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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
三章   鏡篇
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忠告

 一日目、殺した数、二百三十五人。

 逃した数、四人。

 生捕にした数、零人。

 妖術の使用回数、二百三十八回。


 負った手傷、零。


 意気込んで戦い始めはしたものの、やっぱり疲れる。

 一晩明かして、二日目。

 今日は一先ず、下山して食料の補充だ。

 なるべく人の多いデパートで、術師達が人目を避けて僕達を襲えない場所にいる。


「樋口さん、何食べたい?」


「味は今は気にしてられないわ。取り敢えず長持ちする缶詰とかがいいと思うの」


「そっか。あとそうだ、思い出したけど鍋とか買わなきゃ」


「コンロとかは?」


「手から火出せるし要らないでしょ」


「それもそうね」


 そんな雑談を交わしながら、買い物を終える。

 そして山へと戻る。

 こうして何日も戦い続けて、僕たちには絶対に敵わないということを分からせる。


「呑気に買い物とは、自覚が足りないなあ」


 声。

 聞き覚えのある、声だ。


 僕は振り返り、その声に応える。


「よお、端蔵」


「久しぶりだね、宗介」


 そう、端蔵晴海。

 僕と樋地旗さんの宿敵にして、古本屋の元同僚。


「彼との仲は、順調かい?」


「きちんと抑えた筈なんだけど、最近生捕にしたかったやつを一人殺されたよ」


「そうか、困ってくれてるようでよかったよ」


「おかげさまでね。呼ばれ方もまだ慣れない」


「ああ、今の君が一ノ瀬で、彼が魔封社。いやあ、よく考えられてるね。両方宗介だが、少し違う」


 そんなくだらない話を交わしてから、本題。


「で、何の用だ」


「いやね、面白い話をしてあげようと思って」


「面白い話? なんだ、言ってみろよ」


「人に物を訪ねる態度じゃないなあ。まあいいや、教えてあげる」


 嫌な笑みを浮かべ、ほんの少し勿体ぶってから、謎解きの答えを明かすように言う。


「宗介が今やってる戦い、明日で終わるよ」


「理由は?」


「そこまで言ったらつまんないじゃん。精々、足掻いて楽しませてよ」


 端蔵は既に楽しそうに言った。


「一応聞くけど、助けてくれない?」


「やだよ、共闘なんて。バイバイ」


 そう言って、去った。

 明確な敵ではあるが今は樋口さん優先だし、人の目もあるから追いかけるわけにはいかない。

 今は、雑談で終わりだ。


「ごめんね樋口さん。話に付き合わせちゃって」


「いいわよ、それより明日で終わりって…………」


「ああ、多分一斉襲撃とかがあるんじゃないかな。手っ取り早く済ませよう」


 あっさりと言ってはみたものの、相手の数、戦力、戦略。

 全てが未知数だ。

 予想だと相手は七千、戦力は樋口の者三割ってところだ。

 戦略は、ちょっと想像出来ないな。


「とりあえず、場所変えよっか」


 僕は言った。

 悩ましい現実から若干目を逸らしながら、若干目を向けて。

懐かしいキャラじゃ

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