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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
四章   秘術篇
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手加減

 色々試したが、やはり離れた位置からの攻撃は基本当たらない。

 そして、立ち止まって試行錯誤なんてしてると飛ばされる。

 本当に全力で戦えば勝てるだろうが、これは………………。


「俺の負け」


 攻撃の手を止めて、両の掌を掲げて見せる。


「ええ〜いいところだったのに〜」


 沙耶は文句を言うが、続ければ怪我をする。

 先生はいないし、いつ戦いがあるかも分からない今だ―――不用意に傷をつけたりはしたくない。


「さ、調子もいいみたいだし上帰ろ」


「まだ不完全燃焼だから、また付き合ってくれるなら」


「うん、落ち着いた頃にまたやろう」


 そうして、荷物を軽く纏めたら切り上げる。

 どうせまた来るので応急処置などの道具は置いていこう。




 ****




「ねえ沙耶、説明はしてくれるの?」


「勿論、少し長くなるかもしれないけどいい?」


「道は長いからね、ゆっくり歩きながら話せば問題ないよ」


 帰りの階段を、のんびりと歩きながら話す。


「まず―――ことの発端は一年前。貴方が記憶を取られたときよ。端蔵は記憶を奪った貴方を殺そうとして、私たちはそれを阻止したかった。だから私達は差し出した―――九尾苑さんは代々続く家の名前を、私は自分の妖力と身体能力、そして貴方を除く古本屋の記憶をね」


「記憶って、僕と同じように鏡で?」


「いえ、あれは奪う記憶の量を調整するなんて便利なことは出来ないわ。私の場合は端蔵の術、忍之一字と先声奪人だったかしら」


 両方意味が分からないな。


「忍之一字が私の妖力や身体能力を、先声奪人が記憶を奪ったわ。奪われたときにした約束は二つ、まずは一ノ瀬をあのとき見逃すこと、そして次会ったときに力を返すこと。力を返すのは私も謎だったけど、端蔵曰くそっちの方が楽しいからだそうよ。九尾苑さんは名前を半分奪われて力が十分の一程まで下がったけど、それでも脅威だから返したくはないと言ってたかしらね」


「じゃあ九尾苑さんって力十分の一でアレだったの?」


「まあ、そうゆうことになるかしら。九尾苑さんには力を返すつもりがなかったらしいし、本当に化け物じみてるわ」


 なんか、納得出来ないな。

 僕が見た記憶では、最新より力十倍のはずの九尾苑さんと僕相手に楽々相手していた端蔵が、怪現を覚えただけの僕に負けるだなんて。


「ねえ―――すごい腹立つんだけどさ、もしかして僕が戦った端蔵って……………………」


「ええ、話だけで聞いてるけど間違いなく手を抜いてるわ。話の詳細を聞いた限り、死のうとしてるとしか思えない次元で、目を瞑って両手を縛ってるのと同じくらいには手を抜いてるわ」


「死体切り刻んでやればよかった」


 手抜きで得た勝利、急に悲しくなってきた。

 しかし、謎は解けたし減ったのでまあ我慢しよう。

 またいつか出会い戦うとしたら、ないとは思うが手加減されないほどに強くなろう。

読んでくださりありがとうございます!

もし面白いと思い、尚且つまだの方はレビューや感想、ブクマなどもらえると嬉しいです!

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