折れるな。

 速度が中々ある。

 仕方ない。


「斬るか」


 鉄塊の中心になぞるように刃を入れて一刀両断。

 鉄塊は見事に左右に分かれて斬り裂き、あとは正面の鉄心を斬るのみだ。

 僕はこの瞬間、そう思ったのだ。

 そう思って、鉄塊への警戒を緩めてしまったのだ。


「油断大敵という言葉は、このようなときに使うのである」


 瞬間、斬り裂いた鉄塊二つの先端が、僕に向かい鋭く形を変える。

 液体のように形を変え、触れれば強固な鋼のように硬い鉄塊が、僕を串刺しにしようと向かってきている。


 今からでは二つの鉄塊を両断するのは間に合わないし、そもそも斬ったところで増えて終わりだ。


 そう思った瞬間だった。

 鉄塊に、雷が落ちたのは。

読んでいただきありがとうございます!

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