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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
一章   古本屋篇
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敵対

「さて、敵対するか」


 大勢に向かい挑発するように、彼は言った。


 それと同時、シェリーが、悲鳴を上げる。


 それが、開戦の合図だったのかもしれない。

 ボーフォートがゴーレムを壁から作り出し、彼に攻撃するようにと妖力で指示を出す。


「もうそれは、見飽きた」


 そう一言だけ言って、彼はゴーレムを細かく切り刻む。

 その勢いのまま、彼はボーフォードを頭から股まで一刀両断する。


「二人目。次!」


 彼は小さく刻んだゴーレムの破片を一つシェリーに向けて軽く投擲。


「痛った!」


 彼の狙い通り破片は頭に当たり、死にこそしないがシェリーは気絶した。


「あと一人。降伏するなら殺さない」


 彼は言った。

 あーあ、かっこいいんだ。

 やっぱり、彼を書き続けてよかった。

 僕は心から思うよ。


 記憶が戻り、少しずつ喋り方や戦い方が変わる様はとても面白かった。

 僕は物語に自分が登場するのは許せない性格だが、これは仕方ない。


「勿論。敵対だ!」


 ああ、心躍る。




 ****




 彼は自分で敵対を選択した。

 不健康だと一目でわかる青白い肌を微かに赤くして、彼は僕に向かい駆ける。

 意外にも、彼はゴリゴリの肉弾戦派だった。

 彼が拳を振るうたびにグレーの長い髪が揺れ、彼が叫ぶたびに口の両端を縫う赤い糸が千切れそうだなと思う。

 長い髪と中性的な顔立ちのせいか、少し斬るのを躊躇ってしまう。

 シルフィーのように僕の仲間に大怪我を負わせたなどの事情があれば斬りやすいが、彼にはそれもない。


 そして何より、問題は間が空いてしまったことだ。

 羽団扇を取り戻して少しの隙間もない動きで三人倒したが、今は彼との戦闘が少し長引きそうだ。

 そして、戦いが長引くと、今は何故か傍観している端蔵がいつ手を出してくるか分からないのだ。


「ねえ、この戦いが長引くのは嫌なんだ。降参してくれないかな」


「当然、断る!」


 残念だ。

 詠唱術式でとっとと終わらせられたら一番なのだが、僕の使う詠唱術式は二つとも天から攻撃を与えるもの。

 現状自分がどこにいるか把握しきれていない今では自分ごと生き埋めになる可能性もあり、使いにくい。


 それに、妖力もあまり使いたくない。

 連戦でかなり消費しているから、一度全力で戦えば無くなってしまいそうだ。


 そんなことを考えていると、突如として彼、夢屋小豆の体にいくつもの穴が開く。


「もういいや。小豆、お前は軽く遇らわれてるんだよ」


ああ、かわいい男の子が

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