勝手に
あと少しの実感が凄い
勝手に 未投稿
「じゃあ、もう二度とは会うまいけど。元気で」
「待て…………待てよ」
「いや、待たない」
見下した目。
何故か腹も立たない。
ただ、惨め。
「守らなきゃ…………」
立ち上がれば、する。
怪現を使ったわけでもないので、妖力も残ってる。
ならば、戦えるんだ。
助けなきゃいけない。
守らなきゃいけない。
歩かなきゃ。
「嘘………………荒木寺さん」
倒れた、荒木寺さんが、そこには居た。
「死なないって、言ったじゃないですか…………」
もうダメだ。
守れなかったんだ、僕は。
弱かったから、だからまた……………………死なせた。
「死なないって言ったのに、何で、何で!」
「うっせえぞ…………宗介」
「ッ! 荒木寺さん! 生きてたんですか!」
「勝手に殺すな。妖力と、ついでに体力も使い切っただけだ」
「僕は、僕はてっきり」
よかった。
生きてて、よかった。
「俺がお前に任せた役割は、そうやって泣くことか?」
まだ、間に合うのか?
「俺はお前に、柏崎のあいつを倒せって言って任せたはずだ」
「…………はい」
まだ、僕にやれるのか?
「お前、ポールと言ってた何か、まだあるんだろ?」
「はい、でも成功率が低すぎるから…………」
今、やれるか?
「それを負けた言い訳にするつもりか?」
「嫌です」
今、僕は戦うんだな。
「任せられるな」
「はい!」
守らなきゃいけないなんて勝手に背負い込んで、勝手に重みを感じてた。
しかし、ちゃんとこうやって託されると、こんなにも心強いか。
「任せたぞ、宗介」
****
「沙耶ちゃん、生きてる?」
「生きた心地はしないです」
度重なる銃乱射を全て抑えて、回避し、反撃した末の生存。
二人は、軽い擦り傷はあるものの重大な傷は負っていなかった。
「お喋りとは、大層余裕なご様子で」
「猫宮さん!」
「任せて!」
倒しては現れての繰り返し。
消耗戦だ。
「沙耶ちゃんって怪現は…………」
「一対一向きなんですよ」
「残念」
「猫宮さんはどうですか?」
「私って化け猫だから。妖なんだよね」
「妖って怪現出来ないんでしたっけ」
「うん、私達にとって妖力って血液とかと変わらないから」
「ああ、死んじゃうわけですね」
二人とも体力を大分消耗しているが、会話をしながらそれを紛らわせる。
そんなギリギリの状態で平然を保っている状態に、水滴を一滴でも溢せば、波紋はどこまで広がるだろうか。
「手間取ってるみたいだね、ミア。お手伝いに来たよ」
「景様!」
ミアはさっきまでの無表情から一変。
頬を赤て反応する。
「…………嘘でしょ、アイツがいるって、一ノ瀬は」
「それ、まず一人目だ」
柏崎は沙耶に向かい悠然と歩き、そして手を向ける。
「沙耶ちゃん!」
「もう遅い」
柏崎の掌か沙耶の顔へと近づく。
沙耶は、動かない。
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明後日は、もう最終回です