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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
一章   古本屋篇
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油断

視点、宗介

「敵の巣窟は、もう分かっています」


 僕は言った。


 またもや、猫宮さんと沙耶が驚いて目を見開く。

 今度は荒木寺さんもだ。

 これが漫画だったら全員の目のカットインが描かれていただろう。


「どうやって突き止めたか、教えてくれるかい」


「ええ、詳しく説明しますよ」


 九尾苑さんに言われ、僕も頷く。


「先ず、僕は自分が出した炎ならば何処にどうあるかが焦げ跡まで把握出来ます。

「僕はこのことをあの女、名前はさっき荒木寺さんがシルフィンドールと言っていましたっけ。

「まあ、本人も望んでいるらしいですし、長いですし、シルフィーでいいでしょう。

「シルフィーには炎のある場所がわかることのみ伝え、焦げ跡なんかはバラしていません。

「そのため、炎さえなければ平気だと勝手に思い込んでいるはずですが、僕は彼女の衣服や髪含め、合計八つの焦げ跡を残しました」


 小石を飛ばした以来の頭を使った戦闘だった。


 シルフィーは一度自分の居場所がバレた謎を、未だ戦闘経験の浅い僕が調子に乗って話したと思い込み、信じているはずだ。


 僕が漬け込むのはその隙。

 戦闘技術の差でも、術の差でもなく、己の未熟さから発生する、相手の油断だ。


「髪は長髪を邪魔だと切り落とした際に全て落ちましたが、衣服の焦げ跡は全て無事。

「結果、敵の居場所の特定が成功しました」


 この特定は術というよりは応用。

 妖力を操作して物に触れた際、場所や形が詳しくわかる性質の応用だ。

 以前にも、この性質を利用して僕は猫宮さんの出した試練をクリアしている。

 長い説明は面倒くさいので、二十六話あたりを見返して欲しい。

 僕の戦いを物語にしたらきっとそのあたりだろう。


「そうか、もう妖力の長距離感知を」


 僕が変なメタネタを脳内で繰り広げていると、九尾苑さんがこの応用技術の正式名称を言ってくれた。


「で、端蔵御一行の居場所は、どこだい?」


 九尾苑さんが話を本題に戻す。

 僕も頭を真面目な状態に戻し、真剣に言う。


「場所は、未だ店の扉があるこの森の、この位置から横の距離で一キロ程度、地下です!」

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