戦闘開始
一章もそろそろクライマックス!
と、言うことで本日更新二話目です。(話の脈絡は消し飛んだものとする)
「端蔵お前、仲間を」
「仲間? 笑わせないでくれ。仲間ってのは同次元の相手しかなれないだろ? 彼は精々、よく喋る小間使い程度の男だ」
下衆だ。
僕はまあ、敵が減ったんだから助かるが、しかしあまりいい気分ではない。
「さて、雑談するために君の相手を開けたわけじゃない。僕は君と戦うために——————」
端蔵の言葉は、そこで遮られる。
「待てよ……まだ俺の番だろ。手出しはダメだ」
「ああ、まだ生きてたんだ。もう君には飽きたんだよね、死んでていいよ」
そう言って、倒れている彼、小豆を端蔵は蔑んだ目で見下している。
「君には、口限論を使う価値もない」
そう言って、端蔵は一つ壁の破片を拾い、それを小豆に向かい投げる。
「なんで、君が妨害するんだい?」
「命に対する侮辱行為を止めただけだよ。拘りなんてないけど、見てていい気はしない」
僕は、端蔵の投げた破片を斬って小豆に当たるのを避ける。
「なあ、室内じゃ動きにくいだろ。移動しよう」
「何? 二人で外までとことこ歩きたいのかい?」
「知ってるよ。移動する術、使えるでしょ」
「ああ、君はあの時の記憶を」
そう、僕が先ほど見た記憶で、端蔵が使っていた術。
あれを使えば移動など一瞬で終わるだろう。
「さて、仕方ないから使おうかな」
端蔵はそう言って、ため息を一つ溢す。
部屋の隅に無造作に投げてある上着を着てから、端蔵は言った。
「騏驥過隙」
瞬間、景色が変わる。
「ここって、まさか!」
「ああ、君の記憶にも出た場所さ。古本屋があるのはまた別の森だけど、自然に囲まれるのが好きでね」
「そうかよ、じゃあ自然に包まれて死んでくれ!」
まあ興味ないし、真面目によーいどんで戦い始めたら不利だし、適当な返事をしてからその終わりと同時に斬りかかる。
自分に戦士のプライドとかがなくて良かったと思いながら、羽団扇を横に一閃。
「話の最中に斬りかかるとは、感心しないね」
そう言って、端蔵は僕の振るった羽団扇を指二本で止めてみせる。
即座に炎を放ち指を離させるが、今の一瞬で分かった。
僕と端蔵の圧倒的な実力差が、ハッキリとだ。
しかし絶望している時間は無い。
一度距離を取り、改めて端蔵に向かい駆ける。
「手龍!」
そう叫び、端蔵に掌を向けると、そこから腕ほどの長さがある白い龍が飛び出す。
夢で使っていた術の一つ。
この龍は僕の妖力で出来ているので、操作は自由自在だ。
龍を左から、自分は右からの挟み撃ちでの攻撃。
本当は全方向からが望ましいが、人手が足りないので我慢だ。
「火吹きの左腕!」
攻撃直前に発動させ、せめて隙ができることを願う。
「金城鉄壁!」
端蔵が言うと、地面から鋼鉄の壁が二枚。
僕の左右同時攻撃を最も容易防がれ、さらに間に壁まで。
戦いにくい。
壁を溶かすか、横から行くか。
「いや、せっかく覚えたんだ、上から行こう」
まだ端蔵達には、見せていない。
いや、先生以外には見せてない。
妖力操作の高等技術、空中での固定だ。
「数秒ぶりだな、端蔵」
空高く立って、僕は言ったのだ。
どうも、なろう史上最も一話の中に四字熟語が入ってるかもしれない小説の作者です。