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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
二章   龍篇
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摩天楼

三章スタートです!

 目が覚めると、見知らぬ場所。

 四方を壁に囲まれ、天井が見えないほど高い建築物、塔だろうか。

 和風の内装や天を突くほどの高さを思わせるこの景色は、摩天楼という言葉がよく似合って思えた。


「やっとお目覚めか、遅えな」


 僕は慌てて起き上がり、羽団扇を……………羽団扇を、構えたかった。


「監禁してんだ、武器渡すわけねえだろ」


 そりゃそうだ。

 寧ろ以前の端蔵の件で身近に置いてあったのが奇跡なんだ。


 体内の妖力が空だ。

 怪現を使ったからだろうが、使った結果指一本も触れられていないのだから、使わなければよかった。

 まあ、そんなたられば話は現在不要。


「ここはどこだ」


「あ? 答えるかよ。お前は今から、黙って俺についてこい」


 言って、千輝は塔の扉を開く。


「ついて来るか死ぬか、二つに一つだ」




 ****




 まあ、ついて行くよね。

 死にたくないし。


 しばらく後に続いて歩くと、長い廊下を抜けて広間へ。


「おい、連れてきたぞ爺!」


 千輝が叫ぶと―――広間の奥。

 少し舞台のように高くなった場所で居眠りをしていた老人が目を覚ます。


「そうかそうか、遅かったの。さて、もう下がって良いぞ」


 老人が言うや否や、千輝は舌打ちをして広間から出る。


「さて、儂はこの家の…………まあ大黒柱、当主の己龍雁圭(がんけい )じゃよお主は一ノ瀬宗介じゃな?」


 まさかの、敵の頭だ。

 途端に嫌気がさす。

 しかし、逃げられはしないだろうし我慢だ。


「なに、今の儂は敵ではない。寧ろ逆、お主を強くする為に連れてきたのじゃよ」


 意味不明。

 僕が気絶する前に殺そうとして、意識が戻って話を聞けば強くする。

 意味が分からない。


「ダンベル持たせたり、走らせたりするのかい、爺さん。だとしたらお断りだよ、店に帰って自分でやる」


 敵意を隠す必要はない。

 ここは敵地、油断は出来ない。

 妖力か使えなくても戦う方法はあるし、なんとか状況の打開策を探さねばならない。


「敵意剥き出し、以前とは違うタイプの獣じゃの。そこに成長も伴えば、以前以上に伸びるに違いない」


 言って老人改め贋圭は居眠りしていた舞台のような場所の奥から、突如現れた家来のような者に一つ荷物を持って来させる。

 そしてそこには、見たことあるような布に包まれた物。

 なるほど、ここまで来れば展開は分かった。


「お主の記憶を奪った鏡の一欠片じゃ。しかし、今までお主が使ったものより数段は大きい。これを使えば確実に今以上の力が手に入るが、どうする?」


 やはりか。

 しかし、確かに今までの破片よりも十倍は大きい。

 今までの大きさでも火吹きの左腕やその指ごとの技が使えるようになったし、もし記憶の量が鏡の大きさに比例するのなら。


「よし、決まったようじゃの。じゃあ、見て来なさい!」


 いって、贋圭は布を取る。

 僕はその中の鏡に写り、そして思う。

 まだ返事してないし、覚悟もできていないと。

今回は鏡編、読んで頂けた方はブクマや感想、レビューなどを貰えると、嬉しいです。

感想やレビューなどは話を書いてる時に読み返すと、モチベの回復などにも繋がるので、貰えると嬉しいです!

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