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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
一章   古本屋篇
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就任

百合2

 朝六時、沙耶は掃除の疲れからか、いつもより遅くおきる。


 沙耶が布団から出ようとする音で、猫宮が起きると、二人で朝風呂に向かう。


 今回は後の訓練の時間も迫るため、風呂で長話などは無い。


 急ぐこともないが、ゆっくりもせず、二人で風呂に浸かる。


 風呂から出ると、九尾苑が朝食の準備を済ませている。


 普段の朝食は宗介が作っているが、宗介はしばらく帰らない。

 その代わりに、朝起きるのが宗介と同じ時間の九尾苑が作るというわけだ。


「猫宮、沙耶ちゃん、おはよ。

「昨晩は遅い時間まで動いてたみたいだけど何かあったのかい?」


「いえ、ちょっと猫宮さんの部屋の掃除を」


「え、あの魔境をかい? 一晩で?」


「ええ、一晩で」


 そう言う沙耶の隣で、猫宮が胸を張って自信ありげな顔をしている。


「大変だ、荒木寺に言わなきゃ」


 そう言って九尾苑は駆けて行く。

 しばらく経つと、普段聞かないような、荒木寺の驚いたような叫び声が聞こえて来る。


 九尾苑が戻ってくると、荒木寺も一緒だった。


「沙耶ちゃん、君を猫宮係に任命する」


 九尾苑がかつて見たこともないような真剣な顔で言う。


「なんですか、その押し付けられた感強い係」


「猫宮の部屋を片付けるだけでいいんだ。

「給料も今の倍出すから、頼んだよ!」


 そう言うと、荒木寺も頷く。


 直後、二人揃って訓練用の地下に逃げていった。


 猫宮は状況がよく掴めていないような顔をしているが沙耶には分かっていた。


 あのいつかは床を突き破りかねない荷物の山。

 それの片付けを体良く押し付けられたのだ。


 沙耶は昨晩張り切って掃除をした自分を責めながら、未来の自分に謝罪をする。


「とりあえず、私たちも地下行きましょうか」


「うん!」


 猫宮は元気だ。

 猫宮の部屋の片付けを任せられて幸せな九尾苑と荒木寺。

 夜の女子会が楽しみで幸せな猫宮。

 未来が不安な沙耶。


 それぞれ別の思いを抱えながら地下に各自集まる。

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