Ⅶ ~遭逢~
神発暦1220年
≪くそぉ、いつまでも追いかけてきやがる。本当に悪かったから許してくれ、いや、ください≫
【真白】は蜂に謝罪しながらどこかにいい隠れ場所がないか必死に探していた。
≪!、あそこなら≫
【真白】は視界の端に洞窟を見つけた。
≪〈煙召喚〉≫
【真白】はいくつもの魔法陣を展開してありったけの煙を出して、目隠しをした。そして、蜂からの視線を閉ざすと、全速力で洞窟の中に突っ込んだ。
≪大丈夫か?≫
【真白】は洞窟の中に入りさらに、洞窟の中にあった岩の後ろに隠れた。
〔ぶぅぅぅん〕
≪入ってきた≫
【真白】はここで見つかると、大量の蜂が再び襲ってくると思い、身を潜めていた。すると、洞窟の底から
「五月蠅い!」
≪!?≫
突如声が聞こえた。
〔カチッ、カチッ〕
「なんだ、たかが虫の分際でこの俺を威嚇しているのか、死ね」
〔ドォォオオオオン!〕
すると、突如轟音が響きわたった。
〔〔〔ぶぅぅぅん〕〕〕
恐らく、音を聞きつけて大量の蜂がやってきたが、
「今日は厄日か、こんなにも俺の眠りを妨げるやつが来るとはな」
〔ドォォオオオオン!〕
再び爆音がすると、あたりは静まり返った。
「静かになったな、これでようやく寝れる」
≪た、助かった!≫
【真白】がつい安堵した、そして
≪どんな奴があの大量の蜂を殺したんだ?≫
【真白】はそう思い岩からこっそりのぞこうとしたとき、
「なんだ、気になるのか? 白竜」
≪んっ!?≫
突如、自分のことを呼ばれた【真白】は思わずたじろいだ。そして、すぐに姿を出して、土下座の体勢をとった。
「ハハハ、面白いな。なんだその体勢は」
≪これは土下座といいまして、最大の謝罪の意味を持つ体勢です≫
「そうか、別に貴様がここに来たことには怒りを感じておらんよ」
≪本当に?≫
【真白】はそう思い、顔を少し上げると、そこにはとても大柄で頭から闘牛のような角を生やした男が立っていた。
「あぁ、本当だとも」
≪よかった、、、、?≫
ここで、ようやく【真白】は自分の心の声を相手が聞き取っていることに疑問に感じた。
≪どうして、心の声が聞こえるんでしょうか?≫
「なんだわからないのか? 貴様もダンジョンマスターではないのか?」
≪!≫
【真白】はその言葉を聞き、神に植え付けられた記憶の中からダンジョンマスターのことを思い出していた。
ダンジョンマスターとは、魔物を生み出すことのできる魔物のことで、体内に水晶のような丸い珠が埋め込まれており、その姿は、時に人間、時に魔獣、そして時に魔物の姿で突然姿を現す存在である。さらに、その強さはどんな個体でも圧倒的な力を持っていると言われている。
≪あぁ、そうです。私もダンジョンマスターです≫
【真白】はこのとき嘘をつかなければ、殺されると思い、自らをダンジョンマスターと偽った。
「そうだろうな、知能を持った魔獣がいるわけがないんだから」
≪そ、そりゃぁ、そうですよ!ハハ、私誕生したばかりで、あまり知識がなくて、どうして、会話できるんでたっけ?≫
「なんだ、記憶喪失か? お前」
≪そ、そうなんですよ。ちょっと頭をぶつけまして≫
「そんなの簡単だよ、俺たちダンジョンマスターは生み出した魔物とコミュニケーションをとれるように能力で〈テレパシー〉を貰ってるじゃないか」
≪あ、そうでした。今思い出しました≫
「まったく、それとここは俺が見つけた寝床だ。ダンジョンを作るなら他を当たれ」
≪そうします。あの、もう一つ聞いてもいいですか?≫
「いいぞ」
≪守護する魔物はいないんですか?≫
【真白】は単純に疑問に思ったことを質問した。ダンジョンマスターが配下の魔物を連れていないことは、本来ならないと記憶している。
「ハハハ、そんなものはいらん、この俺こそが最強なのだ。守護する魔物など、俺の眠りを妨げる邪魔にしかならないではないか」
≪寂しくないんですか?≫
遠回しにボッチだと言った。ダンジョンマスターに素朴な疑問をぶつけた。
「な、ならお前が今日から俺の友だ。これなら、寂しくはならない。どうだ?」
≪どうだっていわれても、、、≫
「なんだいやなのか?」
≪いえ、とんでもありません。嬉しいです≫
「友と話すような口調ではないな」
そうどこかすねた口調を聞いた【真白】は、おちょくるように言った。
≪なんだ、やっぱり寂しかったんじゃないか!≫
「な、う、うるさい、そんなことはない」
これが暗黒大陸でいずれ最強の一角となる、天災【創竜・オラクルニーズヘッグ】と爆災【牛皇・オラクルシュテューカム】との出会いであった。
「白竜、貴様の名前は何なのだ? 白竜という呼び方はおかしいだろう」
≪名前か、、、。てか、お前の名は?≫
【真白】は自分の名前を考える時間を稼ぐために、まだ聞いていなかった目の前の大男の名前を聞いた。
「俺の名はエラープだ。見ての通り魔物シュテューカムがモデルのダンジョンマスターだ。して、貴様は?」
≪俺の名前は、、、ましろ...、いや、俺の名前はライジングだ≫
【真白】は咄嗟に自分が前世で使っていたプレイヤーネームを自分の名前とした。
「そうか、これからも友としてよろしくなライジング」
≪気軽にライとでも呼んでくれ≫
「そうか、なら俺のこともエラーとでも呼んでくれ。神が俺のことをそう略していっていたんだ。よろしくなライ」
≪あぁ、これかもよろしくな。エラー≫
【真白】改め、ライは思った。【エラー】って、別の意味で言われている気がすると、
*
その後、ライは再び会いに来るという約束をしたのちに、エラーの住んでいる洞窟から巣に帰った。
≪ダンジョンマスターか≫
ライは洞窟で自身のことをダンジョンマスターと嘘をついて誤魔化したと思っていたが、実は本当に自分はダンジョンマスターなのではないか?と思い始めていた。
≪確かに、知能のある魔獣はイコールでダンジョンマスターになるか。俺が召喚魔法ばかり使っているのって、ダンジョンマスターの能力なのか?エラーに聞いておけば良かった≫
ライにある知識はなぜかこの世界の人間側の物であるため、ダンジョンマスターがどんな生態なのか人間が知ってる知識しかないため、自分がダンジョンマスターかどうか判断するためには体内に珠があるか確認しなければならないため、
≪明日会いに行ったときに、聞きに行こう≫
ライはそう心に決めた。
≪とりあえず、何か制限がないか確かめてみるか≫
*深夜
親竜が巣にいない時にそいつが表れた。