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〜初めての異世界〜

次に俺が目を覚ましたのは、豊かな自然が広がる野原だった。

天気は良く、空気も澄んでいる。


前方には小さく城壁が見えており、女神様の言っていた街のことだとわかる。


「ここがルーナシモスか...」

あの天界での女神様の対話からどれくらいたったのかわからないが、地球と同じく考えると太陽が真上にあるので、ちょうど正午頃のようだ。


女神様にもらったスキルのおかげか今いる場所がテッラ王国の東に位置する街イーシャンの近くだとわかる。


(一般常識が分かるって言ってたけど地図や国名までわかるのか...)

さすが女神様のくれたスキルは便利だと感謝しながら街道をすすむ。


しばらく歩き続けていると影がないせいか、喉が渇き始める。


街道のそばには小川がながれていて、俺は水を飲むために小川を覗き込んだ。


「それにしても綺麗な小川だな、さすが科学が発展してない...へぁ?」


思わず変な声をあげたのは水面に映る見慣れない顔の青年を見たからだ。


水面には金髪青眼のおよそ日本人とは思えない顔立ちの青年が映っている。


「...誰だこいつ」

自分の顔を確かめるようにペタペタと手で触るが小川に映るのは間違いなく自分の姿の様だった。


少しばかり困惑したが転生などという不思議体験をした後なのだ、姿が多少変わっているくらいなんてことない。


むしろ筋肉の付き具合や顔立ちをみると生前より10歳以上若返っているのが分かる。


「ラッキーラッキー」

誰にいうのでもなく街道を再び歩き始めたが、城壁がかなり近くなっていることに気づいた。

先程は小さかった城壁を見上げるほどだ。


「遠くから見たから気づかなかったけど、かなり立派な城壁だなぁ」

城壁は20メートルはあるだろうか、削られた石でできているようで、精巧なつくりをしていた。


「科学は遅れてるって言っても、魔法や建築学はそこそこ進んでるんだろうな」


城壁まで近づきそのつくりを観察しながら感嘆の声を漏らす。この様子なら個人の家や宿なども綺麗なつくりをしているだろう。


「おい貴様!何をしている?!」


「えっ?!」

門の警備をしていた兵士が近づいてきて槍を向けられる。

城壁を観察している俺を不審に思ったようだ。


(しまった、怪しまれたか...)

