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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
一章   古本屋篇
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一冊目

車で移動中、衝動的に書き始めたお話です。

読んでもらえると幸いです

 夏の終わり、外を出歩いても汗一つ出ない程涼しくなった時期。

 僕は今―――いつものように学校が終わり、日が暮れ始めた頃の夕飯にはまだ早い時間を街中を練り歩き、脳内マッピングすることで潰している。

 脳内マッピングなんてカッコつけた言い方をしたが、まあ有り体に言ってしまえば散歩だ。


 いつもの日常―――決して変わることの無い日常だ。


 いや、訂正しよう。

 僕は今、人生で最も華やかしい日々を過ごす筈の高校二年生だ。

 しかし、いつかは高校生活に別れを告げ、大学に行き、社会人にるのだろう。


 そうしたら、こんな時間を悪戯に消費するような散歩の時間などなくなるだろうか。


 そんなくだらない事を考えながら歩いていると突然、僕の視界は一つの建物へと吸い込まれるようにギョロりと動く。

 未知の感覚だ。


 そこには、真新しい一軒家ばかりの住宅街には削ぐわない、古ぼけた店が置いてあった。


 置いてあったとは―――それこそ建物には削ぐわない不思議な表現に聞こえるだろうけど、事実なのだ。


 住宅街の道の真ん中に、ぽつんと置き去りにされた学校机とその上に乗る掌サイズの店。


 その店は、道の真ん中に、これまたポツンと置かれた学校机の上に置いてある。

 店は―――この不思議な状況を頭から削除してもどこか異界めいていて、嘘めいていた。

 まるでそこには何もないように感じる。

 実際にある物がないかのような、僕の目が、脳が嘘をついているかのような。


 僕はその店へと吸い込まれるように手を伸ばす。

 こんな不思議なものには普段ならば近づこうとすらしないが、今の僕には正体不明の使命感があった。


 ぴたりと店の小さな扉に指が触れた瞬間、静電気のような衝撃が指から全身へと駆け巡る。


 手を引くと、直ぐに痛みは引いた。

 そこで僕はある違和感に気づく。


 先程まではそこにないように感じていた店が今はハッキリと、目の前にあると断言出来る程の存在感を発しているのだ。

 寧ろ、あり過ぎる程の存在感を、不要で、余分な程だ。


 恐る恐る僕は再び扉に触れる、今度は何も起きない。


 そこで僕はふと思い出した。

 そういえば、扉とは指を添えるものではない、叩くものだと。


 僕は扉を二度叩く。

 すると扉が開き、瞬間僕は店の中へと吸い込まれた。

 視線が吸い込まれた訳でも、吸い込まれるように扉に触れた訳でもない。

 頭から全身―――全てが吸い込まれた。

 ゲームのキャラクター操作画面から戦闘画面へ切り替わるときのような景色だ。


 暫くすると景色は安定する。

 ここはどこだ、突如僕を襲った未知と空間が歪むような光景に吐き気がする、酔った。


「お客様ですよ、店長」


 吐き気を懸命に堪えていると―――声。

 どこか優しげな、声が聞こえた。

 この声が危険で無いことのみを願おう。

 ただ、それだけを。

読んでくださりありがとうございます!

もし面白いと思っていただけた方はレビューや感想、ブクマなどもらえると嬉しいです!


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