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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
四章   秘術篇
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大きな桜の木の下で

冷やし中華を、久しぶりに食べたいです。

「なんでこんなところに……………………」


 この台詞今日二度目だ。

 こんなところとは、己龍家にある大樹のふもとだ。

 見た感じは開花前の桜だが、大量の妖力を放っていることからただの桜でないことは直ぐに分かった。


「待たせたな、この桜、面白れえだろ」


 僕をこの場に置き去りにした千輝のお出ましだ。


「ああ、こんな妖力見たことがない」


「だろうな。何せ―――己龍の御神木だ。そこいらにこのレベルの妖力があっちゃ困る」


 神社じゃななくても御神木ってあるんだ。


「御神木っつっても、出来たのは二年前―――九尾苑が爺と妖力込めた木が急成長しただけだ。九尾苑の( こん)を一つ詰めてっから際限なく妖力があふれ出しやがる」


 こんってなんだ?

 紺? コーン?


「根がわかんねえって顔だな」


 バレた、そんなに顔に出てるかな?


「根っこの根一文字でこんと読む―――根っつーのは妖力の発生元のことで、例外の九尾苑以外には基本一つずつ、人間や妖、動物に誕生時から備わってる」


 何それ、知らない。

 何で教えてくれなかったんだ九尾苑さん。


「この根だが、九尾苑は例外的に九つ持っていやがった。この木にはその内一つが移植されてるってわけだ」


「え、じゃあ九尾苑さんの妖力って……………」


「ああ、全部自分で持ってりゃ通常の九倍―――しかも根は持ち主に合わせて成長するからな、体に籠る妖力の量は通常の比じゃなかった。歴代の生物を見ても、二番目には多いだろうよ」


「二番目って、じゃあ一番は……………」


 術式は元々陰陽師と呼ばれていたらしいし、安倍晴明なんかだろうか。


「神尾沙智だ、確実にな。会ったことがあるが、根一つであの量は他にいちゃならねえ」


 そうだ、忘れてた。

 いたな、そんな人が。


「神尾沙智にも根が幾つもあったとかじゃないのか?」


 聞くと、千輝は苦笑いをする。


「だったら良かったんだがな、探ることに慣れりゃ根の場所や数なんてわかるようになる。そして、それが可能な俺が言う―――神尾沙智の根は、一つだ」


 何それ、神尾沙智怖い。


「ついでだがな、今まで生まれてきた生物で三番目に妖力が多いのはマーリンとかいう魔術師で四番目がお前、五番目が安倍晴明だ」


 なるほどね、適当か?


「適当は駄目だ。僕が安倍晴明より上? なんでそんな昔の人のことまでわかるんだよ」


「適当じゃねえよ、妖具だ妖具」


 じゃあ納得。


「己龍に代々伝わる妖具―――辞書。それにはこの世のことは全てが書いてある。ページ数は一で、そのページにそのとき世界基準で正義であり、必要なことのみが書いてある」


 これはまた、化物じみた兵器が。


「お前をここで待たせたのは、こここそが最適だったからだ。俺がお前を強くしてやるこの瞬間に、最も最適だったから」


読んでくださりありがとうございます!

もし面白いと思い、尚且つまだの方はレビューや感想、ブクマなどもらえると嬉しいです!

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