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日暮れ古本屋  作者: 楠木静梨
二章   龍篇
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圧倒

「どうした、守ってばっかじゃ俺は殺せねえぞ!」


「うるせえよ、頭が痛くなる」


 苦し紛れに言い返しながら、千輝の攻撃を回避。

 火遊びを放ちながら、一定の距離を保つ。

 しかし千輝側から寄られた場合は僕に距離を取り直すほどの力はないのでなんとか応戦する。

 右膝蹴り、抑えられるがそこを軸として回転して反対の足で蹴る。

 紙一重で回避されたので勢い殺さずに刃を振るい当たる寸前、顔面目掛けて雷を放つ。

 千輝は少し顔を顰めるが、傷は皆無。

 しかし目潰しにはなったので、その隙に炎柱を四本出して全てを千輝目掛けて射出。

 四方から千輝の動きを封じるように当てるが、手で払うだけで四本とも破壊される。

 この程度は予測していたので左腕から手龍を発動。

 炎の龍で全身とまではいかずとも千輝の右足を固定する。


 息つく間もない攻防。

 少なからずとも、僕はそうだ。

 だが千輝は違う。

 未だお遊びにもなってない。

 全て掌を翳すか、払うか、回避するか。

 空では敵わない。

 他の術では敵わない。

 怪現でしか、勝てない。


 なんとか時間を稼ぎながら移動。

 その末に、到着。


「ポールさん、流石だね」


 辿り着いたのは、人一人いない渋谷のスクランブル交差点。

 ここなら、全力で戦える。


「ちったあ頭使ったじゃねえか。人払いも万全で、広さもある。こりゃあ楽しめそうだ!」


 そう言う千輝を無視して、妖力を集めるのに集中する。


「怪現、炎帝―――行くぞ!」


 瞬間、眼前には拳。

 拳は止まることなく、僕の顔面にめり込み、体ごと、吹き飛ばす。

 寸前のところで意識が飛ぶのは耐えたが、視点が定まらない。

 宙で体を翻し、着地。

 しかし次の瞬間には視界の端に千輝の姿が。

 急いで右の掌を翳すと次の瞬間―――手首より奥。

 肘を掴んで投げられていた。


「怪現使ってこの程度。術の一つも使ってない俺に手も足も出ねえとは、落ちぶれもいいとこだ」


 落胆したような顔で、言う。

 千輝はもしかしたら、昔の僕を知っているのかもしれない。

 ならば今、僕は昔の僕を超えなければならないのかもしれない。


 今度は着地前に千輝の姿を捉え、着地と同時に駆ける。


「遅えぞ!」


 叫ぶ。

 千輝は叫ぶ。


 僕は声こそ出さないが、静かに闘志を燃やす。


 右手を振るい、それを回避するために半歩引いた千輝に向かい左手で拳を作らずに、刺すような、抜き手のような形で突く。

 体を回転させて回避した千輝はそのまま腹を狙って回し蹴り。

 即座に右手で防御しようとすると、千輝は蹴りに使おうとした左足を地に付けて軸とし、起動の変わった蹴りを放つ。

 僕が腹正面に添えた防御は虚しく、千輝の右足は横腹を蹴り抜く。

 今度は地に足をつけたまま何とか踏ん張るが、息つく間もなく胸部に掌底。


 荒木寺さんもそうだが、僕が今まで出会った乱暴な戦い方をしそうな外見の人は、皆上手い。

 技術派が多いのだ。

 人を見た目で判断するなとは正にこのことか。


 いつのまにか地に伏しており、全身の筋肉が動かない。

 もしかしたら一瞬気を失っていたのかもしれない。

 肺も正常に機能せず、息が吸えない。

 それでも何とか酸素を体に取り込もうとしているからか、肺付近に鈍い痛みがある。

 目で見えずとも気配で千輝が僕の心臓目掛けて手で貫こうとしているのがわかる。

 ここで終わりか。


 ――――――そう思ったとき、聞き覚えのあるセリフが、聞き覚えのある声で、聞こえたのだ。


「助けに来たよ、宗介」

こんな作中でもトップクラスつよつよの千輝でも傷一つつけられないであろう、神尾沙智とは一体、、、

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