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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
二章   龍篇
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隠札

今回は、最後まで読んでいただいて平気ですよ

 ポールさんの作戦は、僕が龍を斬って、地上に落ちる前に世界箱に斬り落とした部分を収納する。

 これで終わりらしい。

 龍をそのまま収納してしまいたいが、生き物は入れられないらしい。


 龍を斬るのは硬い鱗ごと斬らねばならぬ為至難の技らしいが、羽団扇の斬れ味ならば僕でも斬れるらしいので安心だ。


 世界箱も使い慣れて、空が暗くなり始めた頃、ポールさんに屋上に来るよう言われる。

 直ぐに向かうと、空は分厚い雲に覆われて、雷鳴が鳴り響いていた。


「天気悪いですね、雨なんて降り出したら戦いにくそう」


「ああ、でも残念だが龍と戦うならこの天候は絶対に付き纏う。早めに慣れとくのが一番だよ」


 僕より先に屋上に来ていたポールさんが言う。


「さて、来てもらったのは頼みがあってね。この札を印のある建物に貼ってきてもらいたいんだ」


 そう言ってポールさんが取り出したのは五枚の札。


「このビルを中心として五芒星の形に。地上の人間に君と龍の姿を見えなくするための術式だ」


「これって事前に貼っといたりするんじゃ駄目なんですか?」


「ああ———そうしたいのは山々なんだけどね、この札の効果は五芒星の形が整ってから二十分程度。戦闘が長引く場合も考えると君自ら貼るのが最も効率的かつ安全なんだよ」


「なるほど、別の人に貼っても戦い始める頃なら巻き込むかもしれませんしね」


「そういうことで、頼んだよ。目印には妖力を発するだけの札が貼ってある。その妖力を察知して向かってくれればいい」


 ポールさんは、懐から一枚の札を取り出して、これと同じ物だと言う。

 少し拝借してみると、確かに妖力が発せられており、目印としては一般人には見つかりにくく、術師には見つけ易くと、中々に優秀だ。


「それじゃあ、もう暫くすれば龍が現れるからね。早速行ってきてもらおうかな」


「はい、じゃあ行ってきます」


 そう言って僕が屋上の冊を飛び越えると、ポールさんが何か伝え忘れがあったようで、僕を引き止める。


「龍が出たら即戦闘開始で頼むよ。私もできる限りの援護はするが、九尾苑とは違って強くはないから余り頼りにはしないでくれ」


「了解です。頼りにしてますよッ!」


 言い終えると同時、僕はビルから飛び降りる。

 直前にポールさんが苦笑いしているのが視界の端に見えたが、事前に余り説明をしてくれなかったちょっとした仕返しだ。


 地面に当たるより前、壁を蹴って別のビルへと飛び移り、目印を目指す。


 幾つものビルを超えて、札を一つ貼る。

 瞬間、札は強い妖力を発し初めた。

 それとほぼ同時、空にも莫大な妖力を感じた。


 残りの札は四枚。

 龍が出るまでの時間は残り少ないと見た。

 急がねば。


あの星マーク、五芒星っていうんだね

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