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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
一章   古本屋篇
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66話! 後一桁で秘密結社が来る!

 夢を見ていた。

 ただの夢ではない。

 僕の記憶を夢として見ていたのだ。


 夢で僕は九尾苑さんを樋地旗(ひちはた )さんと呼び、二人で端蔵と戦っていた。

 僕は九尾苑と並んで戦えるくらいには強く、それを相手する端蔵はそんな僕ら二人と引けを取らないほど強かった。


 そして夢の最後、端蔵は僕を一枚の鏡に写した。

 そして言ったのだ。

 鏡奪知縛、解放と、そう言った。

 あれは正しい記憶の頃の僕の最後なのだろうと静かに思う。


「とりあえず、解いてよ」


 僕は言った。

 目の前にいる男に、絶対に通らないであろう要望を。




 ****




 さっきまで居た部屋が綺麗になったような部屋で、壁に立てかけられた僕の羽団扇を確認してから、宗介は手足を縛られた状態で端蔵に言った。


「あ、起きたんだ。久しぶりだね」


「ああ、久しぶりだな。しかし、いいの? 僕はお前を殺しに来たのに、簡単に目の前まで連れて来ちゃって」


 言うと、端蔵と共にいる女、シルフィーが言う。


「あなた一人いたところで、危害なんてないのと同じなのよ」


「よく言うよ。僕に負けそうになったくせに」


 瞬間、シルフィーは縛られて動けない僕の顔を蹴る。


「あなた、自分の状況が分かってない?」


「分かってるとも。一人では僕を抑えられない雑魚の集団に囲まれている。違うのか?」


 再びシルフィーは僕を蹴ろうとする。

 しかし、それは端蔵の大きな笑い声によって遮られる。


「いやいや、ごめん。あんまりにも面白いからさ、ついね。本当は僕一人でも良かったんだけど、みんなを紹介したくって」


 そう言って端蔵は僕の目の前から離れ、椅子に腰掛ける。


「さて、まずシルフィーは知ってるだろうからいいとしてだ。先ず、彼が夢屋小豆だ。君の行動を一時期監視しててね、優秀だよ」


 そう言って、端蔵は長いグレーの髪を無造作に纏めて、口の量端を糸で縫っている中性的な顔立ちの男を手で示す。

 彼と言うんだ、男だろう。


「次に、君をここに連れて来てくれたこの子、ボーフォートだ。フルネームは長いから略」


 そして端蔵は、最後の一人である金髪赤目の幼女を手で示す。


「最後に、この子はシェリー・ストゥルルソン。 こっちも長いけど、女の子だから略はなし。あとは、まあ寄せ集めの人たちもいるけど、今は九尾苑さん達の足止め中だ」


 紹介を終えて満足そうな端蔵に言う。


「で、紹介して、僕に何をしたいの? まさかただ紹介したいってわけじゃないだろうに」


「ああ、勘がいいね。僕はさ、君を仲間に引き入れたいんだよ」


 衝撃の発言をした後、端蔵は僕にに向かい手を差し出す。


「仲間になるな、この手を掴んでほしい」


 ふざけたことを言う端蔵に、少し苛立つが、それを耐えて、僕は軽い態度で返す。


「手、縛られてるけど」


「ああ、すまない。さっき蹴った侘びにシルフィー、解いてやりなさい」


 端蔵が言うと、シルフィーは僕の背後に回り込もうとする。


「いや、まあ妖力で結構頑丈に出来てるっぽいから時間がかかったけど、必要ないよ」


 言って、それと同時。

 僕は既に自由になった腕を晒して、壁に立てかけてある羽団扇を手元に風で運ぶ。


「なんで縄が——————」


 シルフィーが言い終える前に、僕は手元に運んだ羽団扇で首を切断。

 シルフィーの命を絶つ。


 断面からは噴水のように血が噴き出すことも、ぼこぼこと血が溢れ出すこともない。

 先生のように傷を瞬時に治せるような術師がいては堪らないと思い、首の切断と同時に断面を焼いたのだ。


 何故手が自由になっているのか、何故羽団扇が手元まで運べたか。

 それは簡単。

 天永貴景から貰った贋作は奪われては居なかったのだ。

 贋作の羽団扇で縄を焼き切り、風を出して羽団扇を運ぶ。

 ただそれだけだ。


「さて、敵対するか」


 大勢に向かい挑発するように、僕は言った。

割と呆気ない退場をなさるシルフィー

戻った記憶が気になる方は一話の前にある序章へGO〜!!

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