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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
一章   古本屋篇
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伝言

 端蔵が消え、宗介は先ず沙耶に駆け寄る。


「遅れてごめん。傷の具合は?」


「平気よ。痛みはあるけど、骨も内臓も無事」


「なら良かった。荒木寺さんも先生が治してくれているし、猫宮さんと九尾苑さんもそろそろ檻を壊すはず」


「それなら、とりあえず店内に戻りましょうか」


「ああ、それが良い」


 そう言って、少し後に九尾苑と猫宮さんの檻からの脱出を待ってから店内にり、荒木寺が宗介の到着するまでの流れを説明した。


「悪かったね、早々に捕まって、猫宮まで巻き込んだ」


「いや、あれは妖力の量がバカにならねえ。寧ろ、あの状態で喋れんのが異常だった。自力で出るのもな」


 荒木寺が言うと、九尾苑が一言礼を言ったあと、宗介に言う。


「宗介、今回直接端蔵と戦った君に聞きたい。新しい術や、もう一人の使う術何か分かったことはあったかい?」


「ええ、端蔵は突然あの場に現れましたが、それ以外では特に術を使いませんでした。でも、女の術ならば、ある程度の予想はつきました。」


 宗介が言うと、腹を貫かれた荒木寺が居心地の悪そうな表情を見せる。


「あの女の能力は、まあ見てしまえば一眼で分かる、地面に潜る術ですよ」


「潜るって言うと、土竜みたいに?」


「いえ、魚のように、地面に波紋をつくって潜っていきます」


「そうか………潜水、とは言い難いな。潜っているときに攻撃は?」


「恐らく当たります。僕のあの技だけって可能性もありますが、あったとしても理由があるはずです」


「分かった、その程度なら対処のしようもありそうだね」


「そうですね、爆札を地面に埋めて、地雷代わりにすれば移動の自由は減らせますし、運が良ければ負傷させられる」


「まあ、そんなところかな。あとは、大事なこととか言い忘れてることない?」


「まだ、一番大切な話が残っています」


 言うと、皆が息を呑み宗介に視線が集まる。


「今日から一週間後、端蔵は全戦力を投下して、古本屋に攻撃を仕掛けて来ます!」


 伝えた本人との宗介と、九尾苑と屋比久と荒木寺以外は目を見開いて驚く。


 猫宮と沙耶は騒いでいる。


「落ち着かんかいッ!」


 言ったのは、屋比久だった。

 その一言で、二人は冷静さを取り戻し、二人で抱き合って回るのをやめる。


「宗介や、おんしはそれを聞いて何もしなかったわけじゃあるまいな?」


「ええ、当然ですよ先生」


 宗介は、一拍置いてから続ける。


「敵の巣窟は、もう分かっています」






次回から視点が宗介に戻ります

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