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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
三章   鏡篇
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指令変更

あの、まず言い訳をさせてください。

最近高校が始まり、慣れない生活に帰宅早々寝てしまいました。

もし更新を楽しみにしてくださってる方がいたならば、本当にすみません。


 火吹き紅色終炎五の指、爆装。


 火吹きの左腕五本目の術にして、最高火力の術。

 左腕に纏った炎と、妖力を、左腕を犠牲にして爆発させる術だ。


 神尾の杭も吹き飛ばせるほどの威力はあるが、その代償として左の肩より先は芯まで黒く焼け焦げて、罅割れている。


 そんな捨て身の自爆技が、この術だ。


「五本目は、用意してねえだろうな?」


「ああ、売りに出たのは四本だけじゃよ」


 そう言った後に、篠矢は一本二億と言っていた杭を壊されて怒るでも悲しむでもなく、笑った。

 声を抑えることなく、大声でゲラゲラと、下品な笑い声を山中に響かせる。

 快楽に浸るような笑みで、ゲラゲラと。


「…………何がおかしい、頼みの綱が破壊されて気でも狂ったか」


「いやあ、逆じゃよ」


 悦に浸るような表示のまま、篠矢は僕の焼け焦げて罅割れた左腕に視線を向ける。


「たった一つの策とも言えぬ儂の警備から、お前が腕を一つ犠牲にしてまで逃げ出したのだぞ。これが笑わずになんとする? 傑作も傑作、笑い話にも程があろう!」


「双炎!」


 一本ずつ、投擲。

 しかし、それも篠矢が手を向けるだけで、消え失せる。

 それもそのはず、やつの術は、手で触れたものを別の位置へ転送だ。


「ほれ、後ろ」


 嘘だ、本当は横。

 篠矢が触れて消えた火遊びは、僕の横から出てきて、腹へ向かい進む。


 身を回転させて回避しながらも途中で掴み、今度は投擲せずに斬りかかる。


「腹が立って自棄か。若い若い、若すぎる!」


 喧しい。

 確かに腹は立ったが、自棄じゃあねえよ。


「お前殺すんなら、不意打ちしかねえだろ!」


「まあ、お前程度ではそうかもしれぬの」


 次の瞬間、突如訪れた景色の反転。


「儂の術を知っておろうと、こんな距離まで近づいて尚対処出来ん。そんなお前に、何が出来る」


 自分に触れて自分を転送させたのか。

 これの対処は、僕じゃあ、無理かな。

 だから。


「代わってくれよ、魔封社」


 だから、言った。


『嫌だね。指令変更しようとしたツケだぜ』


 すぐに返ってきた返事は、期待とはかけ離れていた。

 理由は分かっている。

 こないだ代わったときのせいだ。


 あのとき、元々は皆殺しだったのを一人生捕に変更しようとしたからだろう。


 ああ、上手くいかないなあ。



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