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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
一章   古本屋篇
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四十四冊目

 いつも通り訓練を終え、風呂やら食事やら諸々を済ました後、九尾苑さんが言う。


「明日なんだけどさ、会ってほしい人が来るんだよ」


「え、誰ですかそれ。

「九尾苑さんに言われた頼やら仕事やらって、今のところ全部危険なので怖いんですけど」


「大丈夫、今回は言っておくよ。

「間違いなく、危険だと!」


 九尾苑さんは力を込めて言った。


「それって、断言されても嬉しくないんですけど」


 僕は慌てて返す。


「そんな保証されるくらいなら未だ根拠のない安静の方が安心出来ましたよ」


 そう呟くと、九尾苑さんは僕の呟いた言葉を華麗にスルーして話を続ける。


「会ってもらう人はね、君の妖術のお師匠になってくれる人の元だよ」


 九尾苑さんは続けて言う。


「二時ごろに羽団扇とこないだ渡したお札を用意して訓練の準備をしておくと良い」


 九尾苑さんはそう言うと、自室に帰っていった。

 僕もひとまず今日は寝ることにして、部屋に戻る。


 部屋の扉を開くと、丁度沙耶が着替え中だった。


「ドア、閉めてちょうだい。

「流石に外から見えるのは恥ずかしいわ」


「ああ、ごめん。

「出てた方がいい?」


「いいわよ、私からしたら今更下着程度で照れるような仲じゃないし」


 直ぐに扉を閉め、自分も着替えをする。


「一ノ瀬も、下着程度で照れなくなったのね。

「この前は名前を呼ぶだけで照れてたのに」


「なんか、最近は性欲やらが死滅している感じかするんだよね。

「此間の件で分かったけど、人を殺したときの罪悪感なんかも湧かないから、感情が大きく動かないのかも知れない」


 言うと、沙耶は落ち着いた口調で返す。


「たまにはそんな期間もあるわよ。

「大丈夫、昔の一ノ瀬も同じようなことに悩んでいた時期があったもの」


 そう言うと、着替えを終えた沙耶は即座に眠りにつく。


 人に話して少し安心したのか、僕は一つ欠伸を零す。

 今夜はよく眠れそうだ。

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