槍を向けられて動揺したが、すぐに女神様にもらった常識スキルをフル活用して言い訳を考える。


「す、すいません。始めて村を出て街に来たもので...村にはこんなに高い城壁がなかったので感心してしまって」


このセカイの村の簡素な作りからなんとか言い訳をひねり出した。

これも全て女神様にもらった異世界の常識を身につけるスキルのおかげだ。


「なんだ、市民登録をしに来たのか。それなら入場門ではなく、向こうの登録所に行ってこい」

どうやら疑いは晴れたらしい。

兵士は槍を下ろすとほっとした顔をし、門とは反対側を指さした。


兵士が指し示した方向には城壁に埋め込まれるような建物が建っており、市民登録所と看板に書かれてあった。


「わざわざありがとうございます」


「いや、何、これが俺の仕事だからな。にいちゃんもこの街を楽しんでくれよ」

槍を向けられたときはどうなることかと肝を冷やしたが、気さくそうな人でよかった。


兵士さんに丁寧に見送られ、市民登録所を目指す。


「いらっしゃいませ」

登録所のドアを開くと眼鏡をかけた受付嬢さんが笑顔で迎えてくれた。


「すいません、市民登録をしたいのですが」


「はい、準備いたしますので少々お待ちください」

そう言った、受付嬢さんはカウンターの奥に入って行った。戻ってくるとその手には免許証ほどのサイズの金属板が握られていた。


「その板は?」


「これはステータスプレートと言います。これに血を一滴垂らすことで市民登録は完了となります。」


「え?それだけでいいんですか?」


「はい、ステータスプレートには特殊な鉱石が混ぜられているので、持ち主の名前や年齢、犯罪歴などを自動で記録してくれるんです」


もっと面倒な手続きを想像していたのだが、プレート一緒に渡された小さな針で血を垂らすだけで市民登録は終わってしまった。


プレートに血を垂らすと淡く光ったのは驚いたが。

魔法の一種なのだろう。


「はい、ご登録無事完了いたしました。プレートに関する注意点などはご存知ですか?」


「あ、はい。大丈夫です」

プレートに関する知識もスキルが教えてくれるのでなんとかなるだろう。


「それでは登録費用及び初回入門料の銀貨2枚をお願いします」


女神様がくれた革袋から銀貨を2枚取り出し、受付嬢さんに渡すとカウンターの横の跳ね上げ式の板が開けられた。


「イーシャンへようこそ、ごゆっくりお楽しみください」


俺は受付嬢さんに再度お礼を言い、イーシャンの街に続く門をくぐった。


門をくぐるとまさに中世のヨーロッパのような街が広がっていた。


「おぉぉ!!」

生前では見たことのない石の建物や道路、荷馬車に興奮し声を上げる。


俺の突然の大声に人々が振り向くがすぐにまた歩き始めた。


(田舎者と思われたかな)


とりあえず街に入ることはできた。次にしなければならないのは職と宿屋の確保だ。


「先に宿の確保だな」

門にも多くの人が並んでいたし、街の人通りが多い。全員が宿を利用するわけではないだろうが早めに確保しておいた方が無難だろう。


「あ、すいません。宿をさがしているのですが」

道路脇でタバコ?をふかしているお爺さんに声をかける。


あとは生前培ったトークスキルで条件のいい宿を何軒か聞くことができた。


.

..

...


紹介してもらった宿を回り3軒目の挨拶がハキハキしていた夫婦の宿に宿泊を決めた。


素泊まりで銀貨2枚。日本円で銀貨1枚は1000円くらいなのでだいぶお得なのだが、女神様にもらった銀貨はあと一枚になってしまった。


(すぐにでも稼がないと宿にも泊まれないな...)


宿は決まったので、職を探しにいこうと立ち上がるが先程発行したステータスプレートのことを思い出した。


常識スキルによると、一般的にステータスプレートは公共の場や他人の前では見せないらしい。


スキルの他にも体力なども数値で表されているので、下手に他人の目に触れれば命も危険もあるそうだ。


「ステータスオープン」

俺の声に反応して、プレートの上空に数字や文字が浮き上がる。



名前:アズサ

種族:人類族

職業:設定されていません

年齢:15

レベル:1

体力25/25 魔力15/15 腕力20/20

俊敏10/10 知識30/30

【スキル】

疲労耐性Ⅰ 病気耐性Ⅰ 人類語MAX 魔眼暗視Ⅰ

【ユニークスキル】

『異世界知識MAX』※他人に表示されません 睡眠Ⅰ 集中Ⅰ

【称号】

転生者

管理神の謝罪(全ステータスが+5される)



ステータスは高いのか低いのかよく分からないがスキルはなかなか優秀な物が多そうだ。


「ユニーク...固有スキルか」

通常のスキルとは別にあるユニークスキル、先程から常識スキルと読んでいたのは異世界知識と言うらしい。


睡眠は寝ると体力が回復しやすくなるスキル。集中は集中すると五感の感度が大きく上昇するスキル。

どちらも地味だが、有能そうなスキルだ。


「さて、ステータスチェックも終わったし今度こそ職業紹介所に行くか」


常識スキル改め、異世界知識により大きい街には職業紹介所があることが分かっていて。仕事を斡旋してくれるらしい。


宿屋の夫婦に道を聞き、鍵を預けて職業紹介所に向かった。

その時も夫婦はわざわざ宿屋の外まで見送りに出てきて、手を振っていた。


挨拶って大切だよね。

【スキル紹介】

疲労耐性 レアリティA

疲れにくくなるスキル。

病気耐性 レアリティA

病気にかかりにくくなるスキル。


どちらもアズサが生前会社勤めで身についたスキル。

レアリティAのスキルはなかなか珍しい。

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