スキル覚醒、そして、新たな決意。
「成功しましたね。これで準備ができました、早速、始めましょうか。」
ギリメは解説を続ける。
「魔力核に意識を集中してください、生成された魔力を使いたい部位に移動させてください。魔力の動きは感覚でわかるはずです。
移動が終わったら放出してみましょう、放ちたいところへ、突き出すように。」
魔力を左手に移動させてみる。なるほど、確かに何かが左手に向かって流れて行くような感覚がある。これを、放ってみる。言われた通りの要領で。
すると、巨大なエネルギー波のようなものが俺の左手から放たれた。放たれたそれは、ゆっくり、しかし確実に部屋の壁へと向かって行く。そして俺の腕1本分ほど移動したところで、ギリメの突き出した杖にぶつかり、吸収されて行った。
「初めてにしては上出来ですね、これなら、訓練を続けていけばすぐに一人前になれるでしょう。次は、個人技能の確認をしましょう。」
スキル?また初めての単語が来たな。まあいい。どうせ解説してくれるのだから。
「スキルとは、魔力核の覚醒を済ませた人に身につく、個人専用の魔法のことです。例えば、今私たちがコミュニケーションに使っているこのテレパシーは、私のスキルです。同じようなスキルを持っている人はいますが、その内容には必ず差異があり、全く同じスキルというのは、存在しないのです。」
「スキルの発動のさせ方は、魔力が覚醒して時間が経った今なら、なんとなくわかっているはずです。どうぞ、使ってみてください。」
指示されてから、俺は意識を集中する。すると、さっき魔力を覚醒させた時に感じたのよりも強い。なんだかとてつもないエネルギーを体のうちに感じた。力が湧いてくる。みると、俺の全身を赤いオーラが包んでいた。
これが、俺のスキル。俺だけの、力。
「異世界への移動というのは、自然に起こることなんですか?」
「いいえ、そんなことが自然の現象起こることはあり得ません。
人を異世界へ移動させるには、そういうスキルによるものか、そういう能力を持った道具を使うことでしか起こりません。
なので、タケルさんがこの世界にやって来たのは、誰かの仕業なのでしょう、あと、呼び捨てで大丈夫ですよ。」
そうか、人の仕業か。なら良かった。
なら、そいつを見つけ出して、俺の人生をめちゃくちゃにした報いを受けさせてやる。
新たな目標を胸に、俺は、もっと強くなってやる。
「ギリメ、もっと、俺に魔法について教えてくれ!!俺を、強くしてくれ!!」
「勿論です!!!これからもっといろんなことを教えてあげますから、しっかり、ついてきてくださいね!!!」