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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
一章   古本屋篇
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十九冊目

 地下から戻ると、九尾苑さんが思い出した様に言う。


「そういえば、僕昨日までは実際に出張してたんだ」


 言うと、九尾苑さんは、某人をゲル状に溶かすソファーのチャックを開け、中から紙袋を取り出した。


「いいでしょ、このソファー。

「お腹についてるポッケみたいな仕組みなんだよ」


 そう言うと、九尾苑さんはその紙袋を僕に手渡す。


「ほら、茨城土産のお菓子だよ。

「みんなで食べるといい。

「帰りに二十八個食べたからあんまり残ってないかもだけど」


 それを聞いて、紙袋の中身は粗方想像が付いた。


「また分かりにくいネタを言って」


「まあまあ、いいじゃないか宗介くんや」


 言うと、九尾苑さんは目を擦る


「すまないね、実は中々忙しかったもんで、しばらく寝てないんだ。

「僕は少し寝るからいつもの訓練は二人につけてもらうといい。

「と言うことで、二人はよろしくね。

「無貌木はそろそろ時間だろうし帰っても大丈夫だから」


 そう全てを言い終えると、九尾苑さんは部屋に帰って行った。


「なあ猫宮、俺たちサラッとめんどくせえこと投げられなかったか」


「そうね、私は見てるだけとして、貴方は面倒くさいことになったみたいね。

「応援してるから、頑張って」


 その返事に対して荒木寺さんは文句を言うが、険悪なムードが流れることは決してなく、寧ろ仲の良い二人と言う印象が深まる。


 そんな事を考えていると、荒木寺さんは一つ舌打ちをしてから僕に言う。


「めんどくせえが仕事だ、戻るぞ坊主」


 すぐに戻るなら何故一度上に戻ってきたのかはよくわからないが、どうせ九尾苑さんの気まぐれだろう。


 地下に戻ると、荒木寺さんは僕にストレッチをさせた。

 訓練とはいきなり背後から蹴り飛ばす事ではなかったのか。


 地下に戻る前、僕と荒木寺さんはタオルやら飲み物、それ以外にも色々準備をしていた。


 勝手な外見のイメージから、大雑把な人と言うイメージだったが、間違いだった様だ。


 普段、九尾苑さんがお茶とおにぎりしか持たない為、人と準備をするのは新鮮な気分だ。


 ストレッチを終えると、荒木寺さんは指輪を装着する。

 妖具だろうか。


 僕達が準備をしてる間に、スーツからジャージに着替えていた猫宮さんには荒木寺さんが持ってきた座布団に座っていてもらう。


「おい坊主、準備は済んだか」


「ええ、もういつでも」


「よく言った」


 歯を剥き出して笑いながら言うと、荒木寺さんは指輪を装着した手をこちらに向ける。


「まずは地形を変える。

「これでダウンなんてすんなよ」

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