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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
三章   鏡篇
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救出

「………………ここは」


 見覚えのある摩天楼。


「やっと目覚めたか。丸一日も寝ておったぞ」


 聞き覚えのある己龍贋圭の声。

 そうだ、僕は鏡を使って昔の記憶を。


「どれほど戻った」


「えっと…………あ、敵地」


 駄目だ、まだ寝ぼけているのか頭がよく回らない。


「とりあえず、帰んなきゃ。樋口さんのとこ、沙耶のとこ行かなきゃ」


「樋口の名…………そうか、あの戦いを見たか!」


「ん―――ああ、ここば己龍のとこか。僕帰るから、さよなら」


 少し目が覚めてきた。

 そうだ―――僕拉致されて、なんか流れで記憶を戻すことになったんだ。


「さよならて、お主ここがどこか分かっておらぬじゃろうて」


「まあ、高いところから見て帰るから迷子にはなんないよ」


「そうじゃない。お主、この己龍の家から無断で帰れると思っておるのではないな?」


 寝起きで戦うのか。

 気が進まない。

 まあ、やるしかないならやろう。


「拉致られて帰んのに、許可は要らねえだろうよ」


「……………………まあ良い、またおいで」


「え、マジで」


「マジじゃよ。大マジ」


 突然の言葉で、完全に目覚めた。


「美也子の息子よ、迎えがもう時期来る。孫の顔を見れただけで、今回は満足しておこう」


「おい、今なんて―――」


 そう言った瞬間、背後の壁が破壊される。


「いた! 宗介、帰るよ!」


「ポールさん、シェリーまで。ちょっと待って!」


 言うが、無理そう。

 体が触れられもしていないのに引っ張られてる。

 シェリーの術か。


「宗介、またおいで」


 そう、贋圭は言った。

 とりあえずここには聞かなきゃいけないことが出来た。

 だから、僕は答える。


「ああ、また来るよ」




 ****




「改めて、おかえり」


 空、謎の紙が集まって出来た鳥の上で言われる。


「えっと、ただいまです。ありがとうございます」


 頭を下げて礼を言った後に、一つ疑問。


「僕の居場所って、どうやって分かったんですか?」


「ああ、今ここにはいないけど協力してくれた人がいてね、その人の術だよ」


 人脈の力だったか。

 なんか、社長っぽい。


「とりあえず色々あっただろうから何があったか聞きたいんだけど、それより先に行きたい場所とかってあるかな?」


「あります」


「おっと、即答。何か用事でも?」


「ちょっとでいいので、店に…………」


「ああ、なるほどね。いいよ、送るよ」


 魅力的な提案だが、謹んでお断りする。


「店の方向だけ教えてもらえれば、自分で行きますよ」


「了解、あっちの方だよ」


 ポールさんの指差す方向を確認して、鳥から降りて宙に立つ。


「それじゃあ、少し経ったら会社に戻りますので」


「了解、待ってるよ」


 再度一礼してから、空を蹴り跳ぶ。


「っとその前にシェリーも、ありがとう。今度絶対端蔵探すからな」


 そう言ってから今度こそ、僕は跳んだ。

やっと昔の話終わったね、長かった。

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