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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
一章   古本屋篇
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怪現

 怪現とは、妖装の応用であり、妖術の奥義である。


 体の一部に妖力を集めるのではなく、纏わせる。

 そのままではなく、術者の性質に変換してだ。

 性質とは、人の術師ならば、人ならば誰もが持っているもので、怪現とはその性質を最大限解放する術なのだ。


 僕の場合は火吹きの左腕などを使うように、性質は炎。

 実は手龍なども炎で龍を作っている。

 この術の誰にでも共通するデメリットといえば、使用後三日は妖力の回復に体が専念してしまい、術が使えないことぐらいだろう。


 端蔵の性質は恐らく声だ。

 声の性質を最大限解放した結果が声を発さずに術を使用というのは少し驚いたが、まあ心の中の声で使用しているといったところだろう。


 原理が分かったところで、あまり意味はない。

 元に、今僕に向かって飛ぶ青天霹靂の威力は原理が分かったところで下りはしない。


「さあ、君も使うと良い! どうせあの老ぼれが教えただろう!」


「生憎と、成功率が低くてねっ!」


 言って、火走りを放つ。

 端蔵の足元に到着と同時に爆発。

 五連ではなく一本だが目眩し程度には——————。


「残念、分身だ」


 背後から声が聞こえ、即座にその場から離れる。

 瞬間、その場所に青天霹靂が。


「相変わらず勘がいいね。反応もいい」


 端蔵はヘラヘラとした様子で続ける。


「今のは已己巳己、分身を作り出す術さ。なに、情けじゃないし、手加減でもハンデでもない。僕は紹介するのが好きなだけさ。人が大人しく僕の話を聞いているのを見ると、少し幸せになる」


 分身の理由は分かったが、紹介の趣味は心底どうでもいいので、僕は話を聞かず、端蔵に斬りかかる。


「あーあ、人の話は最後まで聞こうよ。聞かないから、分身があと二人いるのも気づかない」


 瞬間、左右からの青天霹靂が飛来。

 反応が遅れたせいで防御も回避もできず、片方は腹に、もう片方は足に当たり、両方貫通。

 即座に炎柱で左右の分身を消した後、一度端蔵から距離をとって貫通した傷を焼く。


「腹は殺せたかもしれないのに、狙いが逸れてるぞ」


「ハハ、手厳しいなあ」


 言って、端蔵は僕に向かいナイフを構えて駆ける。

 もうダメだ、限界。

 もう少し戦えると思ったけど、飛んだ思い上がりだったようだ。


 本当、戦いにくい相手だ。

 成功率は四割。

 厳しいな。

 本当に、嫌だ。

 でも、死にたくないし、仕方ない。

 僕は羽団扇を地面に突き刺し、手を離してから言う。


「怪現、炎帝(えんてい )

四字熟語に詳しくなっちまうよ

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