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この作品に王道ヒロインなんていないんです!

多分、続かない。

気まぐれでやってきます。本気物はレイディアントガーデンの方なので…


奏多 笑(かなた しょう)くん、初めて会った時から好きでした、一目惚れです…付き合ってください。」


人生初の告白…それは絶世の美女。

なんて幸せ者なんだ…でも、僕には他に好きな人がいる。


「ごめん〜!確かに僕も好きだよ!!でも初めてやる恋愛ゲームは正ヒロインって決めてるんだ、僕は!」


俺は朝の学校に行く途中、先日スマホで新しく出た恋愛ゲームの『ラブlike」でまさにサブヒロインの子の元気っ子から告白を受けていた。

ふぅ〜…恋愛ゲームで告白される側は初めてだからすごい緊張したぁ〜確かに脈アリかな?って思ってたけど…流石に喋ったこともないのにいきなりは怖いなぁ、でも断る側ってこんなに心が痛いんだ。


「元気っ子もいいがこのゲームの正ヒロインの黒瀬ななみちゃんは譲れないよなぁ〜黒髪ロングで清楚で大人しい性格!

そして真面目に見えて、天然っていうこのコンボ!!

くぅ〜流石に譲れねぇ…」


スマホでできる新感覚の恋愛ゲーム。

現実とリンクしていてヒロイン五人もとても可愛い!

そうやってこれから黒瀬ななみちゃんをどう攻略しようかとニヤニヤしながら歩いていたら後ろからポンッと肩を叩かれた。


「おっはよ〜笑やん!朝からニヤニヤして相変わらず気持ち悪いねぇ〜」


「キモいとはなんだぁ?これが俺の趣味なんだ!人の趣味を馬鹿にするのはぁ許せねぇ。」


こいつは、俺の幼馴染の笹木 旭(ささき あさひ)

昔から俺の向かいの家に住んでいて、めちゃめちゃ元気でばかだ。


「まぁまぁ、普段は勉強に運動もできる笑やんが恋愛ゲームだけには弱いっていうの面白いからいいんだけどね〜」


そう、俺は勉強はそこそこできる…テストで言ったらギリギリ100位以内に入るくらいで、運動もそこそこできる…体力テストはBくらい。

まぁ中の上と中の中の間だ。


「てか今日は寝坊したのか?いつもは一緒に登校してんのに、今日はズレたな。」


「高校生になって一ヶ月も経つけどまだ慣れないんだよね。家から20分で着くけどなんかね?」


俺たちはまだ高校に上がったばっかりで一年生だ。

俺は近くて頭もそこそこ良い学校に行きたかったから

新海高校というところを受験した。それを追っかけるように旭も受験して合格したのはいいものの、あまり授業についていけてないみたいだ。


「まぁ勉強とかで困っていたら俺に聞いたらいいよ。

そこそこはできるしな…それじゃあ一つ旭に良いことを教えてあげよう!」


「え?なになに?!」


俺は旭を元気付ける為にとっておきの情報提供をする。


「今日、お前の占いは一位だったぞ!内容は…素敵な出会いがあるかも?!でも大切な人を失ってしまう。

だから今のうちに想いを伝えよう!…これはお前の恋が実るのでは?まぁでもお前に好きな人がいるのか知らんけど…」


「え?そんなこと?はぁ〜まぁ期待してなかったけど…」


占いで一位だったんだぞ?!!しかもよく当たると言われている番組のコーナーだぞ?

恋が実るのなら嬉しいだろ?


「恋愛ゲームのやりすぎでしょ?そう簡単に乙女の恋は実りません!あとそうそうに新しい出会いとかないし…」


「ばかやろう!今日は海外から転校生が来る日って先生が言ってただろ!」


「キーンコーンカーンコーン…」今日は転校生が来る日…それも海外から…こんなの恋愛ゲームだったら超絶世の美女だぞ!?

