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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
二章   龍篇
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最古参

2章突入!

 目が覚めると、見慣れた天井。

 古本屋の自室だった。

 体が重いが、なんとか壁に手を当てて立ち上がり、自室から店の一階に向かう。


 店舗部分には誰もいないので、台所に向かうと、食卓に置き手紙があった。

 内容は簡潔に、起きて動けるのなら、これを見て直ぐに店舗部分の隠し部屋に来てくださいとだけ記している。


 向かうと———普段九尾苑さんがいる上座に荒木寺が座り、それを囲むように皆が座っている。

 九尾苑さんを抜いた、皆が。


「やっと起きたか、二日も寝やがって。まあタイミングもいいからお前が戦ってるとき俺たちに何があったか説明する。座れ」


 猫宮さんが少し隙間を開けてくれたので、そこに座る。


「じゃあ、とりあえず最初から何があったか話す」


 荒木寺さんは言う。


「話は、俺たちたがお前に合流する少し前まで戻る。自販機に妖力流した瞬間消えたお前居場所を探知して、俺らかそこ目掛けて森の中を走ってた。そして、奴が現れたのはそんときだった。突如目の前に現れた奴は、瞬き一つもする暇なく九尾苑のやつに触れた」


「触れた? 刺したり、殴ったり、術をぶつけるわけでもなく、触れた?」


「ああ、軽く触れただけだ。でも、次の瞬間九尾苑は死んでた」


「あの九尾苑さんが、触れただけで。いやいや、ないでしょう。そんな冗談、笑えな——————」


「じゃあついて来い。見せてやる」


 そう言って荒木寺さんは立ち上がり、口頭に次いで手招きでついてくるよう僕に指示する。


「見ろ、死んでんだ」


 荒木寺さんが僕を連れてきたのは九尾苑さんの私室。

 そしてそこには眠る九尾苑さん。

 いや、分かってる。

 信じられないが、本当なんだ。

 これは眠ってるんじゃなく、死んでるんだと分かっているんだ。


「冗談じゃ、ないんですね」


「ああ」


「蘇生は無理なんですね」


「ああ、もう手は尽くした。俺たちがあと出来ることは、遺書の内容をお前に伝えることだけだ」


 そう言って、荒木寺さんは横たわる九尾苑さんの遺体から僕に視線を移す。


「九尾苑のやつは遺書を残してた。自分に何か起きることをあらかじめ知ってたのかも知れねえな」


 言って、荒木寺さんは懐から恐らくその遺書であろう紙束を取り出す。


「これがその遺書。そして、その中の一文にお前に伝えなきゃならねえことがある。噛み砕いて分かりやすくしてやる義理はねえからな、そのまま伝える」


 紙を広げて荒木寺さんはそれを読み上げ、僕はそれに耳を疑う。


「自分が死んだあとの指揮権は店最古参である一ノ瀬宗介に全て委ねる」


 嘘だあ。

 よく分からない敵が現れたり、店の指揮権を渡されたり、色々ありすぎて悲しみが湧かないのはどうしたらいいのだろうか。

 こんな場合の対処法を教えてください、九尾苑さん。

レビューをいただきました!

なろう版で貰うのは初めてなので、嬉しさでいっぱいです。

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