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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
三章   鏡篇
126/164

決着

PV数7000突破しました!

ありがとうございます♪

 手を振るう、触れる。

 ただそれだけの行為で、触れた相手は消え失せる。

 ただ、強敵相手ならばそれだけの行為が至難。


 まず蹴り。

 体を宙で回転させて、タイミングを分かりずらいようずらしててから、右足の蹴り。

 当然のように術も使わず回避されるが、次の手。

 地面の一部を消滅させて足場を崩してから、左掌底。

 これは術を使って僕の背後に回ることで回避されるが、問題はない。


 樋口さんは離れた位置に移動してくれてるかな。


 母さん、借りるよ。


 僕の妖力じゃなければ怪現には使われていないはず。

 ならば――――――。


「落炎」


「まさか、美也子の力か!」


「ご名答っ!」


 篠矢が使う術式の範囲内、範囲外に降り注ぐ炎。

 そして僕は、腰を捻って体を回して手を振るう。


「終わりだ」


 腹に触れる。

 右の横っ腹を、大きく削り取るように消滅させる。


「まだ、終わらぬ」


 篠矢は地に伏せた状態から、立ち上がりながら言う。

 何が奴をここまで突き動かすのか、執念だ。

 昔からの、自分で決めたことだけは何がなんでもやり通す執念だけで動いているんだ。


「儂にも残っておるぞ。怪現、空ぜ――――――!」


「終わりよ、お爺ちゃん」


 樋口さんだった。

 篠矢の頭にさっきの僕に触れたとき同様、触れて言った。


「もうお父さんとお母さんを返してちょうだい」


 そう言う樋口さんを前に、僕は言わずにはいられなかった。


「自分の祖父を、殺せるの?」


「ええ、殺せるわ。当たり前じゃない」


 頭に触れたまま樋口さんは続ける。


「このまま触れ続ければ脳が視覚からくる情報を処理しきれずに機能を停止させるわ。私はただ、それを待つだけ」


 まあ、樋口さんがいいならいいや。

 道徳とか倫理感とかは、僕ら術師には無縁な話。


「さて、腕どうしようかな」


「樋口の医療部隊に治すよう言うわ。私の家庭事情に巻き込んじゃったんだし、それくらい――――――」


 ああ、やばい。

 疲れすぎた。

 初の怪現と並行して別術式を初めて使う範囲での使用。

 無茶しすぎたかな。


「ごめん、あと任せた」


 薄れゆく意識の中、僕が振り絞った声は聞こえただろうか。

樋口さん書くの楽しい

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