転校生が来るからかいつも眠そうでどんよりしている朝のホームルームも賑わっている。

でも期待はしていないのだ俺は…そう今日の占いの一位は旭の獅子座で素敵な出会いだ…でも大切な人を失う。ならぁ!男だろ?クソッ…俺は牡牛座だ、しかも最下位だ!内容は…最悪な出会いがあるかも?周りの人から避けられ、その人だけに粘着される。ラッキーアイテムは無し。誘いは断れば死に受けても死ぬ。


「クソォー誰だ?海外のイケメン?ふざけんなぁ!」


「みんなはしゃぎすぎだよ?てか笑やんも占いを信じすぎでしょ?」


そう言って脚をもじもじさせて顔もとろけさせている。こいつぅ露骨にイケメンが来ることに期待してやがる…


だが笹木旭の脳内はイケメンに期待してるわけではなかった。なぜ今日寝坊したのかそれは昨日に遡る。それは昨日奏多の家に忍び込み奏多が風呂に入るために洗濯機に入れたパンツを盗むために…

だから寝不足だった。

そんな笹木旭の脳内はイケメンという生温いものではなく…

【笹木旭の脳内】

やばい…すてきな出会い?そんなのどうでもいい。

やっと思いが伝わる?笑やんを生まれた時から愛してきてよかったぁ…はぁ絶望してる笑やんもすごい可愛い…海外のイケメンとかどうでもいいし笑やんの顔の方がかっこいいよ。はぁ…腰が動いちゃうよ笑やんとの子供どんな感じかな?でも私との子供だから可愛いよね?はぁ好き…


そう彼女は病んでいた。それを笑は知らない、知るはずもない。

幼馴染が病んでるなんて知りたくもない。


「大丈夫か?お前なんか顔がニヤケから歪みに変わってるぞ?」


完全に顔がゲスに変わってる旭にツッコミをいれて気分を変える。

そこにやっと来ましたかと生徒が盛り上がり先生が転校生のことを口にする。


「では昨日言ってた通り、今日は転校生が来ている。

入ってきていいですよ…」


先生がドアの方をみて転校生に呼びかけ、教室のボルテージは最高潮に達する。

その中で絶望を感じる俺と隣で露骨に喜んでる旭は完全に浮いてる。


「ガラッ」ドアが開きそこからひょっこりと顔をだす。白い髪に透き通る肌、まるで宝石のような…そんな少女。


「どうも…えっとハクレん…白蓮咲(はくれん さき)です。ロシアから来ました、日本とロシアのハーフです…日本語は大体はできます。ですが分からないことが多いので色々と教えて頂けると嬉しいです。」


女子だ…そしてあのひょっこりの仕草白い髪のロングで清楚系!

王道ヒロインのこの感じ!

そう思いながら白蓮さんの方をパッと見るとふと目が合ってしまった。

やばいドキドキが止まらない。なんだあの蒼い眼は!

俺は今!恋愛ゲームの中にいるのか?!


「では、1番後ろの左端に座って。」


「はい。」


……待ってくれぇ!俺の席は1番後ろの左端から一個隣!つまり白蓮さんの隣!?嘘だろぉ?!

なんだこの主人公のような神席はぁ!


「よろしくお願いします。えーと」


「あっ…えと、はい!よろしくお願い申し上げます。

俺は…奏多 笑と言います!」


やべぇテンパった…恥ずかしい〜でも名前は言えたぞ!しかも隣で…日本に来たばっかで…何もわからない!


「お世話係になれるぞぉ?!キタキタ!恋愛ゲームにもこんなシチュないぞ?!」ボソッと溢れてしまう…


「よろしくお願いします。奏多さんで良いですか?」


もちろん!そんな事を言ってニヤニヤしていたのはいいが奏多の後ろにはものすごい威圧がかかっている。

そう彼女は病んでいる。

【笹木旭 脳内】


あ?なんだこの女。どうでもいいイケメンじゃねぇのかよ?てかなんでニヤニヤしてるの笑やんは…この女殺さないとダメかな?…ダメダメそれは殺人はダメ…

でも偶然でこの女が社会的に死ぬならありだよね?


そう笹木旭は病んでいる。俗に言うヤンデレというやつだ。奏多 笑の事を愛していて依存している。

奏多が食べた後のスプーンや抜けた髪の毛…そんなのを集めている。

そして今、白蓮咲にニヤケている奏多に威圧をかけて

白蓮咲には殺意を向けている。



俺は勝ち組だあ〜はぁーニヤニヤがとまらねぇよ!

昼休みになっても白蓮さんの美しさに男子の噂が広まり教室の周りに先輩すらも集まってる。

女子は教室に入ってきて白蓮さんの机を囲んでる。

俺の居場所はないので旭と教室の端で弁当を食べている。


「なんかあのこの嫌い。私はお姫様!とか気取ってそう。」


「ハハァ!さぁては?嫉妬だな。確かにお前も可愛いくて周りからチヤホヤされていたけど選手交替か?」


こいつも顔は可愛いし元気っ子で周りの男子から好かれてる。俺は幼馴染で小さい頃からいたからそういう目では見ていないけど、こいつは確かに可愛い。

だが!白蓮さんの別の角度からの輝きには勝てない!

ガーネットやルビーもいいがやはり王道はダイヤモンド!残念だな旭。


「でも、あの女子たち恐怖だろ。初めてきたのにあんな囲まれて怖いだろ?おれが白蓮さんだったら泣いちゃうわ。」


教室の半分は他クラスの女子で埋まっている。

質問責めで白蓮さんも困っている。


「よし俺ちょっと言ってくるわ。ここは隣の席の力を使って…」


「ちょっと!待ってよ…」


俺は旭の言葉を無視して女子の渦に突っ込む。

ここはビシッと救ってこれからの隣の席生活を充実させるために頑張れ!奏多 笑!


「おい!どけよ女子達!そこは俺の席なんだ。

邪魔なんだよ。」


周りがシーンとなる。だけどすぐ元どおりになってしまった。

あれ?届かなかった?俺の思い…

男子達は女子達がこっちを向いたおかげで辛うじて白蓮さんの顔が見えたのか俺に拍手をあげる。


「旭、俺は頑張ったよ。」


「Спасибо. Это действительно раздражает. Эти девушки.」


白蓮は奏多の言葉が届いたのか、ボソッとロシア語を喋る。少しだけ強張ってた白蓮の顔が緩んだ。


ん?なんか聞こえた?ボソッと呪文のようなのが聞こえたな…まぁいいか。

くそ情けないな…やはり占い当たってる…?


すっかり日は沈み下校の時間になってしまった。

俺は美術部に入っている。だけどは今日は部活はない。ラッキー!これで『ラブlike』いっぱいできるなぁ!

ウキウキして帰ろうとした時、声がかかった。

白蓮さんの甘い声だった…


「あの奏多さん…一緒に帰りませんか?」


衝撃の言葉に周りの生徒もえ?っとこっちを向き困惑してる。いや俺の方が頭がショートしている。


「え?あの…はい?帰る?でも俺、今日あったばっかですよ?しかも一緒に帰るとか…いいんですか?」


「好きな人と一緒に帰りたいからその人を誘うのは日本ではないのですか?」


ん?何を言ってるんですか?と言い返したいが…一緒に帰りたい。てか好きな人って俺が?なぜ?隣だから?!


「日本では恋人同士でしかそういうのはしないのですか?なら…」


奏多 笑(かなた しょう)初めて会った時から好きでした、一目惚れです…付き合ってください。


人生初の告白…それは絶世の美女。

なんて幸せ者なんだ。


そう思っていた…だが占いにはそんな事は書いていない…奏多はまだ知らないがこれから始まる物語に王道なんてものはない。


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